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082、お着替えです



 とうとう来ました!学園祭当日!忙しいけどしっかり楽しむぞ!


 私達のクラスは『森のうさぎカフェ』。名前が可愛いから、女性客が多いんじゃないかなって予想してる。私は午前のシフトだから、最初にちゃんと働いて、少し休憩した後で、生徒会のお仕事!頑張るぞ!





 と、その前に開会式。全校生徒が講堂に集まりますよー。私は両脇を何故かソフィアとリシューに抱えられて出動です。……え、本当に何で抱えられているの?私歩けるよ?なんか、身長差のせいで両足浮いてるんですけど?プラプラしてるんですけど?二人は「シルフィーが攫われないように」って言ってますけど、こんな所で誰が私を攫うんですか?どちらかというと現在進行形で攫われていますけれど?周りから注目集めていません?目立つの嫌なんですけど……。

 二人はそのまま私を降ろす事なく、講堂までたどり着きました。リシュー、はともかくソフィアの筋力凄いね?!ずっと私を抱えていたけれど、腕は痛くないのだろうか?あ、平気なんですね。私もやっぱり筋力つけようかな。あ、ダメですか?いいもん、今度こっそりするから。


 あと、正直、二人に抱えられるの楽しかったことをここに付け加えておきます。でも、学園以外でやって欲しかったかな。

 あ、講堂についたところで無事、私の両足は地面につきました。地面ばんざい。


「ふわぁ、全校生徒となるとやっぱり多いね」

「そうね」

「確かに入学式以来、全校生徒が集まる機会なんてなかったもんね」


 講堂にはクラスごとで座れるように椅子が設置されていた。


「リシュー、ソフィア、私達のクラスどこだろうね?」


 一年生の席はどこだろう?あ、あの子隣のクラスの子だったと思うから、私達もあの近くかな?

 えーっと、


「あ、私達のクラスあったよ!行こ!」


 私が指さしと方向にはクラスメイトが固まって座っていた。座る順番は決められていないみたいだけど、もうほとんど埋まってる。三人並んで座れる所あるかな?

 ソフィアとリシューの手を引いてそこに向かって行こうとすると、


「何言ってるの?私達の席はあそこじゃないわよ?」


 ソフィアに引き留められました。


「え、だってあそこ私達のクラス……」

「シルフィー、僕達は生徒会だよ。となると席は当然あそこ」


 リシューが指を差した方向は……、舞台。


「え、う、嘘だよね?」


 嫌だ嫌だ!あんなに目立つところ!


「ソフィア」

「ええ、分かってるわ」


 なのに、二人は目くばせをして頷き合ってます。こんな時ばっかりはふたりが仲良くて嬉しいなんて思えません!

 二人はさっきみたいに私の両脇を抱えて舞台まで連れて行ってしまいました。


 流石に皆が見ている前で足をプラプラさせて駄々をこねたりはしませんよ?じゃあ、抱えられて舞台まで行くのはいいのかと言われればどうしようもないけど、ちょっと混乱してたんです。

 …………なんだか異様に目をキラキラさせてこちらを見てくる人達の事は気にしないでおきます。リシューが、「あれって、『シルフィー様の笑顔を守り隊』の人じゃ……」と言ってるのもスルーです。





 舞台に来ても、私にする事はないので気は楽でした。ソフィアもリシューも同様。今回挨拶をするのは、生徒会長のルートお兄様だけ。

 私達は全校生徒の様子をぼーっと見ておけばいいのですよ。





 あ、ぼーっとしてる間に学園長の挨拶が終わった。ルートお兄様が立ったから、ルートお兄様の挨拶かな?

