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シリアpart1


 私はフィオーネ公爵家長女、シリア・ミル・フィオーネ。今年9歳になりました。スティラの双子の妹です。スティラとはお互い憎まれ口を言い合ってしまいますが、私の事も双子の妹として可愛がってくれていることは分かっています。けれど、双子であるとはいえ、さすがに男性と女性では意見の相違が出てきてしまい、言い争いが絶えません。しかし最近はある一点において非常にスティラと意見が一致する事が増えてきました。それは私達の妹、シルフィーの事です。


 私の妹のシルフィーは天使で妖精でとにかく可愛い。


 幼い頃から私やスティラの後ろをついてまわる姿は本当に可愛く、小鳥のようでした。恐らくお父様やお母様よりも私やスティラに懐いていたように思えます。


 しかしそんなシルフィーが急に倒れてしまいました。朝から元気で、朝ごはんもしっかり食べていたのに。本当に焦りました。あの時ばかりは周りに指示を出してくれたスティラに本当に感謝です。あの時庭にいたのはスティラと私、ロビンとアンナだけでした。私の専属メイドは庭で食べる用のデザートを取りに行って貰っていたからそこにはいませんでした。私もアンナも狼狽えるばかりで動けなかったので、スティラが指示を出してくれて本当に助かりました。


 熱が治ってからの変化といえば、より一層の甘えん坊になったということでしょうか。けれど、それすらもとても可愛いのです。甘えん坊になったというだけで、我儘になった訳ではないのですから。まぁ、この家族ならシルフィーの我儘を全力で叶えそうですけれど。こちらを見つめながら両手を広げて抱っこをねだってくる。そんな姿は可愛いとしか言いようがありません。抱っこしないわけがないでしょう!?この時ばかりはシルフィーと歳が離れていて良かったと思いました。歳が近かったらこんなに軽々と抱き上げることは難しかったでしょうから。


 シルフィーは、以前は「ねーね」と言っていたのに、最近は「おねーしゃま」と呼んでくれます。舌っ足らずで可愛いとしか言いようがありません。私なんて小さい頃からスティラと喧嘩ばかりで泣き叫んでいたらしいですから。……喧嘩ばかりしていたなんてシルフィーには聞かせられません。


 そんな可愛いシルフィーが、第二王子である、アルフォンス・リンド・フロイアン殿下と婚約を結んでしまいました。あんなに可愛いシルフィーを囲い込みたいという気持ちはよく分かります。正直ロリコンの可能性も考えました。私やスティラがシルフィーを可愛がるのは兄姉妹だから仕方がないとして、異性の、赤の他人の、年上の王子がそれをするのはどうかと思います。お互いもう少し大きくなってからなら年齢差なんて気にならない物になるでしょうけど、3歳と8歳……。政略結婚ならまだしも。


 けれど、シルフィーの様子を見てロリコンでもなんでもいいかなと思いました。シルフィーがアルフォンス様と一緒にいて幸せそうですから。特にアルフォンス様とお揃いのペンダントと、うさぎのぬいぐるみ……、るぅだったかしら、を買って帰ってきた日なんて幸せオーラ満開でした。アルフォンス様の瞳の色のペンダントといい、るぅの瞳とリボンの色といい、アルフォンス様の独占欲が目に見えて分かりました。まだこの時は婚約すらしていなかったのに、こんなに独占欲を見せつけられればシルフィーを十分に愛してくれるだろうということは分かります。


 これでも周りは止めましたよ?まだ幼いうちに婚約してしまったら、この先シルフィーが本当に愛した人を見つけても結ばれることは難しくなるから、と。婚約破棄は両家にとって醜聞になります。極力避けなければなりません。それに人間の心は醜いです。第二王子の隣を狙った嫉妬心からシルフィーを傷つけるものも少なからず出てくるでしょう。けれど、彼は「もしシルフィーが私との婚約を望んでくれたら、他人に目を向けられないほど愛します。誰にも傷つけられないように私の全てをかけて守ります。……初めてなんです、こんなに守りたいと思ったのは。私の中の何かが、彼女が欲しいと訴えるんです」と言いました。正直あの執着心は怖いと思いました。けれど、狂気は感じませんでした。なぜなら、シルフィーを思うアルフォンス様の瞳はとても優しかったからです。心からシルフィーを愛してくれるだろう、そう感じました。

 ですので、しばらく殿下に、可愛い妹を愛でる事を許可してもいいのかしらと考えています。……将来的に差し上げるかは、まだ分かりませんわよ?あの子は、私達の可愛い妹ですから。


 

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