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009、魔法を使います

 次の日、家族全員で庭に出ていた。今日はいよいよ魔術の実践。昨日に引き続き、先生はロバート。


「準備はよろしいですか?」

「うん!」


 元気よく答えると、ロバートは優しい笑顔で頷いてくれる。


「シルフィー、頑張れよ!」

「応援してるわ!」


 お兄様とお姉様も応援してくれてるから頑張らないと。そういえば、皆は何の属性の魔法が使えるんだろう。


「みんなは、なんのまほうがつかえるんですか?」

「そういえば、説明してませんでしたね。」


 ロバートが、そういえば、というように説明してくれる。


「旦那様とシリア様が水の属性、奥様とスティラ様が地の属性ですよ。」


 みんな2人ずつおそろいだ!私も水か地がいいなぁ。そうしたら、私もお揃いになれる。


「では、早速使ってみましょうか。」

「はいっ!」

「本来、詠唱は無くても魔法は使えるのですが、初めはあった方がイメージがしやすいので、詠唱しましょうか」

「……むずかしい?」


 正直、まだ3歳だから、長い詠唱とか、難しい言葉は言えない気がする………。


「大丈夫ですよ。短くて簡単な詠唱をしますから」

「よかった…」

「お嬢様が何の属性の魔法を使えるのかはまだ分かっていませんので、初めに火の魔法を使ってみましょう。魔法にとても重要なのが想像です。魔法を使うものが、どんな魔法を使いたいかを明確にイメージすることが大切です。」

「いめーじ……。『ひ』だったら、ろうそくとかでいいのかな?」

「はい。初めはそれくらいでよろしいですよ。あとは、想像したものをそのまま言葉にするだけです。例えば……『火よ灯れ』」


 ロバートがそう口にした途端、ロバートの指先に小さな火が灯った。


「っっ!!すごい!!」


 魔法を初めて見たから思わず興奮してしまう。


「言葉にする事で、より明確に精霊に指示を送れます。お嬢様もやってみましょう」

「はい!」


 えっと、まずはロウソクくらいの火を想像して……。


「『ひよ、ともれ』」


 しかし、何も起こらなかった。ロバートが簡単に使っていたのに、発動出来なかったことに落ち込む。


「お嬢様、あまり落ち込まないでください。最初ですし、何より火の属性では無いかもしれないのですから。他の属性の魔法ですと使えるかも知れませんよ」

「……がんばるっ!」


「では、次は風の魔法を使ってみましょうか。詠唱に決まりはありませんから、お嬢様が感じたままに詠唱してみてください。ただし、大きすぎる魔法はいけませんよ。危険ですし、お嬢様の魔力量もまだ明確に分かっていませんので、魔力枯渇状態になってはいけませんから。」

「はい、気をつけます!」

「よいお返事です。」


 風だったら、そよ風くらいがいいよね?えっと、じゃあ……。


「『かぜよ、そよげ』」


 その瞬間、シルフィー周りに風がすーっと通った。


「!!」

「流石です、お嬢様。お嬢様の属性は風ですね。正直、今日発動出来るとは思ってませんでした」


 ロバートが目を見開きながらそう言ってくる。ロバートが驚いているのがよく分かる。お兄様とお姉様も驚いている。でも、誰よりも自分が1番驚いている。


 魔法をつかえた……!


 ずっと憧れだった。嬉しくて言葉が出ない。


「やったじゃん、シルフィー!」

「すごいわ!私達は発動まで何度も練習したのに! さすが私の妹ね!」


 お兄様とお姉様も沢山褒めてくれる。


「ま、まほうっ! つかえました!」


 思わず噛んでしまった……。そんな私の頭を、お兄様とお姉様が撫でてくれて、お父様とお母様は微笑ましい目で見てくる。頭を撫でられて段々と落ち着いてきた。


「でも、『みず』でも、『ち』でもなかったです……」


(皆とお揃いが良かったなぁ。)


 そう思って落ち込むと、皆が慌てたように、


「いや、あ、あれだ。属性は遺伝するものじゃないから!」

「そ、そうよ! それに、風だって素敵よ! シルフィーにぴったりよ!」

「そんなに落ち込むなよ……」


 と言いながら慰めてくれる。そうだよね、落ち込んでも仕方ない。それに、風の属性が嫌なわけじゃないし、こんなに落ち込んだら風の精霊さんに失礼だもん!


「これから、かぜのまほうをじょうずにつかえるように、がんばります!」


 私がそう宣言すると、皆は安心したようにほっと息を吐いた。

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