 その瞬間多くの女子生徒の目が光ったのが分かった。


「ひぅ」


 思わず悲鳴をあげそうになるけど、何とか耐えた。そっか、ルートお兄様人気があるもんね。

 そういえば、ルートお兄様って、いまだに婚約者が決まっていないけれど、いつ決まるんだろう?ルートお兄様はもう17歳。そろそろ婚約者を決めないといけないんじゃないのかな…。第一王子のレオンお兄様ももう結婚しているし。

 でも、だからこそ、その第三王子のルートお兄様を射止めたくて近づく女性が絶えないんだろうね。私、敵視されなくてよかった。アル様の婚約者って事で私は恨みをかいやすいけれど、公爵家っていう盾が私を守ってくれている。……はず。そういえば、ソフィアはそういうの大丈夫なのかな?いくら伯爵令嬢とはいえ、生徒会だから、ルートお兄様やリシューの婚約者の立場を狙う女性に何かされているんじゃないのかな…?あ、でも、ソフィアなら大丈夫かな?自分で反撃しそう。ルートお兄様もだけど、リシューもはやく婚約者を作らないのかな?

 まあ、でもあの二人なら、さらっと作りそうな気がする。好きな人を見つけたら、逃がさないように徹底的に追い込んで……。あ、なんか怖くなってきた。やめよう。


 それよりもルートお兄様の挨拶。


「このよき日に、こうしてナイア学園の学園祭を開催出来たことを嬉しく思う。ではここに学園祭の開催を宣言する」


 ……みじか!挨拶ってもっと長々とするものじゃなかったっけ??まぁ、早いのはいいことだ!この世界の挨拶って、こんなものなのかな?多分、私しか気にしてないし、他の皆は、ルートお兄様の挨拶を区切りにそれぞれの持ち場に帰っていっている。

よし、私も頑張ろう!


 あと、そろそろ舞台から降りてもいいですか?え、生徒会はここの片づけをしてから教室に戻るって?た、大変だ……。

 でも、一般生徒の何人かが手伝ってくれたから私は特にする事なかった。誰ですか、風魔法でさーっと椅子を片付けてくれた素敵な人。もしかしてジェイド先生?分からないけれど、ありがとうございます。楽って素敵。





 教室に帰ると、早く戻って来た人から順に着替え始めているみたい。今クラスにいるのは、半分の人数。カフェを回すのはシフト制で、午前と午後に別れている。私達は午前のシフトだからこれから着替えないと。それにしても、教室はもう森って感じ。とっても素敵!何だか昨日までいなかった動物の模型までいる…?リス、クマ、うさぎ……。か、可愛い!撫でたらだめかな?持ち上げたらだめかな?……我慢我慢。


 よし、頑張ろう。


「シルフィー、私達も着替えるわよ」

「うん!」


 ソフィアも同じ午前なので、一緒に女子更衣室へ行って着替える。


「生徒会お疲れ様」

「シルフィー様、すごく緊張されていましたね」


 私とソフィアが更衣室へ行くと、丁度着替えていた女子生徒の何人かが話しかけてくれた。


「ありがとう」

「ありがとう!」


 でも、緊張がばれていたのは恥ずかしい…。


「シルフィーの衣装はあるかしら」

「はい、ありますよ」


 あ、衣装班の人だったんだ。私の衣装を持って来てくれていたんだね。ありがとうございます。

 でも、私は結局自分の衣装を見た事が無い。まぁ、着ぐるみだけど。


「これです」


 衣装係の子が持って来てくれた衣装は、私が知っているるぅと一緒のピンクのふわふわで、


「ふわぁ!すっごく可愛い!」


 でも、


「少し思ってたのと違う…?思ったよりも着ぐるみっぽくない…?」


 勿論、すっごく可愛いよ?でも、私の衣装をうさぎって決める時に、リシューは着ぐるみって言ってた。

 今、私の目の前にあるうさぎの衣装は全然着ぐるみなんかじゃないと思う。だって、この衣装は可愛いメイド服みたいなんだもん。

 皆の衣装と一緒のシルエットだけど、ふわふわのるぅのワンピースに皆と一緒のエプロンが付いた感じ。そして、頭には帽子じゃなくてぴょこんとしたうさ耳カチューシャ。足にはふわふわ靴下にもこもこの靴。


 すーっごく可愛い!


