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061、お友達になりました



「おはようございます、殿下、リシュハルト様、シルフィー様」

「おはよう」

「おはようございます」

「お、おはようございます!」


 ソフィア様の挨拶に、ルートお兄様、リシュー、私の順番で答える。ヒロインに話しかけられちゃった!しかも、私の名前を知ってくれていた!私達が会ったのなんて、適性検査の時ぐらいなのに!


 ソフィア様は、私達の姿を見つけると、驚いた目をした後に、わざわざこっちに来て挨拶をしに来てくれた。私がジーっと見ていた事に気付いたのかな?ルートお兄様の存在も無視できないしね。


 それにしても、やっぱり可愛い!5年前より長くなった髪は小説の挿絵とは少し違う髪型に結い上げられている。……なんだか、私の髪型に似てる?嬉しい!お揃い!

 身長も少し伸びていて、顔つきも変わってきている。

 

 そしてなにより……、その、私がまだないものをお持ちで……。

 わ、私だって大きくなるもん!!





「ふふ、やっぱり。シルフィー様はかわいらしいですね」

「ふぇ?!」


 え、いきなりどうしたのですか、ソフィア様。しかもそれはこちらのセリフなのですが?

 

「えっと、あの」


 なんて返せばいいの?!アル様やお兄様、お姉様、リシューに言われるのとはまたなんか違う気がする。ありがとうございますと返すべきか、それとも、ソフィア様の方が可愛いですと返すべきか。いや、後者は本音だからそれでもいいとは思うんだけれど。


 というか、ソフィア様は私のどこを見てそんな事を言ったんだろう。今の所可愛い行動なんて一切していませんけれど。


 なのに、ソフィア様の言葉に大げさな反応を示したのはルートお兄様とリシューの方だった。


「ソフィア嬢も分かってくれるか、この可愛さを」

「流石。シルフィーが友達になりたいというだけあるね」


 ちょっ!ルートお兄様、何言っているのですか!しかもリシュー、それ内緒のやつ!


「え、友達ですか?」


 ほら!ソフィア様だって疑問に思ってるじゃん!リシューのばか!


「うん。シルフィーが友達になりたいんだって。5年前の適性検査で姿を見た時からずっと言ってるんだ」

「リシュー!」


 もうやめてよぅ!これ以上は流石に恥ずかしい!リシューは私のお母さんですか?!


「本当ですか!実は私もあの時にお二人の姿をみて、是非お知り合いになりたいと思っていたんです」


 ソフィア様が恥ずかしそうに、もじもじとそんな事を言ってくれた。可愛すぎて悶えそう。奇跡は起きた!


「えっと、じゃぁ、私とお友達になってくれますか?」


 ここで断られたら私泣きますよ。


「ふふ。是非おねがいします!」


 !!!

 


「やった!!」


 リシュー、馬鹿なんて言ってごめん。リシューのお陰だよ。


「じゃあ、敬語とかなしですよ!」

「ふふ。ではシルフィー様もなしですよ?」

「うん!あ、でも様もなしがいいなぁ」


 流石にこれは難しいかな?でも友達なら気軽に呼び合いたい。


 こんな時こそ必殺上目遣い!女性に効くかは分からないけれど!





 結果。効きました。


 真っ赤になったソフィア様は


「で、では、私もソフィアで…」


 と言ってくれた。


「うん、ソフィア!」

「よろしくね、シルフィー」

「うん!」


 これでお友達が出来た!初めての同い年の女の子のお友達!今まで同い年の友達なんてリシューしかいなかったんだもん!


「ふふ。おともだち……。へへ」


 うれしいなぁ。




「え、可愛すぎません?この子今までどうやって生きてこれたんですか?」


 え、急になに?ソフィアの顔が何だか怖くなっている。


「やっぱり、ソフィア嬢もシルフィーの可愛さを分かってくれるか」

「はい。公爵令嬢であるシルフィーに失礼だとは思いますが、動きが小動物みたいで、かわいらしくて。しかもこのあざとさもシルフィーだからこそ許せる可愛さで……、攫われないかと心配で」


 え、人間ですらない?


「だろう。何をしても可愛いんだ。だからこそ、アル兄上からも目を離さないように言われているんだ」

「アル兄上……、とはシルフィー様の婚約者のアルフォンス殿下の事ですね」

「ああ、リシュハルトと共に、シルフィーに目を向けていてくれないか?」

「僕だけだと、常にシルフィーと一緒に居られるわけじゃないから、女性の誰かにお願いしたかったんだよね」

「そうだね。迷子になったり、知らない人に話しかけられてついていかないようにリシュハルトと一緒に見張っていてくれ」

「分かりました」


 ……あの、私15歳なんですが。子どもではないのですが。迷子……、はまだしも、知らない人に話しかけられてもついていきませんよ?


 拗ねますよ?





 ルートお兄様はその後、教師に今日の運営の事で呼び出されてしまったので、そのまま3人で入学式にいく事になりました。そして、リシューとソフィアもお互い敬語では無くていいってなりました。でも、ソフィアはリシューの事、リシュハルト様って呼ぶみたいです。それでも、友達が仲がいいって嬉しいね。

 

「ソフィア、シルフィーのあざとさは本当に危険だから、甘やかし過ぎたらだめだよ?ただでさえ可愛いんだから、余計に変な虫が付く」

「うん。分かった。私も気をつける」


 ……えーー、まだそのまだ続いてたの?


「それにしても二人は仲がいいんだね」

「うん、幼馴染だからね」

「リシューは私の弟みたいなものよ!」

「「いや、逆だよね」」


 !!

 

 まさかの全否定!


「確かにリシューの方がしっかりしてるかもしれないけど…」

「かもじゃなくて絶対だと思うよ」


 し、知り合って数分でソフィアにダメな子認定されてる!


「「ふふ」」


 あ、二人とも笑ってる!人の事からかって遊んでたのね!この二人気が合うのかな?


 ……仲がいいのはいいことです。


「まぁ、冗談は置いておき、会場はこっちだよね」

「たぶんそうだと思う!」


 リシューが指さした方向に同意する。


「二人はこの学園に詳しいの?」

「うーん、詳しいっていう程じゃないけど、シルフィーと一緒に何度か学園祭に来てるからね」

「ふふ、楽しそう。二人の仲が良すぎてアルフォンス殿下が嫉妬しそうね」

「……嫉妬?」

 

 嫉妬?私とリシューの仲の良さを?変なの。


「アル様は嫉妬なんかしないよ?」

「そうなの?」

「うん」


 だって、私とアル様はちゃんと仲良しだもん。それに政略結婚だから嫉妬なんてしても意味がない。このままいけば私とアル様は自然と結婚するんだから。それにリシューと私は友達だもん。それ以上の関係になる事はないよ。


 でも、リシューの意見は私とは違ったみたい。


「それには異論を唱えるよ。アルにぃは本当に怖いから。シルフィーの事が好きすぎていつか閉じ込めるんじゃないかと危惧してる。僕なんか、少しでもシルフィーに手を出そうものならすぐにお払い箱だよ」

「へ、へぇ」


 なんてこというの、リシュー。ソフィアだって引いてる。


「つまり、シルフィーを敵に回すという事は、アルにぃを敵に回すという事」

「それなら私の役目はシルフィーに近づく不届き者を徹底的に排除すればいいって事ね」

「そう」


 ……そうじゃないよ!なに二人で通じ合ってるの?!羨ましい通り越して怖いよ!ソフィアって癒し要員だと思っていたけれど、結構過激派だったのかな。そんなところも素敵です。









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