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122.彼女宅でのお風呂



 夕飯は彼女と共に作り、いつになく豪勢なものだったしもちろんとても美味しかった。


「ごちそうさま。凄く美味しかったな」

「ごちそうさま〜。ふふっ、そうだね! もうお腹いっぱいで動けないよ」

「だな……」


 奮発して少し高いものを使ったり、バリエーションも量も多かったため今は本当に動けそうにない。



 しばらくしてお腹が落ち着いた頃、彼女から話しかけられる。


「この後はどうしよっか? ゲームとか始める前にお風呂済ませちゃう?」

「お風呂……」


 食事に満たされていて忘れていたが、風呂は入らなきゃ駄目だよな。しかし……


「どうかしたの?」

「あっ、いや、何でもない。そうだな、先に入れせてもらってもいいか?」

「もちろん! ゆっくり入ってきてね〜」


 まぁ、彼女も気にする様子がないのでこちらが意識しすぎるのも良くないだろう。彼女の家の風呂を使わせてもらう、ただそれだけだ。


 気にするな、意識しすぎるな、そう自分に言い聞かせながら、俺はお風呂へと向かった。





〈成実side〉



「――ゆっくり入ってきてね〜」


 私は笑顔で手を振りながらそう言った。



 そして彼が行ってからしばらくして、私は頭を抱えて机に突っ伏す。


「うぅ……そうだったぁ……お泊まりするなら、お風呂も絶対入るよね……」


 友也くんが来る前までは覚えていたのだが、いざ彼と話したり、食事を楽しんでいるとその事がすっかり頭から抜け落ち、食後になってようやく思い出して急いでお湯を貼った。


 というか今、彼が自分の家のお風呂に入っている状況もなかなか信じ難く、それでいて妙な恥ずかしさがある。


「友也くんがうちのお風呂に……今……っ!」


 彼のことを想像し、そしてすぐに後悔した。私は今顔が真っ赤になっているかもしれない。身体が妙に火照り、少し汗をかいてきた気がする。


 出会ったばかりの頃は彼は少し細身だったけど、今は男らしくしっかりとした体つきになっている。というのも体育祭後も定期的に走ったり鍛えたりしているそうだ。そしてそれは海に行った時にも確認できた。



「かっこいいなぁ……」


 格好良くて、努力家で、家族思いで、もちろん私のことも沢山想ってくれてるのも分かっている。挙げればキリがないほどに、私は彼に魅力を感じている。


 話を戻すが、そんな人が今自分の家のお風呂に入っているのだ。意識しないはずがない。


「友也くん、普通そうだったけど……」


 ちょっとだけ動揺してたかな?

 意識されないと少し悲しいが、逆にされると少し恥ずかしい。こういう所は自分のことを面倒な性格だと思うし、これも恋のせいかな、なんて思ったりもする。



 そうして突っ伏したまま彼のことを考えていたが、気付けばそのまま意識が途切れていた。





〈友也side〉



 少し緊張しながらも風呂に入ってゆっくりと体と心をほぐした後、着替えてリビングに戻ったのだが、そこで彼女が小さな寝息を立てながら眠っていた。


「マジかよ……」


 家に二人きりといい、風呂を意識せずに貸したことといい、少し無防備過ぎやしないだろうか。


 それだけ信頼してくれてるというのはとても嬉しいのだが、あまりに無防備過ぎてこちらとしてはたまったものではない。


 気付けば俺はゆっくりと彼女に歩み寄り、そしてその白くて丸い、柔らかそうなところへと手を伸ばした。



――ツン


「んっ……すぅ……」


 俺は彼女の頬を軽く突く。すると少しだけ吐息のようなものが漏れたが、起きる様子はない。

 今晩は二人でゲームをする予定だから寝かせておいても良いと思ったが、風呂に入るとスッキリするし仮眠をするにしても一度入る方が良いだろう。


 そう思って軽く頬を突いたが起きそうにない。そのままツンツンとしているうちに少し楽しくなって、二本の指で軽くつまんだりし始めたところで彼女が目を開いた。


「……友也くん?」


 抑揚の少ない声で言われたからだろうか、驚いた俺は一瞬肩が跳ね、咄嗟に手を離した。


「今……」

「ご、ごめん! 嫌だったよな」

「ううん、嫌じゃないよ……むしろ………って、あれ?」

「ん? ど、どうかしたか?」

「これは、夢?」

「えっと、夢じゃないが……」

「あっ、ここで私寝ちゃってたんだ……」


 どうやら彼女は寝ぼけていたようだ。今後は無闇に寝ている彼女に触れるのはよそうと思いつつ、彼女に質問をする。


「夢を見てたのか?」

「うん……夢の中で友也が優しく触れてきてね……それで、頬を触ったりツンツンしてきたり、それから………っ!」


 と、途中まで言いかけたところで彼女が顔を赤くする。急な変化に少し驚きつつ、様子を伺う。


「大丈夫か?」

「う、うん! 大丈夫だから! そ、それじゃ、私もお風呂入ってくるね!」

「お、おう」


 そう言って彼女は駆けて出ていってしまった。


 思い出して顔を赤くするなんてどんな夢なんだ……。夢の中の俺は何をしたんだ……誰か教えてくれ!



 彼女がいきなり走っていったのを立ち尽くしたまま見て、俺はそんなことを頭で考えていた。




 お久しぶりの人はお久しぶりです。初めましての方は初めまして。


 いきなり質問失礼します。地の文の部分が一人称か三人称か自分でも曖昧になってます……どちらにした方が読みやすいですかね?


 それと、今後は週一くらいを目処に自分のペースでやっていきたいと思います。



 今回もありがとうございました。また次のお話でもお会いしましょう!

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