12.プレゼントと勉強会 後編
「うん。デートにでも誘ってやれ」
「……は?」
俺は一瞬、晃が何を言っているのか分からなかった。
「いや、だからデートにでも誘えって。簡単だろ?」
「いやいやいや、相手が誰なのか聞いてその答えって……しかも瑠璃と同じこと言ってるし……」
相手が誰か知らずに彼女だと思ってる瑠璃ならまだしも、神崎さんと知っても尚そんなことを言ってくる晃の考えがわからなかった。
「なんで神崎さんと友也に関わりがあるのかは知らないけど、多分何かしら共通の趣味とかあるんだろ? 友也の趣味と言えばゲームか?」
見事に図星をつかれた俺は本当に困ってしまう。
「あぁ、大丈夫。別に言いふらすつもりなんてないしな」
そうだ、晃はこういう奴だった。
「そうだな、確かに共通の趣味もあるし、ゲームで知り合ったな」
「だろ? なら誘ったら来てくれるだろ」
「いや、そこからが分からないんだが?」
「そうか? 簡単な話だよ。最近の友也の様子が変な感じから察するに、ゲームの中でしか遊んでなかったのにリアルでも訳あって話したり、遊んだりするようになったんだろ。それを拒絶されてないんなら誘ったら喜んできてくれると思うがな」
なんか色々と分かられすぎて怖くなってきたが、そんなに俺は分かりやすいのか?
「あぁ、めっちゃ分かりやすいぞ」
そう言って晃は笑う。
「ま、まぁ、お前の考えは分かった。だけど遊びに誘うかどうかは別問題だ。それに試験も近いから行くとしても試験明けになる」
「そうだな。まぁ、自分のペースで頑張りたまえよ少年」
「いや、誰だよお前……。とりあえず数学と化学のテキストを開こうか?」
俺が笑顔でそう言うと引きつった顔で晃が返す。
「お、お手柔らかに……」
「あぁ、もちろん。晃には感謝してるからな。しっかりと教えてやるよ」
二時間後、俺にみっちりとしごかれた晃は死んだ魚のような虚ろな目をしながら笑っていた。
「あははっ……」
「やりすぎたかな? まぁ、自業自得だが」
そんなことをしていると瑠璃から声がかかった。
「お兄ちゃん、晃さんは夕飯どうするの? 食べていく?」
その言葉を聞いた瞬間晃は生き返った。
「食べていきたいです!」
「ふふっ、了解だよ! ちょっと待っててね」
瑠璃は一階に戻り料理を始める。
「お前なぁ……」
「前からずっと食べたいと思ってたんだよ! これからも相談くらい乗るから許してくれ!な?」
「はぁ、分かったよ。それに瑠璃が嫌じゃなければ断るつもりなんてないしな」
「ありがとう! 我が親友よ!」
そう言って抱きついてくる晃を適当にあしらいながら料理の完成を待つ。
しばらくして瑠璃から完成したとの報告が来たので、晃と二人で一階に降りる。
「あっ、来たね! できたてだよ!」
「おぉー、美味そう!」
「だな、いつもありがとうな瑠璃」
「ふぇ!? いきなりどうしたのお兄ちゃん?」
「いや、何となくそう思ったから言っただけだ」
「えへへ、ありがとっ」
そんなやり取りをしながら俺たちは三人で食卓を囲む。三人で食べるのはいつぶりだったか、夏くらいだったかな、などと思い出しながら。その時は、父さんも出張から帰ってきていたな。そんなことを考えていると晃から話しかけられる。
「いいなぁ友也は。こんな可愛い妹から手料理を作ってもらえるなんて」
「そうでしょうそうでしょう! こんな可愛い妹がお兄ちゃんのために毎日頑張ってるんだからもっと褒めたたえてもいいんだよ?」
「晃落ち着け。それに褒めすぎると瑠璃が調子に乗る。あと料理や家事は二人で分担してるだろ?」
「ぶー、お兄ちゃんのけちー」
「そうだ、瑠璃ちゃん、うちの妹に来ないか? 毎日感謝も伝えるし、家だと自由にし放題だぞ!」
「おぉ! それは魅力的な提案ですね!」
晃と瑠璃が二人揃って馬鹿なことを言い出した。
「何言ってんだお前ら……瑠璃は俺の妹だぞ? 晃と言えど渡すつもりは無いからな」
「……」
「……」
「な、なんだよ?」
「そういうところだぞ友也」
「私はお兄ちゃんのもの……えへへ……」
晃はジト目でこちらを見ながら変なことを言っているし、瑠璃は顔を赤くして小声で何かを呟いている。一体なんなんだ。
「とりあえず冷めないうちに食べてしまうぞ」
「そうだな! まぁ、これだけ美味しければ冷めても美味いだろうけど」
そう言って食事を再開し、食器洗いは俺と申し出た晃でやることになった。
「それで友也は結局どうしたいんだ?」
「何が?」
「神崎さんとの関係」
「はっ? いや、どうもこうもないから」
「友也って学校だと無愛想で一人でいるけど、本当は良い奴だし、家事もできて、かなりのハイスペックなんだよなぁ。運動とかも今はやってないだけで出来ないわけじゃないし」
「いきなり何言ってんだか。それにさっきも言ったが神崎さんとはそういう関係じゃない」
「まあいいか。俺は親友として見守ってるから」
「よく分からんがそうしてくれ」
そうして皿を洗い終え、晃が帰ることになった。まぁ、そもそも泊まる準備なんてしてないしな。
「それじゃ、お邪魔しました」
「あぁ、気をつけてな」
「気をつけてね!」
「ありがとう! またな!」
そう言って晃は帰って行った。
「嵐が過ぎ去った気分だ」
「もぉ、お兄ちゃんそんな言い方はないんじゃないかな〜」
「そうだな。まぁ、でもあいつに今日は色々と言われたしな」
「彼女さんのこと?」
「まだそれを言うか……」
そんなことを瑠璃と話しながら部屋に戻り、明日の準備を済ませてから俺は眠ろうとしたが、どうしても晃と瑠璃が言ったことが頭から離れなかった。
「デートか……」
そして気づかないうちに俺は深い眠りについた。
少しずつ意識してきてますね……!!
早くくっつかないかな〜(誰目線)
まぁ、友也にも色々とありますので生暖かい目で二人の関係が進展するのを待っていていただけると幸いです。




