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魔装が解けた。何故だ?魔力も切れていないのに。
「魔装?精度が低いねぇ。前に戦った。魔装使いはもっと、強かったし、魔装にも乱れがなかった。だか、お前にはある!これが。お前の弱さだ!!」
「なら、違う魔装を使うまで。」
俺は魔道兵器を使う。
俺の姿はまさに、悪魔と化した。
「その姿は…魔道兵器…所有者だったのか!!なら、まだまだ戦えるな!」
ヴェインの鎌は俺を切れなくなった。
「硬ぇ…燃えてきたぜっ!!!」
ヴェインの鎌は、闇を纏い出した。
「もう俺を止められるやつはいねぇ!!ここまで、出したのはお前が2人目だ!!」
「2人目?」
「ああ!そうだ!2人目だ!!」
1人目は誰だ?ヨハンではない。ヨハンはもっと昔の人物。俺は考えてるうちに、体が朽ちた。
闇魔法の効果だ。
「この姿なら瞬殺か…まだ不死がある。殺せる。やったぜ!!」
俺は魔装を解く。
術式の番だ。このままじゃ勝てない。
『術式は魔力を通すのか?』
分からない。ヤッテミナケラバワカラナイ。
激しい痛みと共に、俺の体は粒子となって消えた。
俺の体は土砂になった。
砂を集めて、ヴェインを捕まえる。
「なんだこれは?身動きが取れねぇ。」
俺は手に土砂を集めに集めて、圧縮していく。
俺は放った。
「これはやべぇ!死ぬ!〈無効〉」
圧縮した、土砂が爆発を起こす。
「何故…無傷な…んだ…」
「俺には勝てねぇ。お前は俺より弱かった。それだげだ!!じゃあ死ね!楽しい殺し合いをありがとう!!」
俺は負けねぇ!!
刀で応戦する。
右腕を飛ばされた。
刀と一緒にだ。
ヴェインの後ろにある。取りに行けない。
「さぁっ死ね!!」
俺は頭を刈り取られた。
そして再生。
「グッ!魔力反応が小さくて気づけなかった…」
『今まで貯めた、魔石の分が無くなったぜ?』
それは仕方ない。また集めるしかないだろう。
俺は再生した瞬間、刀でヴェインの心臓を貫いた。虚無を纏って、闇魔法を纏ってだ。さすがに貫いた。
「ぐぅ…これは…さす…がに…死ぬ…」
やった。俺の勝ちだ。俺は思わず笑みを浮かべた。
「残念。お前の負けだ!魔力反応が無くなった…お前は、もう、ストックがないのだろう?魔族はこれくらいじゃ死なねぇ…人間に生まれたことを呪うんだな!!」
俺は気づいていない間に、心臓を貫かれていた。
「楽しかったぜ。次はもっと強くなってから来い。」
「次なんてねぇよ…俺はもう死ぬ…」
これでもダメなら、何をすれば、こいつを倒せる?
まだだ。今から再生すればいい。ゼロ距離で、闇魔法を放つんだ。
「!?」
俺はヴェインの顔を見た。ヴェインは心底、驚いている。
闇魔法を放った。
俺は目だけの体になった。まだ再生はしない。
!?
ヴェインは生きている。体の半身がないと言うのに、
普通に生きている…
こんなの勝てないじゃないか…
「楽しかった…まだまだ、この世には強者が居る…七つの大罪でも7つの美徳でも魔王でもないやつで、こんなに強いヤツはいないと思っていた…なんという、僥倖…また、やり合いたい…」
と言い残し、去っていった…
クソっ!!!俺じゃあ勝てねぇ!!!
後ろを見たら…冒険者はほとんど死んでいた…
バリオが来た。
「倒したのかい!?とひあえず、残りを倒すよ!!」
「倒せてない…退けただけだ…」
「それでも凄いじゃないか!!相手は一体誰だったんだ?」
「魔王軍幹部って言っていた。」
「!?充分だ!残りを倒すぞ!!」
「ああ。」
『マスター……』
クソっ!!!何が!闘技大会優勝者だよ!!
