20
俺が敵を蹴散らしながら、歩いていたら、
気付かない内に、もう、周りが暗くなっていた。
今日はここで野宿か。
タスクに行ったら、錬金を学んで、
学園に向かい、
学園を卒業したら、俺は何をしようか。
ダンジョン攻略もいいな。
それとも、魔王討伐か?
俺が魔王討伐してしまったら、
勇者っていらなくなるよな…
でも、俺は自由に生きるって決めたからな!
『魔王討伐なんてしちまったら、ダンジョンじゃ、物足りなくなるぞ?』
そうなのか。
じゃあ、ダンジョンだな。
錬金の学ぶ場所も決めないとダメだなぁ。
〜翌日〜
今日中にタスクにつきそうだな。
俺は今日も歩く。
先の方に誰かいる?
『馬車が倒れてるぞ。』
よく目を凝らして、見てみると、馬車が何かに襲われている。
助けようか。
馬車は熊に襲われていた。
熊か、誰が助けたかわかるように、刀で斬るか。
俺はその場から、瞬足で抜刀した。
ズバァァァァン!!
強烈な音と共に、熊の首から上は綺麗な切断面を作っていた。
俺は後ろを振り返ると──
「あーあ、何助けちゃってくれてんだい。
何か、礼をしなくちゃならなくなるだろうが!!」
俺は怒鳴られた。何で?俺が怒鳴られるんだ?
「助けなくてよかったのか?」
「いいわよ。別に、私、石から賢者の石作れるしね。」
『石から賢者の石!?そんなの、ありえないぞ!』
賢者の石ってあれか?錬金術の中でも、最上級の物。
賢者の石があれば、何とでも、等価交換できる。
最高の物質だ。
この人に錬金を学べばいいんじゃないのか?
「礼が嫌なら、俺に錬金を教えてくれないか?」
これで、どうだ?
「えーーめんどくさいなぁーーそもそも、なんで錬金術を学びたいの?君は見たところ、近接職でしょ?」
「近接も魔法もできるが、錬金でも、戦いたいんだ。」
「なるほどーーそもそも、錬金術は戦うためにあるものじゃないよ?分かってるの?」
「分かってるさ。だからこそ、錬金で戦えるようになりたいんだ。」
「アハハハハ。君、面白いね!錬金術を教えてあげよう!!ただ、私は厳しいからね?」
「ああ。分かってる。厳しい鍛錬はやってきたからな。」
こいつ、最後に言葉を発する時の目がぎらついていた。
こいつも只者じゃない。
そもそも、石から賢者の石は意味不明だ。
「まずは、私の家に来て。」
俺は彼女の後を歩く。
この日から、俺は錬金術を学ぶことになった。
「まずは、魔力の上限、これは、君は超えてるから大丈夫。だから、明日から早速、錬金にはいるよ。で、学べる期限はある?それによってメニューが変わるのよ。」
彼女になら言っても大丈夫だろう。
「俺は、一ヶ月後に帝国の学園に行く。だから、3週間で頼む。」
ここから、帝国の帝都までは、俺が本気で走って、1週間くらいだからな。
「うーん。中々ハードになるけど大丈夫?3週間ってかなり、短いよ?普通なら2年とかかけるからね。」
ん?その割にはこいつは若い気がするぞ。
「私の年齢には触れちゃダメよ?レディーに年齢聞くのはマナー違反よ?分かった?」
「分かったよ。」
全く目が笑ってなかった。触れないでおこう。
寒気がした。
「そろそろ、街に入るよ。君、犯罪とか犯してないよね?犯していたら、街に入れないんだけど、大丈夫?」
「犯罪なんて犯していない。」
犯罪なんて、起こさないさ。そんなことしたら、牢獄行きだろう?俺は、牢獄から脱獄も出来るだろうがな。
いや、俺は犯罪を起こしている!!
学園から禁忌書を盗み出している!どうしようか!
街の門についた。
魔道具がある。
「あれは、嘘発見器と、犯罪を犯したかが、わかる魔道具だよ。通るだけでわかるのさ。」
なるほど。
すごい魔道具だな。
隠蔽も聞かないのか。
危ない。一応死んだ身にされているから、大丈夫なのか。
「これは!クリスティーナ様!お通りください!!!」
クリスティーナ?この女の名前か。
クリスティーナって言うのか。
「そんなに畏まらなくてもいいのに…まぁいいわ。さ、行きましょ!」
彼女の家に着いた。
彼女の家は、デカい。
お城よりも広いかもしれない。
「ここが私の家よ!入りなさいよ!!」
ドアを開けて、俺は入る。
周りには派手で豪華な装飾が施されており、
錬金で使うものもあれば、
鉱石が沢山ある部屋もある。
錬金にはもってこいの家だろう。
「これが!世界一の錬金術師のクリスティーナ・アダムスよ!!さぁ、君も名を名乗るんだ!!」
「俺の名は、ロスト・S・ブロートだ。今日から世話になる。」
アルファベットを名乗っても大丈夫だろう。どうせ、
アルファベット持ちを見たことがないから、珍しく思うだけで済むはずだ。
「えっ!君もアルファベット持ちなの!?」
ん?他にあったことがあるのか。
「ああ。そうだ。」
そう俺は言葉を発した時、目の前からナイフが飛んできた。
間一髪の所で避けれた。
彼女は小声で言葉を発している。
「アルファベットは、余程のことがない限り、名乗らない方がいい。今回は私だったからよかったけど、次からは気をつけなよ?ちなみに、私もアルファベット持ちよ。」
ドスの効いた声で、俺に言ってきた。
最後になんか聞こえたぞ。アルファベット持ちだよとか、
アルファベット持ち!?もしかして、七つの大罪か七つの美徳か!?
「君は何故、アルファベットを持っているのかな?」
「俺は…」
なんと答えればいいのか、言葉が出てこない。
どうしようか…
『こいつからは七つの大罪の気配がする。大丈夫だ。』
「俺は…七つの大罪でも七つの美徳でもない…」
「!?七つの大罪と七つの美徳の名は、王族や、重要人物にしか、知られていないはず…どうして君が…」
「それは…俺が禁忌書を盗んだ大罪人だからだ。」
俺は禁忌書を読んでいなくても、七つの大罪と七つの美徳の存在を知っていたがな。
「君は!!犯罪を起こしていないって言ってたじゃん!!」
「すまない…こういうしか無かったんだ…世間からは、死亡扱いされているからな…」
俺は申し訳なさそうに言う。
「そういうことね。なら仕方ない。そこまで知られたなら、教えてあげよう。私は七つの大罪の傲慢のクリスティーナ・G・アダムス。」
やはり、七つの大罪はアルファベット持ちか。
少し、謎に近付けたと思う。