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044、文化祭に行きます



 という訳で今日はリシューと一緒にナイア学園の学園祭に来ています。でも、ここに来るまでに、すーっごい問題が起きて大変でした。





 実は、今日私とリシューが着る服は、私の家が作る事になっていました。父曰く「シルフィーのお守り役をしてくれるんだからリシュハルトの分の服くらい我が家で作るさ」との事。既成の服でもよかったんだけれど、そこは貴族らしく新しく作るみたい。一週間以内にお洋服を作れるのかという疑問が出てきたが、魔法を使えば可能らしい。魔法凄い。

 

 その時点で全く問題は無かった。それどころか、お揃いにして双子コーデも楽しそうだね!なーんて話していたくらいだ。

 リシュハルトは可愛いから、ふわふわしたお洋服も似合いそうだね~って話をしていた。





 でも、問題はここで起きた。


「私は反対だ!どうしてシルフィーにこんなものを着せなければならない!そんなものを着てシルフィーが外に出れば可愛すぎて攫われるだろう!」

「その為のリシュハルトだろうが!それに、シルフィーは何を着ても天使にしかならないんだから、せっかくなら思い切り可愛くした方がいいじゃないか!」

「私もスティラに賛成よ!私にはこんな可愛い妹がいるんだって自慢して回るんだから!」


 これは適性検査の翌日。リシューと二人でどんな服を着ていこうかなぁと話していた所に登場したのが、アル様、お兄様、お姉様の3人です。

 最初は仲良くスケッチブックに私達の服を描きながらどんなのがいいかなぁって話していたのですよ?でも、完成に近づくとどんどんヒートアップしてきて、今の状態になります。


「では、ここはリボンではなく、レースにしたらいかがですか?そうすればリシュハルト様の服ともお揃いにしやすいですし。」

「ふむ。流石アンナだ」

「恐れ入ります。」


 そして、そこに我が家のメイド達も入り込んできて今、私の部屋はカオスです。


 私もリシューも話についていけなくて死んだ目をしています。


 結局私達のお洋服は皆に任せる事にしました。ただ、動きやすい服にしてください、という条件はつけておきました。


「どんな服になっているんだろうね。」


 と疑問を投げかける私に対して、リシューは


「常識ある人達だから、きっと大丈夫だよ」


 というなんとも言えない返事を返してくれました。





 学園祭当日の朝の今日、衣装を着る為にリシューが朝早くから家に来てくれました。そして、そこにお兄様とお姉様は分かるのですが、アル様までいます。……お兄様達、学園に行かなくていいんですか?


 そうして出来上がったお洋服を今、リシューと一緒に着ているのですが……。


「「「可愛い、尊い」」」


 皆倒れちゃいました。





 今私とリシューが着ているお洋服は『不思議の国のアリス』に出てくる双子の様な衣装。それの、ズボンとスカートバージョン。でも、色は奇抜じゃなくてみんなの前で着ても違和感が無いような色合いになっている。


「リシュー、かわいい!」

「シルフィーもかわいいよ」

「えへへ」

「ふふ」


 ふふ。リシューを見ているとふわふわする。私だったらこんなに可愛くてリシューとお揃いになる衣装思いつかなかった。お揃いといってもせいぜい色くらい。流石お兄様たち。後メイドさん。


「「とっても素敵なお洋服ありがとうございます!」」


 リシューと一緒に倒れている皆にお礼を言う。大丈夫。いつもの調子でいけばそろそろ目を覚ますと思うから。それまでリシューと一緒にお洋服の見せあいっこしているね。





 そうして皆が立ち直る頃には、お兄様達は学校へ行かないといけない時間になっていました。


「いいかい、シルフィー。絶対リシュハルトの傍を離れてはいけないよ」

「リシュハルトもシルフィーから離れる時は誰か知っている人にシルフィーを預けていくんだよ。絶対シルフィーを一人にさせるなよ。」

「シルフィー、ちゃんとリシュハルトの手を握っているのよ。」


 そうしてお兄様達が出かける瞬間、私とリシューは沢山の注意事項を聞かされています。多すぎて最初の方の注意事項忘れているよね、リシュー?…え、リシューはちゃんと覚えている?じゃあ、私の分まで守って下さい。


 でも、皆、私の事を子ども扱いしすぎじゃないですか?もう10歳ですよ?前世では小学4年生か5年生ですよ?


「私、もう子供じゃないから迷子になんてならないのに…」


 ふてくされたようにそういうと、


「「「「そうじゃない」」」」


 と声に出してそう言われた。しかもリシューにまで。リシューは私の味方なんじゃないの?