俺じゃあ勝てねぇじゃねぇか…
俺が弱すぎるあまりに、皆死んで行った……
全て…俺のせいだ…
「どうしたんだい?そんなに落ち込んで?」
「済まない。」
「言いたくないならいいよ。一つだけ言っておく。
冒険者が死んだのは君のせいじゃない。これだけは頭に留めておくんだよ!」
「ああ。」
俺は、風魔法で魔物を切り刻んでいった。
俺には世界が全て、色を失った風に見えた。
魔物の残党は片付いた…
「冒険者達よ!ありがとう!君達のお陰で!街は救われた!!早速!集まってくれ!」
ギルマスが叫ぶ。
俺もそこへ行った。
「生き残ったのはこんだけか…魔物があんだけいた割には多いな。バリオとロストには感謝している。特にロスト、魔王軍幹部を退けてくれてありがとう。バリオ、君は、周りを見て指揮をとってくれてありがとう。とても助かった。」
ふざけんな…
「ふざけんなよ!!人が死んでるんだぞ!?」
俺は、そういい、ギルマスの肩を掴む。
「待て!ロスト!!あいつらはな…英雄だった…この街を命を懸けて、守り、死ぬまで、戦っていたんだ。」
「そうか…英雄だったんだな…」
150人いた近くの冒険者は、50人を切っていた。
俺に絡んできたやつも死んだ。
人が死ぬだけでこんなに辛いのか!
俺が無力だから、死んだんだ!
『それは違う!マスターがどんだけ強くても!全範囲の魔物を倒せるのか?それこそ、神の所業だ!仕方ないんだ…』
「街の人々も戻ってきている。今日は恐らくだが、宴になるだろう。」
宴?こんな時にか?バカじゃないのか?
人が死んでるんだぞ…英雄なんだろ?じゃあ、
弔うのが先じゃないのか?
『人間は愚かだ。この言葉を忘れるな。』
そうだ。人間は愚かなんだ。
〜宴〜
「「スタンピードの勝利に乾杯!!!」」
がやがや、騒いでいる。
今は何も食べれそうにない…
「やぁ、ロスト。1杯どうだい?」
今はそんな気持ちじゃないっての
「今はそんな気持ちじゃないんだ…」
「まぁそう言わずに、1杯飲めよ!」
「じゃあ貰っておく…」
俺はバリオから、酒を受け取った。
だが、飲む気にはなれない。
「主役が浮かれない顔するなよ!」
ギルマスも来た。
「皆死んだ…俺が遅かったせいで…」
「お前はそのままで、潰れていいのか?お前はまだ、若い。色んなことを乗り越えるからこそ、人として成長するんだぞ?」
「そうかそうか。」
宴までに、あいつらの墓は作った。
俺はちゃんと花も添えた。
「SSSが居れば変わってたかもしれないな…」
SSSは一体、どこにいるんだ?ここは王都なのにいないなら、どこにいるんだ?
「SSSはどこにいる?」
「わからない。転々としているやつが多すぎて、たまに見かけるくらいだ。」
「そうか。」
「学園の件はどうするんだい?」
学園か…今は行こうと思っている。
「行こうとは思っている。入学式がいつかにもよるが。」
「入学式は半年後だ。」
半年か…半年あるなら、強くもなれるし、旅もできる。
「SSSの人を探す旅に出る!」
『マスターらしいぜ!どうせ、強くなるためだろう?』
ああ。そうだ。俺は強くならなければいけない。
強くなければ何も救えない。
強くなければ自分も救えない。
なら、強くなるしかないだろ?
『そうだな。』
「推薦状は書いておこう。旅にはいつ出るんだ?」
「2日後だ。2日後に、俺は旅に出る。行先はわからない。とりあえず、近くのでかい町に行く。」
「アハハ。君らしい。」