表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
162/210

143、まだまだ元気みたいです



 アル様にお部屋まで連れてきてもらった私は、そのままお風呂に入ってドレスを着替える事にした。えっ、どうしてお城に私のドレスがあるかって?それはね、私のお部屋のクローゼットにアル様セレクトのドレスがたくさん詰まっているからである。ありがたいことだ。最初は何の為にあるのだろうと思っていたけれど、私はお城に泊まることも多いし。本当にアル様ありがとうございます。


 まずはお風呂。


 アル様がメイドさんを呼んできてくれているので、私は服を脱いでお風呂に入る準備をする。なんだか本当に疲れちゃった。こんなにもちゃんとした運動というか、訓練をするのは初めてかもしれない。自分の体力のなさに驚いたよ。やっぱり私に騎士は無理そうだね。毎日こんな訓練をしていたら、筋肉痛どころじゃないと思う。とりあえず、ルークお兄ちゃんにも言われたように、今は体力作りを頑張らないといけないな。体力ってどうやったらつくんだろう。少なくとも今みたいに常にごろごろとお菓子とかを食べたりするだけだったら体力も絶対につかないし、何より太っちゃう自信しかない。やっぱ動くしかないのかなぁ。動くのは好きだけれど、訓練って思ったらなんだか運動したくなくなっちゃうんだよね。とりあえず、お散歩するところから始めようかな。なんだかリハビリみたいだけれど。


「よいしょ」


 服を全部脱ぎ終えたところにちょうどメイドさんが入ってきてくれた。最初は恥ずかしかったけれど、このメイドさんはいつも私のお風呂のお世話をしてくれるからもう慣れてしまった。小さい頃は私が半分夢の中に意識が旅立っている時にも、お風呂に入れたりしてくれていたから、もう今更なんだよね。


「シルフィー様、どうしましょう」

「何がですか?」

「汗を流すだけでもいいですが、もう夕食だけですし、先に全部洗ってしまいますか?」


 あっ、そうか。どうしよう。私は汗を流すだけのつもりだったけれど、もう夕方で後はご飯を食べて寝るだけだもんね。先にお風呂に入っていても問題ないかもしれない。さすがにパジャマで食堂に行くわけにはいかないから、服だけはちゃんと着替えないといけないけれどね。


「じゃあもう洗っちゃいます」

「ふふっ、分かりました」


 確かにこっちの方が効率もいいしね。メイドさんも2回もお湯の準備をしなくていいし。ソフィアと一緒にお風呂に入れるんだったらもう一度入ってもいいけれど2回もお風呂に入るのってなんだか疲れちゃうんだよね。あと、単純にご飯食べてからお風呂に入るのは少し面倒くさい。ご飯食べてすぐに寝れるんだったら、その方がいいよね。食べた後すぐに横になると豚になるって言われてるけど。きっと大丈夫。豚にはなりたくないけれど、その栄養が身長に回ってくれたら言うことないんだけどね。でもなかなか私の身長は伸びてくれない。ソフィアももう私よりずっとおっきいのに私はいつになったら身長が伸びてくれるのだろうか。アル様との身長差もどんどん伸びるばかりだ。


 お風呂から上がって髪を乾かし終えた頃にはちょうど夕食の時間になっていた。お風呂に入ったから汗も流してさっぱりしたし、なんだかほっとしてきた。


「ごはん、ごはん~」


 ほっとしてなんだか眠たくなってきたけれど、ご飯を食べるまでは寝るわけにはいかない。


「今日のご飯はなにかなー」

「今日はステーキだったかな」

「ステーキ!」


 いつの間にか私のお部屋に入ってきていたアル様の声に思わず反応する。今日の晩御飯はステーキだって。なんて贅沢な。ここのご飯は結構お肉が多いんだよね。もちろん私は量が少なめにはなっているけど、王子様が3人もいるから自然とお肉料理が多くなってくるのかな。まぁ私はお肉が大好きだからいいけれど。それにちゃんとお野菜もいっぱい入ってるしね。


「ステーキステーキ~」


 っは!だめだ、ヨダレが垂れてしまう。美味しいものを想像するとついヨダレが。我慢我慢。





 夕食はいつも通りみんなで食堂でとる。でも、何故か今日はレオンお兄様とディアナお姉様がいない。どうやら2人は、お出かけしているみたいだった。えっ、久しぶりに、クロード侯爵家に行っているって?いいなぁ、ずるい。私も行きたかった。きっとリシューもディアナお姉様が帰ってきてくれて喜んでるだろうなぁ。というか、リシューもディアナお姉様が、今日はクロード公爵家に帰るって知っているんだったら教えてくれてもよかったのに。私も乗り込んだのに。あっ、ダメ?さすがにダメかな?


