1.ゲームは終了するけど2人の物語は始まったばかり
「あなたがユウさん?」
待ち合わせ場所で待っていると声をかけられたため、操作していたスマホから顔を上げると、そこには学園の天使様が立っていた。
「……え?」
俺は思わず気の抜けた声を出してしまった。
そもそも何故こんなことになったのかというと、遡ること1週間。
『やっと倒せたね! お疲れ様!』
『あぁ、お疲れ様』
「ふぅ、疲れたぁ」
目標であった敵を倒し、一緒にゲームをしていたパートナーの『シャーロット』からのメッセに返事をしながら、俺『ユウ』こと一ノ瀬友也は深くため息をついた。
『これで実装されてるボスは全クリだな』
『そうだね! めっちゃ大変だったなぁ〜』
二人でかねてからの目標であった全ボス討伐を達成したため俺はとても感慨深い気持ちになっていた。
今プレイしているこの『銀の世界』という大規模MMORPGは、難易度設定が高い上にアイテムのドロップ率は低いことから、配信開始後約3年となる現在、アクティブユーザーは少なくなっている。
そのため、今も続けてプレイしているプレイヤーは各々目標を持っていたり、廃人勢だったりする。かくいう俺も二人でボス全討伐を目標にやってきていた。
二人でチャットをしながら、今後はどうするか考えていると運営から一通のお知らせが届いた。
『ん?お知らせ来たな』
『なんだろうね? あっ、もしかして新ボス実装とか!?』
シャーロットとそんなやり取りをしながらお知らせを開いてみると、そこには……
『サービス終了のお知らせ』
と信じ難いことが書いてあった。いや、ユーザー数を考えると有り得なくはない話だが、俺の脳は信じることを拒否した。
『え……? サービス終了ってどういうこと……?』
シャーロットの方もお知らせを見て困惑しているのか、そんながチャットが届いてはいるが動揺で返事を打てずにいると、さらにチャットが届いた。
『つまりもうこのゲームは出来ないし、ユウともプレイできなくなるの……?』
『そうなるな……』
何とか一言だけは返せたが、気持ちを落ち着かせずに、そのまま動揺した状態で何かさらに返事を返さないと、と慌てて送ってしまったのが間違えだった。
『もう一緒に出来なくなるなら、一度会って話さないか?』
気付いたらそんなふざけたチャットを送信していた。
「は? 俺、なに送ってるんだ?」
サービス終了のお知らせの時以上に動揺した頭でその後すぐに言い訳のようなことを送信する。
『いや、その、前に最寄り近いみたいな話になったし、このままシャーロットとゲームできなくなるのは俺としても本望じゃないし、無理なら全然構わないんだけど』
普段の頭ならもっとマシな言い訳も浮かんだだろうが、動揺が重なり、自分でもドン引きするようなものになってしまった。
「はぁ、何やってんだよ俺……」
シャーロットからの返信が停止してしまい、心の底から後悔しているとしばらくして一言だけ返信が届いた。
『いいよ』
「えっ、いいよ!? いや、さすがに無理してるだろ。……マジで?」
ゲームが配信開始されてすぐにパーティを組み、そのまま3年間ずっと一緒にやってきたから、断るのが申し訳ないと思いそれを送ったのだろうと考えた俺はすぐに返事を打ち込んだ。
『さっきのはドン引きしたよな。無理せずに断ってくれて構わないぞ』
『私はいいよって言ったんだよ? あ、もしかしてさっきのは気を使ってくれただけ?』
『いや、そういう訳じゃないけど……』
『なら決定だね! ユウの最寄りの駅前に来週の日曜集合ね!』
断っていいという旨の言葉を送ったら、会うことが決定してしまった。
『あ、時間は午前の11時ね!』
『お、おう』
『それじゃ、私はアイテム整理して落ちるね!』
『あ、あぁ、お疲れ様』
そのままシャーロットの勢いに押されていると、彼女はゲームからログアウトしてしまった。
「いや、マジかよ……」
サービス終了の件から会うことが決まるまでが怒涛の勢いだったため、混乱はしているが、ずっと一緒にゲームをやってきた仲の良いパートナーのシャーロットと会うこと自体は少し楽しみになってきている。
「来週の日曜って言ったよな? 今考えても仕方が無いな。よし、寝るか!」
俺はそのまま現実逃避をするかのように深い眠りについた。
そして一週間ずっと、日曜日のことを考えていたら学校の授業が頭に入ってこなかったがそこは許して欲しい。
それと、放課後に忘れ物を取りに行った時にすれ違った、学園の天使様と呼ばれている神崎さんが、いつもの微笑みではなく心からの笑顔のような表情をしていた気がしたが、きっと気のせいだろう。
迎えた当日。普段は九時までゆっくり寝ていたが、今日は約束の日であり、少し早くに目が覚める。緊張や準備で、結局眠りに就いたのは夜中なってしまったが問題は無い。
「あれ? お兄ちゃん今日は早いね?」
「お、瑠璃か、おはよう。今からちょっと出かけてくるよ」
「そうなんだ、気をつけてね!」
「おう。それじゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい〜」
休みの日も早起きである妹の瑠璃と少し話してから出発をし、約束は十一時となっているが早めに家を出たため十時を少しすぎた頃に最寄り駅に着いた。
まぁ、家にいようが早く着こうがやることがないことには違いないので、数少ない友人の晃に週明けに提出物が無いか聞こうとRICEというメッセージアプリを開いたタイミングで、
「あなたがユウさん?」
どこか聞き覚えのある声で、声をかけられた。
はじめまして、水咲音と申します。あ、ここは本編とは関係ありませんので読んで頂かなくても構いません。
まずはここまで読んでいただきありがとうございます!私の自身、小説を読むことは好きですが書いたことは全くありません!句読点の打つべき場所、セリフ、内心部分などどちらにした方が良いとも分かりませんし、拙い文章だったと思います。
ですが、元々頭の中でストーリーを考えるのは好きだったため今回はせっかくだし息抜きがてら文章に起こしてみようと思いました。
難しかったですが楽しかったですので今後も今まで考えてきたものを大量に発信したいとは思いますが、1つ書くのに時間がかかる上にリアルでの事情もありますのでゆったりとした更新ペースになると思います。
それでも良いよ、頑張れって方はよろしければ感想なんかもして頂けると嬉しく思います。
また、一応1章の構成は考えておりますが、こんな感じでどうでしょう、こういう甘々シュチュも良くないですか?みたいな感じのご意見もあればじゃんじゃんお願いします!
あ、一言だけのこれからも頑張れとかもとても嬉しいんですよ…?
これからも頑張っていくつもりなのでどうぞよろしくお願いします。