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125.文化祭前の準備




 クラスでの文化祭の準備に追われつつ、テストの対策もしていたらすっかり残暑も終わって秋らしい気候になっていた。


「あと2週間か……」


 放課後、作業をしつつそんな言葉を零す。


「委員長〜、メニューについてなんだけどちょっといい?」

「あぁ、了解。すぐ行くよ」

「神崎さん、店の内装の方で……」

「あっ、はい! ちょっと待ってね!」

「それじゃ、成実、また後で」

「うんっ!」


 クラス委員としての、生徒会主体でやっている校内外の装飾と門作りの作業を一旦止め、先程呼ばれた方へと向かう。


「これなんだけどさ、ここを学校でまとめて注文してもらったらコスト削減になるみたいなんだよね〜」

「なるほど……教えてくれてありがとな」

「いえいえ〜。それからもうひとつあるんだけど……」



 現在は店で出すメニューの考案、試作を料理の出来る生徒たちと俺の方で、内装と接客など準備を他の生徒と成実たちで行っている。

 去年までは晃たちとしか関わらなかった自分がまさかこんなまとめ役のような立場になるなんて思いもしなかったが、やりがいも同時に感じている。



「――そかそか、なるほど〜。ありがとね!」

「いや、こちらこそだ。とりあえず今話した内容をまとめてくるよ」

「了解〜」


 文化祭で出す料理なので原価をできる限り抑えつつ、利益も少なめにして安価で売り出す。

 その利益も大部分が募金に回されたり来年度の予算に算入されるが、一部は打ち上げで使って良いという点はうちの学校は寛容だと思う。それに模擬店では売上のランキングも出る。

 そのおかげもあってかクラスもまとまっており、みんなしっかりと仕事をしてくれる。



「お疲れ様でした」

「みんなまたね〜」

「お先ですっ」


 今日も時間がある生徒は残って作業を進めてくれたため、かなり進んだ。そして最近はいつも彼女と俺が最後まで残っている。

 クラスの仕事の他にクラス委員としての仕事や、その日決まったことをまとめなければならないのでどうしても遅くなってしまう。


 しばらくして作業を終わらせてから帰りの支度をする。


「ふぅ……あっ、友也くん、お疲れ様っ」

「成実こそ、お疲れ様」

「ありがと〜。それで、今日は何が決まったの?」

「今日はメニューの方で――」


 そのまま学校を後にして、今日決まったことを2人で共有しながら歩く。

 クラスで2つに分れて作業をしているので報連相は大切だ……というのは建前で、前の泊まり以降、2人でいられる時間が減ってしまったので帰りに報告をするという口実で彼女の家まで送ることになったのだ。



「ふふっ、当日が楽しみだね!」

「そうだな……」

「まぁ、その前に来週テストがあるんだけどさっ」

「あぁ。次こそは負けないぞ?」

「私だって、負けるつもりはないよ?」

「……ははっ」

「……ふふっ」

「それじゃ」

「うん、また明日!」

「おう!」


 そうして彼女と別れた後、俺も家へと帰宅する。

 食事、風呂を済ませたら勉強へと取り掛かって、自分でも他のメニューや工夫できる部分はないか考えておく。さすがに案出しを全てクラスメイトに任せっきりは良くない。


 そんな風に夜遅くまで勉強と準備を行ってから床に就く。そして朝は早起きして、日課のランニングをしてから朝食を取って学校へと向かう。



「神崎さんの猫耳メイド……ほんと可愛すぎるよな〜」

「分かるわー」

「白雪さんの和風メイドもたまらん……」

「あの黒雪姫も和泉の前では乙女だしなぁ……くっ、彼氏共が羨ましいぜ……!」

「というかクラスの女子もみんなレベル高いしな」

「それな。コスプレ喫茶の案出した奴に感謝しかない」

「あー、早く当日が来ないかな」


 教室に入ると文化祭の準備をしていた男子の会話が聞こえてくる。

 彼らの言うことは十分に分かるし、どんな形であれ文化祭を楽しみにして準備を頑張ってくれるのはありがたいので、既に登校している女子たちは彼らを冷ややかで見るのはやめてやってくれ。


 などと考えつつ、自分も委員の方の仕事を進める。材料のまとめ、学校側への必要な物の請求、門と内装作り、シフト調整等々……

 やるべき事は沢山あるので少しでも時間を有効に使っていきたい。


 そういえば衣装確認の時の成実可愛かったな……クラスの女子たちに髪型も弄られたり、他の獣耳を付けられたりして……

 ってダメだダメだ。さっきの男子たちの言葉に思考が引っ張られていた。ただでさえ時間が無いのに――


「友也くん、おはよっ」

「――ッ! お、おう、おはよう、成実」

「あ、驚かせちゃったかな? ごめんね」

「あぁ、いや、大丈夫。大丈夫だ」

「そう?」

「おう」


 彼女の衣装や普段と違う髪型が可愛かったのを思い出してたとは恥ずかしくて言えない。

 驚きで過剰に反応してしまった自分を責めつつ、再び作業へと戻る。




 そんな日々が続いて着々と準備が進んでいき、定期考査を迎える。


「ふふ、せーので見せるよ!」

「あぁ、行くぞ」

「「せーの!」」


 彼女の通知表にはほとんどの順位が1、クラス順位ももちろん1と書かれていた。俺の方は1、2、3がそれぞれいくつかと、クラスでは毎度お馴染みの3位だった。

 今回は満点も狙えるだろうと思っていた教科を誤字や証明の最後の文を書き忘れたりといったもったいないミスが目立った。


「負けたかぁ……」

「まだまだ私の方が上だね!」

「悔しいけどまだ敵わないな」

「去年からの上がり具合を考えると凄い成長だけどね……そうだ! また今度一緒に勉強会しようよ!」

「あぁ、頼んでいいか?」

「うん!」


 ちなみに2位は白雪、5位に晃、7位に松村が入っていたりもした。期末こそ油断をすれば晃に足元を掬われる可能性がさらに大きくなったので今後も気を抜くことが出来ない。



 そうして残り1週間もあっという間に過ぎていき、ついに文化祭を迎えることになった。




 読者の皆様、お久しぶりです。冬休み入ったから書けるー! と思っていたら平日よりも忙しかったりして驚いている作者です。


 話は変わりますが、普通は文化祭の利益をクラスで使えるとかないですよね。それは作品内だからこそって思ってください。


 それから、ここでモチベが低い〜とか書こうと思ったのですが、書き出したら楽しくて1話分はすぐに書けちゃいました。なおストック……



 長々と失礼しました。

 それでは今回もありがとうございました。また次回もよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 最近読み始めてもう最新まで来ました。 とてもおもしろいのでこれからも是非頑張って下さい。
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