「今日は何をしていたの?」


 いつも通り、お義母様から、そう聞かれる。


「私はレッスンをした後に殿下と一緒に園庭を歩いていました。」


 お義母様の目線が最初にソフィアに向かっていたので、ソフィアはお義母様にそう答える。そっか、ソフィアは園庭を散歩していたのか。桜のところには行ったのかなぁ。私も一緒に行きたかったなぁ。


「まあ、素敵ね、それなら薔薇園には行ったかしら?」

「はい、とても素敵な薔薇園でした!この季節にも咲いているなんて」


 あっ、だよね?やっぱりソフィアも同じことを思ってる。この時期に普通咲かないよね?やっぱりこの世界へのバラが特殊なのかな。


「そうよね、あのバラは年中咲いてるからとても不思議よね」


 お義母様も、ソフィアの感想に同意しながら思いを馳せている。少し悩んでいたけど、その不思議を解消する事は出来ないから諦めたみたいで、今度は私に目線を向けた。


「シルフィーは何をしていたの?」

「私はルーク兄ちゃんと戦っていました!」


「えっ」

「ん?」

「はい?」


 私がそう言うと、お義母様、お義父様、ソフィアから思わずといったように疑問の声が上がった。確かにそうだよね、言い方を間違えてしまった。


「騎士団の訓練の時にルークお兄ちゃんに護身術教わっていました!」


 私がちゃんとそう言うと、皆はようやく理解したみたいで、「なるほどね」と頷いてくれた。確かにさっきの説明だと分からないよね。ルークお兄ちゃんと戦っていたなんて言ったら喧嘩したみたいに思われちゃいそう。喧嘩はしないよ、ルークお兄ちゃんとは。だってルークお兄ちゃんは優しいもん。私を怒らせるようなことはしない。多分だけどね。


 多分、今日だけではちゃんと護身術は身についていないけれど、もし何かあった時にこんな風に動いたらいいんだなっていうのは何となく分かってきた。後はもう何回か一緒に訓練をしてもらって自分のものにしていくしかない。何より体力がないからまず体力をつけるところから始めないと。あと、多分訓練って一時的にしたものだけじゃ意味がなくて、続けていかないと意味がないから、これからずっと、護身術を練習していかないといけないな。


「ふんっ!」


 とりあえず、やる気を出すために拳を握ってみる。そんな私を見たお義父様が


「いいなぁ、私も久しぶりに騎士団に混じってみるか」


 と呟く。


「あなた、もう若くないんだから」

「まだまだ、私は若い!あと、数十年はこの場に居座ってやる!」


 なんだかお義父様とお義母様の会話は面白い。


 そういえば、お義父様とお義母様はいったい今何歳なのだろう?さすがに本人には聞けないけれど、見た目だけだと全然若々しいんだよね。それでも恐らく40歳はいっていると思うけど、見た目は30代でも全然通る。

 

 あと数十年この場に居座ってやるというのは、王座のことだよね?確かにお義父様はまだ全然元気だから、この先何十年も王様として働けそう。お義父様は素敵な人だから支えてくれる人が沢山いるしね。もちろん私のお父様だって宰相としてお義父様のことを支えているし。お父様はお義父様に軽い口をきいたりするけれど、ちゃんと尊敬しているって分かってる。あと、二人がとっても仲良しってことも分かる。多分お父様とお義父様は小さい頃から一緒にいたんじゃないのかな?レオンお兄様と私のお兄様みたいに。


 はぁ、お父様とお兄様の事を思い出したら2人に会いたくなってきちゃった。今日が4日目だからあと3日も会えないのか…。寂しいなぁ。お父様とお兄様、今頃どうしてるだろう?お母様とマリーお姉様も元気かなぁ。


「まぁ、ボケてきたらレオンに、譲るがな」

「ボケる前に譲ってくださいよ」


 ふふふ、なんだかお義父様とアル様がボケるっていう言葉を使ってるのが面白い。私は正直、誰が王様になってもいいかなぁと思う。今のお義父様の時代はもちろんだけど、きっと次の王様の、レオン兄様も民のことを考えた政治を行ってくれると思うから。でも、お義父様は元気なうちはずっと王座にいるはずだから、レオンお兄様は少しは気が楽なのかな?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