116、お風呂でぽかぽかです
部屋に戻った私とソフィアは風呂に入るべく準備をする。
「お風呂に入って来るわね。シルフィーも入るでしょう?客室の浴室が使えるから入ってきなさいな」
「はーい……」
……ちょっと、我儘を言いたい気分だけど、ここはお家じゃないからやめておこう。
「いってきまーす…」
ソフィアに借りた着替え一式を持って部屋を出ようとすると、
「……一緒に入る?」
という、とても魅力的な提案が聞こえました。
「入る!」
我ながら即答だった自信があります。私が一緒に入りたいって思っていたの分かっていたんだろうか。でも嬉しいな。
「いくら前世を知っているとはいえ、もう15歳だから、友達に裸を見せるのは恥ずかしいかなと思ってたんだけど」
「ふぇ?」
「全然そんな事なかったわね」
ソフィアの視線は、服を全部脱ぎ終えた私に向かっていた。
ここには私達だけで、メイドさんはいない。
「あんた、羞恥心はないの?」
「え、何で?」
ありますよ?
「でも、ここには私とソフィアしかいないし」
「そうだけど…」
ソフィアはどこか納得してい無さそうな顔で私を見るけれど、諦めたようにため息をついて服を脱ぎ始める。
「ソフィアとお風呂楽しみだな!」
「…ふふ、そうね」
「広ーい!」
ソフィアと一緒に入った浴室は想像以上に広かった。
二人で入るのなんて余裕だね。むしろ10人くらいは余裕。
「前世の温泉を知っていると、どうしてもね」
なるほど。温泉みたいに広いお風呂は、日本人としては譲れないよね。
「お金もあるしね」
そ、そうだね…。
「私もお家に作ってもらおうかな…」
あ、でも作るなら露天風呂がいいかも。………いや、ダメか。外でお風呂に入るなんて色んな方向から却下されそう。
「まあ、ダメならいつでもうちに入りにくればいいじゃない」
「!」
いいの?!
「本当に入りに来るよ?そのまま泊まっちゃうかもしれないよ?」
「ええ、いいわよ。いつでも泊りに来なさい」
ソフィアはそう言って私も頭を撫でる。
「えへへ。ソフィア、すき」
「ふふ、私も好きよ」
ソフィアと約束もした事で、そろそろ洗おうかな、と思っていたのだけど。
「シルフィー、ここに座って」
「……」
ソフィアに指示されたのは、ソフィアの前にある椅子に座る事。それはいいのよ。でもね、ソフィアの次の言葉が想像出来るから、座りにくい。
「髪、洗ってあげるから」
やっぱり!
私15歳ですよ?!
「自分で出来るよ!」
「いいから」
「あうー…」
ソフィアの強引に手を引かれて、そのまま椅子に座らされる。ここまでくるともう抵抗出来ない。なにより、
「ふにゅう…」
めちゃくちゃ気持ちいのですよ。
「ふわぁ……」
もうね、絶妙な力加減で洗ってくれているのよ。このまま寝そうです。
「シルフィーの髪はふわふわしていて綺麗ね」
「ありがとー」
あー、そこそこ。気持ちいのですよー。
「殿下が触りたくなるのも分かるわ」
「そう?」
確かにアル様はよく私の髪を触る。でも、あれは、
「頭を撫でているだけのような…」
「……まあ、そうね」
「はい、出来た」
……出来た?
良く分からなくて鏡を見てみると、
「ねこさん?」
私も頭の上には泡で出来た猫耳がありました。
「可愛いわね」
ソフィアは真剣な顔で、「どうしてこの世界には写真が無いのかしら」と、真剣な顔で思案している。
この世界に写真があってもお風呂では水に浸かったらアウトだろうし、何より今は裸だから撮らないで欲しいな。
でも、我ながら可愛いと思う。裸でなければ。
まあ、それは置いといて、ソフィアは大好きだからサービスです。
「にゃあー」
ちゃんと手もねこさんにしますよ。
でも、それは良くなかったみたい。
ソフィアは鼻を抑えたまま倒れそうになってしまった。お風呂で倒れるなんて、冗談では済まされない。危ない。
でもなんとか持ち直して、私の頭を流してくれました。
「はい。終わったわよ。あがったらオイルを塗るわね」
「はーい」
大変気持ちが良かったです。ソフィアは普段お世話される側なのに、どうしてこんなに上手なんだろう。
「私もソフィアの髪洗う!」
「え、いいわよ。私はただ、シルフィーを甘やかしたかっただけだから」
「えー…」
というか、甘やかしたいだけって何ですか。私をダメ人間にしている人が増えました。
「それよりも体を洗ってしまいなさいな」
「はーい」
ソフィアの言葉通りに、身体を洗っていく為に石鹸を出す。……これは、
「ソフィアの匂いだ!」
「なによそれ」
ソフィアは私の言葉が面白かったのか、くすくすと笑う。
「いい匂いって事!」
「なら良かったわ」
何だか、ソフィアに抱きしめられているみたいでどきどきする。よし、今日は絶対にソフィアに抱き着いて寝る。もう決めた。
私は洗い終わったので、先にお湯につかる。と、そこで体を洗っているソフィアをふと、見たのだけど…、
ソフィアと、自分を3往復くらい交互に見つめる。
そして、自分の胸に、そっと両手を添えてみる。
「むぅ…」
わ、私だって大きくなるもん!
私のそんな行動を見ていたのか、ソフィアはくすくすと笑う。
「そんなに気にしなくてもいいと思うわよ」
「うぅ……」
でも、憧れるのですよ!
「なら、殿下に大きくしてもらえば?」
「え?」
殿下って、アル様の事だよね?アル様って、お胸を大きくすることが出来る様な魔法を使えるの?
「どうやって?」
「それは、勿論……」
と、ソフィアはそこで言葉を止めてしまった。
「ソフィア?」
「……なんだか、この先は言ってはいけない気がするわ」
「?」
でも気になる。今度、アル様にお願いしてみよう。
「……、殿下も、苦労するわね」
「?」
「純粋培養、恐ろしいわ……」
純粋培養?植物の話?急に何で?
「そうね、桜は小学生の時に死んでしまったものね。そういう知識がある訳ないわよね」
「?」
さっきからよく分からないのですよ。