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112.夏祭りと浴衣と



 今日は夏祭りだ。新年にも初詣で来た大きな神社で夕方から行われる。

 今回はいつもの四人で回る……というわけではなく、一番の目的としては晃の告白の協力だ。


 とはいえ、晃と白雪の二人と故意にはぐれた後は彼女と二人で夏祭りを回るつもりでもある。友人のために協力はするが、彼女を疎かにはしたくない。



 そうして夏休みらしくのんびりとした日中を過ごし、少し日が傾いて来た頃になって家を出る。


 待ち合わせ場所に決めたコンビニへと向かう途中、浴衣や甚平の人を見かけたが自分もそうなんだよな……と、そんなことを考えているとすぐに着いた。


「おっ、友也! お前も着てきたんだな!」

「まぁな。成実と白雪はまだか?」

「おう! っていってもまだ時間よりも十分以上前だからな。それに華は浴衣着てくるらしいから着付けとかもあると思うぞ」

「白雪もそうなのか」

「ということは神崎さんも……って噂をすればだな」


 晃が視線を向けた先には浴衣に身を包んだ成実と白雪がいた。


「友也くん、和泉くん!」

「お待たせしたかな?」

「いや、俺も今来たところだ」

「おう、気にするな!」


 成実は薄紫色の紫陽花柄の浴衣に桃色の帯、髪は編み込んで後ろで小さくお団子っぽくなっている。白雪は紺色に菊の花柄、帯は紅色のもので髪は簪で纏めていた。


「どうかな?」

「あぁ、似合ってて素敵だよ」

「そっか……!」


 その後、俺も感謝と賛美の言葉を貰って早速移動することとなった。



 そうして会場の神社へ着いて、まだ全員夕食は食べていないとのことなので何か食べ歩くことにした。


「たこ焼きにイカ焼き、フランクフルトに……あっ、わたあめやりんご飴もある!」

「何にするか……」

「これだけあると迷うね」

「結構お腹すいてるし色々買うか。あ、列も長いところもあるし先に戻ったら食べてていいぞ!」


 各々好きな物を買いに一度別れる。俺と晃は焼きそばの列へと並ぶ。


「友也」

「ん、なんだ?」

「例の件だけど、後で分かるように合図するからその時に頼む」

「了解だ。今は普通に祭りを楽しむよ」

「おう!」


 そうして購入した後、他にも買うという晃とは別れて元の場所へと戻る。だんだん人が増えてきているが、運良く列が短い時に買うことが出来てよかった。



「あっ、おかえり。友也くんは何を買ってきたの?」

「ただいま。俺はとりあえず焼きそばだけ買ってきたよ。成実は?」

「私はたこ焼きを……あっ」

「ん?」

「えっと……それだけじゃ足りないかもだし、一ついるかな?」


 先に戻っていた成実からそんなことを言われる。後から何か甘いものでも買い足そうと思っていたが、無粋なことは言うまい。


「……なら、貰ってもいいか?」

「っ、うん! は、はい、あーん」

「あーん……」


 祭り独特の雰囲気のせいか屋台のが美味しかったのか、はたまた彼女から食べさせてもらったからかは分からないが、たこ焼きが異様に美味しく感じた。


「おぉ、二人とも仲良くしているね」

「っ! んぐ、げほっげほっ……」

「あっ、とと、友也くん! お水どうぞ!」


 背後からの白雪の声に驚き、たこが喉につっかえかけた。


「おぉ、すまない友也。驚かすつもりはなかったんだ」

「い、いや、気にするな。それに外で完全に気を抜いてた俺も悪いから」

「そ、そうだよ華ちゃん! それにこの後は……あっ!」

「三人とも早いな! ……って何かあったか?」

「う、ううん、なんでもないよ! 気にしないで!」

「あぁ、何でもない。それより晃は何を買ってきたんだ?」

「俺は焼きそばと唐揚げとチョコバナナだな!」


 再び集まった四人で食事をしつつ、他の屋台には何があったとか、どこには行ってみたいなどと話していると、気付けば全員が食べ終えていた。



「そろそろ移動するか」

「そうだねっ」


 食後、次は屋台を回ろうということになった。行き先は女子二人の気になるところからだ。


「金魚すくい! 久々だし、できるかな〜」

「まぁ、やるだけやってみようか」

「うん!」


 しかし、やる気いっぱいで挑んだ成実のポイはすぐに破けてしまう。


「わわっ。ん〜、やっぱり難しいなぁ……」

「こういうのは慣れてないと難しいからね」


 そう言いながら三匹目の金魚を容器へ入れた白雪。


「す、すごい!」

「華は屋台の遊びは昔から得意なんだよなぁ」

「おっと、四匹目は無理だったよ」

「それでも凄いよ!」


 その後、ヨーヨー釣りにもチャレンジしたり、クジ引きを引いたりしていたところで晃から俺にだけ聞こえるように「そろそろ頼む」と告げられる。

 「了解だ」とだけ返し、次はどこに行くかと話していた成実の元へと向かう。


「友也くん!」

「おぉ、どうした?」

「次は射的行こ! ささっ、早く早く!」


 テンションが上がった様子で俺の手を繋ぎ、人混みの方へと駆け出す成実。


「ちょ、成実!?」


 後ろは振り返らずにどんどん前へと進む。まだ彼女には伝える前だったが、どうしたというのだろう。



「そろそろ大丈夫かな? あっ、それに射的の前まで来れたね!」

「な、成実、一体どういうことだ?」

「ごめんね友也くん。実は私の方も華ちゃんから頼まれてたの」

「頼まれてたって……まさか?」

「うん、和泉くんと二人きりにして欲しいってね」

「そ、そうだったのか……」

「だからちょっと強引だったかもだけど友也くんを連れてきちゃった。ごめんね?」

「いや、俺の方もちょうど成実と二人で人混みに紛れようとしてたから気にするな。それよりもせっかく射的の前なんだからやっていこうか?」

「うん!」


 図らずも成実と同タイミングで頼まれ事を実行しようとして、上手く晃たちとはぐれることができた。残りの時間は大切な彼女と夏祭りを思う存分楽しもうと思う。


 それにあの二人がどうなるかは分からないが、悪い方向へは行かないようなそんな気がした。




 お久しぶりです。

 多忙ウィークがひとまず今日で終わり、また投稿の頻度を上げることが出来ると思います。というか夏休みを早く完結させたい……!


 文章を全然書けていなかったので、明日から早速毎日投稿という訳には行かないかもしれませんが、できる限り頑張っていく所存です。


 それでは今回もありがとうございました。また次もよろしくお願いします。

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