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081、準備は最終段階です



「あれ、おかしいな?学園祭まであと2ヶ月あった気がしたんだけど……」

 

 驚くことに、学園祭まであと数日。準備はなんていうか、びっくりするくらい忙しい。何か月も前から準備していたはずなのに、気が付けばもう目の前。でも、今回は例年みたいに生徒会の劇が無いから余裕があるみたい。皆は忙しい事に慣れているからそう感じるだけだよ。皆は将来社畜にでもなるの?働き過ぎだと思う。

 私の理想は一日中だらだらして美味しいもの食べてお昼寝も出来る生活だ。アル様と結婚する時点でそれは絶対叶わないんだけどね。……いや、叶うかな?


「確かにもう学園祭なんて早いわよね」

「ね、僕たちは運営者としては初めての学園祭だから、まだなんとなくつかめていないし……。そう思うと、ルートにぃとリリー様はすごいよ。ほとんどの進行を二人で回しているんだから」

「そうだよね……」


 いつもはめんどくさがって働かないジェイド先生も今回ばかりはちゃんと仕事をしている。勿論、私達1年生でも出来る所は丸投げしてくるけれど。でも、それでルートお兄様とリリー様の負担が減るならすごくありがたい。





「じゃあ、私は予算の最終確認をしますね」

「それなら僕は、見回りに行ってくるよ。放課後だからって規律を乱す奴が出ないとも限らないから」

「頼んだ」

「お願いね」


 ソフィアもリシューも自分に出来る事を見つけてしている。私も見習わないと。


「わ、私もリシューと一緒に見回りを」

「「「「却下」」」」


 ふぇー、皆に却下されました……。


「ど、どうしてですか…?」

「さっきリシュハルトも言っていたでしょう?規律を乱す奴が出てくるかもしれないって。そんなところにシルフィーを行かせられないよ」


 ルートお兄様の言葉に他の四人も同意する。


「で、でも、それなら、リシューだって危ないんんじゃ…」


 私が危ないなら、可愛いリシューだって当然危ない。上級生がいちゃもんつけるなら格好の的だよ。

 

「ふふ、心配してくれているの?」


 リシューが嬉しそうに聞いてくるけど、そんなの当たり前だよ!


「大丈夫だよ。僕、強いから」

「ふぇ?」


 ……な、なるほど?なら大丈夫なのかな?しかも、なんだか自信あるみたいだし、「強いから」って言った時の顔、なんだかすごく格好よかった。多分、本当に強いんだろうね。ルートお兄様もうなずいているし。


 じゃあ、私は何をしようかな……。


「あるよ。シルフィーにしかできない重要な役目」


 なんと。そんな大事なことが!


「なんですか?」


 ルートお兄様とリリーお姉様は顔を見合わせて、笑った。





「はい、あーん」

「あーん!」

「シルフィー次はこっちだよ」

「はーい!」


 もぐもぐもぐ


 んまーい!


「あらあら。はい、あーん」

「あーん!」

「ふふ、じゃあ、もう一度こっち向いて、あーん」

「あーん!」


 もぐもぐもぐ


 うまうまうま


 ………何をしているんでしょうね、私は。


 何となく察した人もいると思いますが、私は今、リリーお姉様とルートお兄様にケーキを食べさせて貰っています。……これが私にしかできない事みたいです。


 リリーお姉様、ルートお兄様は、例年よりは少ないけれどそれでも仕事が多すぎて、ストレスが溜まっていたみたい。そこで欲したのが癒し。という事で、ケーキです。私です。餌付けです。何でそうなるんだろうと思ったけれど、私的には、美味しいケーキが二つも食べられたんだから文句はないです。


「うまうまです」


 あ、間違えた!心の声がそのまま出ちゃった。


「すっごく美味しいです!」

「はぁ、癒されるわぁ」

「そうだね、毎日してもいいかも…」


「!!」


 そ、それってつまり、毎日美味しいケーキが食べられるという事ですか?!寧ろ私にとってご褒美ですよ!





 でもね、私の持論ですがストレスを解消するにはもっと効果的な方法があると思うんです!今実践してあげます!


