005、お兄様は子守りが上手です
投稿遅くなってごめんなさい!
おいしいゼリーを食べた後は、ディーと庭で遊んだ。
「ディー、いっくよ~!」
私は、あまり走る元気はないから、フリスビーを投げるだけ。そして、ディーがそれを走ってキャッチして、毎回私のところに持ってきてくれる。フリスビーを私に差し出した後、頭を撫でて、とでも言うように頭を下げてくるのがかわいい!
「ディーすごいね!かっこいい!」
そう言いながら精一杯ディーを撫でる。前世では犬が飼えなかったけれど、フリスビーを飛ばしてそれを犬にキャッチしてもらうの、1度やってみたかった。今思えば、前世ではやりたいことが意外と沢山あったかも。ディーにギューッとくっついていると、何故かお兄様に頭を撫でられた。お兄様の顔を伺うと、何故か片手で顔を覆っていた。
「おにーしゃま?どうしたの??」
「いや、ちょっと可愛さにやられただけだ」
(可愛さに?)
「はい!ディーはとってもかわいいし、おりこうさんです!」
お兄様の言いたいことは凄く分かる。ディーはとても可愛い。前世でペットを飼いたかったけど飼えなかった分、余計に可愛く見える。お兄様は複雑な表情でこちらを見ながら呟く。
「いや、まぁうん。ディーも可愛いんだが……」
「?」
あれ?ディーの話をしてたんじゃないのかな?よく分からなくて使用人達を見てみると、凄くいい笑顔の人や、お兄様みたいに顔を覆って悶絶している人、頬に手を当ててうっとりしている人などがいた。結局よく分からなかった。
「むかーしむかし、あるところにとても幸せな家族がいました。その家族にはとてもとても美しい娘がおりました。その娘は―――」
ディーと遊んだ後は本を読んで過ごすことにした。今はお兄様の膝の上に座って本を読んでいる。……読んでいるというか、読んでもらっている。私はこの世界の文字が読めないみたいだった。今読んでいるのは絵本だから、絵で何となく内容は分かる。けれど、やっぱり読んでくれるって、何か特別感がある。それに、お兄様は本当に読むのが上手。これが子守唄なら私はもう寝ていた。おまけに、時々頭を撫でてくれるもんだから、とても幸せ。お兄様は、本当はベッドで読んでくれるはずだったらしいけど、天気がいいからここで読んでくれるみたい。……それに私がベッドから抜け出しちゃったし。
今読んでくれているのはシンデレラに似た物語。お姫様と王子様が出てきて、魔法でドレスを作る。少し違うのは、ガラスの靴じゃなくて、ダイヤモンドの靴って所かな?体が小さくなったからだろうか……、この物語が楽しくてしょうがない。ついつい次を急かしてしまう。お兄様は苦笑しながらも読み進めてくれる。 正直、男の人がシンデレラを読み聞かせるのは何か変な感じがするけど、でも、お兄様は読むのが上手だから問題ない。絵本の王子様より、むしろお兄様が王子様みたい。
お兄様の読み聞かせは本当に上手だった。子どもに聞かせるように(実際子どもだけど……)ゆっくり読んでくれる。その上、読み聞かせながら優しく頭を撫でてくれる。横にディーもいたから、ふわふわの毛が当たってきて癒されたのもあった。 まぁ、そんな訳で、気がついたら寝ていました…………。
本当にいつ寝たのか分からないくらい。女の子がダイヤモンドの靴を履いて舞踏会に行った所までは覚えてる。その後、王子様とダンスを踊ったかどうかが曖昧。もう本当に、眠たいなぁ、なんて思うまもなくスーッと寝てしまった。食べたら眠る。完全に子ども生活だよ……。でも、もっと驚いたのは、起きたらお姉様の膝で寝ていたということ。お兄様の膝の上で座った状態で寝たのに、起きたらお姉様の膝枕で寝ていた。……寝心地は良かったけど。