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シリアpart2


 誕生日会の2日後のお話。


「こんにちは、シルフィー」

「アル様!…いきなりどうしたんですか?」

「うん、暇だったから、これはシルフィーに会いに行くしかないなぁ、と思って」

「嬉しいです!あのね、私もアル様に会いたかったです!」

 

 今日はアルフォンス様が遊びに来てくださいました。昼食を食べたら急に来たので驚きました。

 …いや、嬉しいんですよ。暇だからって会いに来てくれるのは嬉しいんです。なぜなら妹であるシルフィーがとても喜ぶから。でもね、アポを取って下さい。シルフィーがまだ寝ていたらどうするんですか、お出かけしていたらどうするんですか。

 でも、シルフィーはすっごく喜んでいる。だから怒れない。


 でも、シルフィーはそんな喜びもつかの間、


「アル様、少し待っていてくださいね!」

「うん?」


 と言って、疑問を持ったままのアルフォンス様をスティラに押し付け、シルフィーはアンナを連れてそそくさと部屋に帰った。シルフィーに会いに来たのにその肝心のシルフィーにほっとかれるなんてかわいそう。ふふっ。笑ったらだめ。笑ったらだめよ。スティラ、我慢よ。


「…ねぇ、シルフィー、今日忙しかったんだよね。私の相手が嫌だった訳では無いよね?」

「さぁ、今日はシルフィーに予定はなかったと思いますよ?お昼から私と庭でお昼寝をしたいと言っていたくらいですから。」

「そ、そんな…。じゃあ何故、シルフィーは私を置いて…」

「さあ、お前の相手が飽きたんじゃないの?」

「!!」


 いけない。つい、思ったことを言ってしまったわ。私とスティラで殿下の心をズタズタにしてしまった。

 殿下の希望を悉くつぶしてしまった。でも、正直、シルフィーがアルフォンス様に飽きることは無いと思いますわよ?だって、シルフィーはあんなにアルフォンス様が好きなんだから。

 だから、丸まってしょげないでください、殿下。少々うざ…、鬱陶しいです。





「変身かんりょー!」

「お嬢様可愛いです!」


 アルフォンス様をスティラと一緒にいじっ…、慰めているとシルフィーの大きな声が聞こえてきました。その声が聞こえたのでもうそろそろ戻ってくることでしょうか。……ちょっと、シルフィーの声が聞こえてきた瞬間に少し元気になるってどんだけ単純なんですか?

 まぁ、落ち込んでいるより相手にしやすいからいいですけれど。


 私、スティラ、アルフォンス様でシルフィーが来るであろうドアの方を見守っていると…


ぴょこん


 という効果音でも聞こえてきそうな感じで、ふわふわしたものが見えた。


「アル様―!」

「あぁ、シルフィー。おかえ……っ!」


 次の瞬間シルフィーがドアの隙間から現れた。


 …正直、アルフォンス様が言葉に詰まった理由がもの凄く分かる。だって、だって。あんなの天使としか言いようがないじゃない。


 最初にぴょこんと覗いたのはシルフィーの服についているうさ耳だった。


 ふわふわもこもこのうさぎの服を着た天使。パーカーについたうさ耳をひょこひょこさせて動き回り、かぼちゃパンツについた尻尾をふりふりさせてくるくる回っている。私がシルフィーにあげた誕生日プレゼントだ。おまけに、スティラに貰ったうさぎのポシェット。そしていつも連れているるぅ。


 これを可愛いと言わずになんというか。天使と言わずになんというか。


「アル様、可愛いですか?」

「…っ!」


 やめてあげて、シルフィー。そんな純粋な目でそんな事を聞いてあげないで。流石にこれはアルフォンス様に同情する。


 だって、普段からシルフィーの可愛い姿を毎日見ている私とスティラですら言葉が出ないんですから。


「……変ですか?」


 前言撤回。アルフォンス様さっさと感想を述べて下さい。シルフィーを悲しませないで。

 私とスティラでアルフォンス様に厳しい目線を送る。


((シルフィーを悲しませたら許さんぞ))


 私達が言いたいことが分かったのか、アルフォンス様はゆるりとシルフィーの方へと向かっていった。はぁ、これで一安心。


 …と思いきや


「もう我慢できない!シルフィー可愛すぎる!」


 そんなことを叫んでシルフィーを抱きしめてしまいました。

…ちょっと、離してください!シルフィーに触らないで、抱きしめないで、回さないで!つぶれる、目が回る!!


「ちょっと!離して下さい!シルフィーを返して!」


 少し言葉が乱暴になったとしても気にしません。ここはシルフィーが優先。スティラにもそんな私の気持ちが伝わったのか、シルフィーの救助を最優先してくれた。


「シリア、今のうちに!」

「ええ!」


 スティラがすかさずアルフォンス様を押さえてくれたので私はシルフィーの救助を成功させることが出来ました。やっぱりこういう時は以心伝心できる双子よね。あぁ、シルフィー。可哀想に、目を回して。


「あ、シルフィーを返せ!」

「いいえ、アルフォンス様。シルフィーは私達の妹です。まだ殿下のものではありませんわ。」

「シリアの言う通りだな。しつこいと嫌われるぞ。」

「いや、シルフィーが可愛すぎるのが悪い!」

「それには同感ですけれど…、いいえ、シルフィーのせいにするなんて!殿下の忍耐力が低いのが悪いのです。」

「俺もシリアに同感」


 全くもう。シルフィーも面倒な人に愛されましたね。腕の中にいるシルフィーに目を向けると、まだ少し目を回している。でも、まぁ愛されない政略結婚と比べると幾分かマシね。


 でもまぁ、冷静に考えるとこのうさぎの部屋着をプレゼントした私の責任かしらね。…いや、でもスティラもポシェットをプレゼントしているし、アルフォンス様もるぅをシルフィーに買ってあげているし。

 …やっぱり、そもそも一番最初にるぅを買ったアルフォンス様が原因ね。私もスティラ悪くないわ。アルフォンス様が悪い。間違いない。


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