 ステップ① 椅子から降りる

 ステップ② ルートお兄様とリリーお姉様の間に立つ

 ステップ③ ぎゅーーっ!!


「いつもお疲れ様です!」


 アル様にはいつもこうやってるもん。よく考えたら私ってストレスをためるほど働いたことないね。でも、ぎゅーってされるのってとっても癒されると思うんだ。持論だけど。


 二人の反応はどうかな…?


 そーっと二人の顔を伺ってみると、二人は……。何だか召されている?!何だか、幸せそうな表情のまま魂が抜けていないですか?!


「はぁ、召されそう」


 り、リリーお姉様、冗談になってませんよ?本当に召されそうですよ?!


「魂持っていかれそう」


 だから冗談になってませんよ、ルートお兄様!


「涙が出そうだわ…」

「これぞ究極の癒し…」

「はぁ、持って帰りたい」

「私だって…」

「あぁ、でも、これを知られたらアル兄上に怒られるかな」

「そうね。黙秘の方向で」

「了解」


 二人が良かったなら私も嬉しい。「またやってね」って言ってくれたし、二人が疲れたらいつでもぎゅーっとしますよ!

 あ、でも、二人から「耐性の無い人にはやったらダメだよって言われました。『たいせい』ってなんの事だろうね?

 そして私はお仕事せずに一日が終わってしまいました。さ、さぼりたくてさぼってるんじゃないよ?!生徒会長のルートお兄様公認なんだからいいもん!





 そして後日。クラスの出し物の最終確認!


「これはこれでいいんだよね?」

「うん、大丈夫。そういえば、この衣装って」

「あぁ、それは委員長にお願いしたよ」

「ねぇー、内装、ここもう少し、森っぽくした方がいいかな?」

「うーん、ここは十分じゃないかな?それよりもあっちにもう少し飾りを増やした方がいいかも」

「確かに!ありがとう」

「売り物班、材料これで全部?」

「そー。あと、もし足りなかった時の為に少し予備を買ってる。余ったら食堂のシェフに渡したらいいって。後日使って貰えるみたい」

「分かったわ。なら、こっちは大丈夫だから、明日のスケジュールの最終確認お願い」

「了解」




 

 い、忙しい…!


 とうとう明日は学園祭!今日はどの学年も授業は休みで、一日かけて準備をしていく。私はさっきまで売り物班の皆と当日使う材料をかき集めていた。そしていま、ようやく皆で買い終わった所だ。


「シルフィー、お疲れ」

「ありがとう、リシュー」


 内装を担当していたリシューも少し落ち着いたみたいだ。まだ完全とはいかないけど、段々森らしくなってきている。やっぱり森っていうテーマがいいよね。何だか落ち着く雰囲気になってきている。私は完成形をちゃんとは知らないから楽しみ!それを言ったら衣装もよく知らないんだよね。取り敢えず、皆が猫メイド、猫執事で、私がうさぎの着ぐるみって事しか知らない。私は着ぐるみだけど、試着をしていないから大丈夫なのかな?一応、ソフィアが私の採寸をしていたから、サイズは大丈夫だと思うんだけど。……って、あれ?着ぐるみに採寸っている?私って既製品の着ぐるみ着るんだよね?リシューが、私がるぅを買ったお店でるぅそっくりの着ぐるみがあったって言ってたからそれの事だよね?


「という事は、売り物班の今日出来る事は全部終わったって事かな?」

「え、あ、うん!」


 危ない、ぼーっとしてた。


「なら、売り物班の人は、買ったものを仕舞い終わったら、衣装班と内装班を手伝ってもらおうかな」

「はーい」

「分かったわ」

「了解」


 よし、私も頑張るもん!どの班の準備も後少し。明日には問題なく間に合うって言葉を聞いてほっとした。


「じゃあ、明日に向けて、『森のうさぎカフェ』皆でがんばろ!」


「「「おー」」」


 委員長の声掛けで、皆にやる気がみなぎっていく。明日が楽しみになって来たな。




もし、少しでもこの小説をいいなぁって感じたら、☆☆☆☆☆を★★★★★にしてもらてると、すっごく嬉しいです!

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