「良かったわ、お気に召して」

「とっても素敵!」


 勿論、お気に召しますよ!だってこんなに可愛いんだもん!


「シルフィーが皆と一緒がいいって言ってくれたから、」

「ふぇ?」


 ソフィアが私を見てぼそっと呟く。


「シルフィーが皆と一緒がいいって言ってくれて嬉しかったのよ。でも、皆はるぅみたいなシルフィーを見たかった。だから、こんな形になったの。……どうかしら?」


 そっか。ソフィアたちも私の事考えてくれてたんだ。嬉しいな。ルートお兄様の言った通りだ。


「嬉しい。ありがとう」


 ソフィアの気持ちがすっごくあったかかったから、衣装をぎゅっと抱きしめてお礼を言う。


「それじゃ、早く着替えて皆にお披露目しましょ?」

「うん!」


 うんって言ったけど、お披露目ってなんだか恥ずかしいね。


 袖を通すと、ふわふわしたのがとても気持ちいい。汚さないようにしないとな。





「着替えました!……ふわあ!猫さんがいっぱい!」


 着替えた私は皆が待っている教室に向かう。そこには、猫さんがいっぱいいた。女子が猫メイド。男子が猫執事。

 ちょっと、誰かにゃーって鳴いてくれません?あ、リシューがいた!

 

 とことことリシューの所に歩いていく。どうやらリシューは内装の最終チェックをしていたみたい。


「リシュー、可愛い?」


 スカートをちょこんとつまんでリシューに感想を求める。


「うん。可愛い」

「へへ、ありがとう。リシューもすっごく可愛い!」

「ふふ。ありがとう」


 あ、さっきの私の欲望、リシューならかなえてくれそうね。


「リシュー、ちょっとお願いがあるんだけど、いい?」

「ん、なに?」

「あのね、ちょっとにゃーって言ってみて?」

「…………」


 あ、あれ?あっさり言ってくれるものだと…。何だか困ってる?


「あのね、こういうのは僕じゃなくてシルフィーが言った方が可愛いんだよ…?」

「私はいいの!リシューが可愛いからリシューにも言って欲しいの!」

「………はぁ、」


 た、ため息が大きい!でも、リシューの顔は「仕方ないなぁ」っていう顔だから。私の勝ちかな?


「一回だけだよ…?」

「うん!」


 聞き逃さないようにしっかり耳を澄ます。


「……にゃー、」

「!」


 こ、これは…!


「かわいい!!!」


 だってイケメンと可愛いの間にいるリシューが照れたようにいう姿は可愛いとしか言いようがない。


「ありがとう、リシュー」

「……どういたしまして」


 リシューは何だか疲れた顔をしていたけれど、私は満足です。





「それにしても、このるぅの衣装、すっごく着心地がいいね。誰が作ったの?」

「あぁ、それね。店の方に改造してもいいか許可をとろうと思ったんだけど、シルフィーがいつも贔屓にしてくれているからって、特別に新しく作ってくれたんだ。デザインはソフィア」

「ふ、ふぇ…」


 何だか衣装一つで凄い事になってたんだね…。確かに売り物の衣装を勝手に改造するのはいけない事なのかな…?わざわざ新しくデザインして作ってくれた皆様、本当にありがとうございます。

 でも、せっかくだから仲がいい子に見せに行こっと。




 


「……着ぐるみの方がよかったんじゃない?」

「……そうね。可愛すぎて別の問題が出てきたわ」

「『シルフィー様の笑顔を守り隊』が荒れそうだね」

「…………」


 というような会話を、遠い目をしたリシューとソフィアがしていた事をシルフィーは知らない。


 



もし、少しでもこの小説をいいなぁって感じたら、☆☆☆☆☆を★★★★★にしてもらてると、すっごく嬉しいです!

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