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071、私はどうやってもうさぎらしいです




「ふぇ、学園祭ですか?」

「うん」


 生徒会にも少しずつ慣れた頃、今日の会議で上がったのが学園祭の事だった。


「学園祭って、2月以上後ですよね?」

「そうだよ。でも、早めに準備しておかないと間に合わないんだ」

「ふぇえ」


 い、忙しくなりそうだね。いや、今からもう忙しくなるのか。


「ソフィア、シルフィー、リシュハルトは初めてのこっち側の学園祭だけど、頑張ろうね」

「はい!」

「はい」


 そうだね、今まで参加する側だったけど、主催者側は初めてだ!頑張るぞぉ!!

 ………ところで、違和感があったのだけど、私の気のせいだろうか?


「ねぇ、ルートにぃ、いつからソフィアの事呼び捨てするようになったの?」

「よく言った、リシュー!」


 そうだよね、気になるのそこだよね!今まではソフィア嬢だったのに、いつのまに?


「ん、ずっとこうだよ?気付かなかった?」


「「……」」


 絶対違う!!そう思ってるのに、私もリシューも、ルートお兄様の黒い笑顔を見ると何にも言えない………。


「ソウデシタ。ズットソウデシタ」

「ウン、ルートにぃノイウトオリ」


「よろしい」


 黒い笑顔、逆らわない。絶対。





「という訳で、いそがしくなるわよ」


 リリー様の言葉で、何だかヒヤッとしている空気があったかくなった気がした。リリー様、神様ですか。そして、そっと紅茶を私に差し出してくれるリリー様、神様ですね。


「明日か明後日にはクラスでの話し合いが教員から行くと思うから、クラスごとに出し物でやりたいことを決めていくのよ」

「…なんだか、学園祭が近くなってきた感じがします」


 私のクラスは何をするんだろう?こういうのって揉めそうだなぁ。






 …と思ってたのに。

 あっさり決まりそうです。





 クラスの委員長が「自分がやりたいものを各自あげて、そこから全体で選んでいこう」というので、皆それぞれ第1~3候補まで挙げてそこから選ぶようになったんだけど、


「喫茶店が一番多いね」

「喫茶店がいいんじゃない?」

「いいと思う!」

「うん、喫茶店、賛成!」

「いいじゃん!」


 って事で、早々に決まりそうです。先生は「このクラスは基本常識人しかいないから」って言ってるけど、それは教師としてどうなのでしょうか…?いいことなんだけどね。でも、多分、問題はここから。何の喫茶店をするか。


「それじゃあ、何のテーマで喫茶店をする?」


 委員長の声掛けで皆が再びアイデアを出し合う。


 あ、でも、これは言っておかないと…。


「あ、あのね。もし、他の学年とかクラスとかと一緒になっちゃったら、かぶった所のどっちかが変更しないといけなくて…。飲食店はいくつあってもいいみたいなんだけど、テーマがかぶらないようなものがいいかも…」


 皆が楽しそうに話してるところ悪いけど、もし決まった後にダメだったらもっと困るだろうし…。




「そしたら、他のクラスの人が思いつかないようなものを出さないとな!」

「だな!」


 委員長がそう言ってくれて、他の人達も同調する。

  

 このクラスはとっても温かい。


 貴族ってもっとこう…、気取った人たちがいっぱいいるものだと思ってた。でも、学園生活は前世と全然変わらない。私が公爵令嬢でも仲良くしてくれる。こんなにあったかいクラスで良かった。……本当にこのクラスで良かった。

 ……転生して良かった。





「他のクラスとかぶらないようなものって事は、メイドとか、執事喫茶は避けるべきだな…」

「となると、どんなものがあるかな…」


 確かに難しい…。どんなものがあるかなぁ。


「メイドがだめなら…、んー…」


 ダメだ思いつかない…。


「リシューは何かある?」

「そうだなぁ、」


 リシューはそこで何で私を見るのでしょうか?何で私の頭を撫でるのでしょうか?


「シルフィーに似合いそうな衣裳は何があるかなぁ。アルにぃに怒られないような可愛いやつ…」

「……」


 あ、リシューはなんか、喫茶店のテーマより私の衣装を考えています。ほっときましょう。


「ソフィアは何か思いつく?」

「そうねぇ、………ねこ?」


 ぜーったい、この前の私を思い出したよね?!


「もう、ソフィア!」

「あはは、ごめんて。でも、実際いいんじゃない?動物カフェとか」


 もう!却下です!!


「だ」


「「いいじゃん!!」」


 だめ!って言おうとしたんだけど、クラスの人たちの目が輝いてる?!確かにそれなら、かぶら無さそうだけど!


「で、でも、皆も動物の格好するって事だよ?」



「「「「え?」」」」


「え?」


 何で皆意味が分からないって顔するの?動物カフェって事は男子も女子も動物の格好するんだよ?あれ、それとも、私が思い浮かべている動物カフェは皆が思い浮かべている物とは違う?


「リシューも動物の格好するよね?」

「…ふふ」


 え、その笑いは何ですか?


「そ、ソフィア?」


 ソフィアもするんだよね?


「ふふ」


 だから、その笑いは何?なんでクラス全員同じような表情をしてるの?!


 え、私がおかしいの?!






「聞いてくださいルートお兄様っ!!」


 私は生徒会室に入るとルートお兄様に泣きついた。


「わ、私、うさぎなんですっ!るぅは好きだけど、着ぐるみはもう卒業したんです!なのに、リシューが、あの雑貨屋で私に合うサイズの着ぐるみがあるとかいうからっ!」

「私だけなんです!最初は猫さんだったのにうさぎさんになったんです!皆メイド服とか執事服に猫さんなのに、私だけ着ぐるみなんです!」

「私だって、皆とおそろいがよかったのにぃ!!」


「うーん、よく話が見えないけど、学園祭当日のシルフィーが可愛いことだけは分かった」

「そうね、シルフィーが可愛いことはよくわかったわ」


 いつの間にか私の事を呼び捨てで呼んでくれるようになったリリー様が部屋に入ってきて、ルートお兄様に同意した。


「これも全部、リシューとソフィアのせいだもん!!」


「「よしよし」」


 ルートお兄様とリリー様が私の頭を撫でてくれる。そのまま二人に抱き着いて、心の中で叫ぶ。


(リシューとソフィア、絶対にゆるさない!!)





 そうして決まったカフェの名前は、

 

『森のうさぎカフェ』


 メインはウサギです。言わずもがな私です。

 人見知りなのに、一人だけ目立つなんて恥ずかしいのに! 




 みんなでじゅんびがんばろーー……、おーー……。






もしよければ☆☆☆☆☆を★★★★★にしてもらえると嬉しいです!作者のやる気に繋がります!

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