「あのね、シルフィー。シルフィーは可愛いんだから、一人になった所に知らない人に話しかけられるかもよ?たーくさんの男の人とかに囲まれたら、シルフィー、一人で大丈夫?」

「ふぇ」


 リシューが諭すように言ってくれるけれど、無理無理無理!!知らない人苦手だよぅ…。特に男の人に囲まれるなんて怖すぎる。


「やぁ、リシューと一緒にいる…」


 想像して来ただけで、目うるうるしてくるけれど、よく考えたら、今日は知らない人がいっぱい来るんだよね。……こわ。


「うん、そうしようね」

「あい」


 目をこすりながらリシューのうでにしがみつく。それで、リシューは私の頭をよしよしと撫でてくれる。はぅ、気持ちいい。


「リシュハルトに任せておけば大丈夫だな」

「そうだね。」


 何だか皆、私よりリシューの方がしっかりしているみたいに言う。…前世を含めたら私の方が年上なのに。





 そんなこんなで学園祭に来ています。お兄様達は準備とかがあって先に家を出ていったので、私とリシューはその数時間後にゆっくり学園に向かいます。

 え、そんなに後に出るのになんではやくから着替えて準備していたのかって?そんなの学園に行く前にみたいとお兄様達が言ったからに決まっているじゃないですか。リシューも付き合わせてごめんね。






 

 大きくナイア学園祭と書かれた門の前ではアル様が私達を待ってくれていた。


「アル様!わざわざお出迎えしてくれたんですか?」


 アル様は生徒会副会長で忙しいはずなのに。


「うん。レオン兄上がシルフィーとリシュハルトを出迎えるくらいならって時間を作ってくれたんだ。」


 レオンお兄様素敵!!


 私がニコニコしているので言いたいことが分かったのか、優しく頭を撫でてくれる。アル様も素敵。


「さて、シルフィー。今日の約束は覚えている?」


 約束……?…ハッ!


「リシューと手を繋ぐ事!」


 さっと、あたかも最初から繋いでいましたよ、という風にリシューの手を握る。


「うん。今日は人が多いから気をつけるんだよ。」

「はい!」

「……リシュハルト、今日のシルフィーはふわふわしていると思うから、気をつけてね。

「うん。全力でシルフィーを見張っておくよ、アルにぃ。」

「よし」


 ふわふわ…?ふわふわってなんだろう?私は今日も最高にしっかりしていると思うんだけれど?全く、失礼しちゃう!


 そんな事を考えていると、リシューと繋いでいる方と反対の手をアル様に繋がれた。気分はドナドナ~。


「それじゃ、中まで二人を案内するね」

「お願いします!」





 三人で入った校舎にはきらきらした世界が広がっていた。照明とかがきらきらしているのもあったけれど、『学園祭』自体が私にはきらきらして見える。


「きらきら!」


 思わず、口に出してしまう。そして、すぐにもっときらきらしている所を見つけた。それは……、沢山の生徒に囲まれているレオンお兄様と、その婚約者のディアナお姉様!


「リシュー、アル様!あっちに行くの!あっち、きらきらなの!」


 二人の手を引いてレオンお兄様とディアナお姉様の所に行こうとすると、私と手を繋いでいた二人が私の手を引張った。


「?」

「「……」」


 どうして行かせてくれないんだろう?


「リシュハルト、分かったか?」

「うん、これは危ないね」

「あぁ、ほら、シルフィーの笑顔にやられた奴らがそこらかしこで出ている」

「わぁ、これはすごい」


「?」


 二人とも、ぶつぶつ言っていないで、私をレオンお兄様達の所へ行かせてください!そう思って二人を睨むのに


「ダメだよ、シルフィー。そんな事されても可愛いだけだよ」

「うん。全く怖く無いね」

「むぅ」


 二人が意地悪するよぅ。お兄様にあとで言いつけてやる!


「じゃあ、私は生徒会の方に戻らないといけないから。」

「え、もう行っちゃうんですか……?」


 もう少し一緒にいられると思ったのに。本当にお出迎えだけなんだ…。しょんぼりしていると、二人から頭を撫でられる。だから子ども扱い!


「リシュハルト後を頼んだよ。本当に頼んだからね!」

「う、うん。僕なりに努力するよ。」


 アル様は最後にリシューと話してお仕事に帰って行ってしまいました。そのあと、もう一度レオンお兄様達の所に行こうとしたのですが、


「シルフィーは二人の周りに居る沢山の生徒の中に入って二人に話しかける勇気ある?」


 とリシューに言われて断念しました。人見知りにはつらい。後で会えるといいな。




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