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今日は準決勝だ。
相手のランクは不明。だが強そうな雰囲気は出している。
「俺を楽しませてくれよ………精々、俺に直ぐに倒されないように気をつけるんだな……」
「お前こそ直ぐに倒れるなよ?」
「試合開始!!」
こいつは一切動かない。
俺も見極めるために動かない。
「おおっと!?両者動かない!!!これは見極めているのか!?さぁ、試合の結末はいかに!!」
こいつは急に、魔法を放ってきた。
俺は魔力の壁で、魔法を防ぐ。
俺に攻撃が当たる。
虚無で無効化出来たが、会場は騒然している。
「なっ…なんで今のを防げるんだ!?魔力壁を破ったじゃないか…生身で魔法を止めたのか?いやおかしい、そんなことは出来ない。」
一か八かに賭けて、誤魔化すか、
「この服は魔力耐性があるんだよ!」
「そんな風にはみえ…いや、隠蔽か…」
上手いこと、誤魔化せたな。危ない。
「ならば、剣で倒すまでだ!!」
「来い!!」
「うおおおおおおおおおおおお」
俺の方に、剣で上から切ろうとしてきたが、俺は避ける。
そして、横に一閃してくる。
俺は跳んだ。
剣の上に飛んで躱した。
そして、俺が拳でギムルの顔を殴る。
「試合終了ー!!!なんと、滾る試合でしょーかー!!!決勝が楽しみです!!!」
〜決勝〜
遂に、決勝だ。優勝賞品は一体何なんだろう?
優勝すれば分かるか。
さぁ、入場だ。この試合は俺を楽しませてくれるはずだ。
「なんと!!決勝のカードは!!初出場の今試合最強のダークホース!ロストォォォォォ!!!
もう片方はぁぁぁぁあ!!!前回チャンピオンの!!!SSランク冒険者、〈毒炎〉バリオだァァァァァ!!!」
その声とともに会場から歓声が上がる。
「君が、所有者の1人か…こんな所で見るとは思わなかった…。」
「ん?所有者?なんの事だ?」
『七つの大罪か七つの美徳か、魔装兵器じゃねーのか?』
「試合開始!!」
なんだ?所有者とは?気になって試合に集中できない。
こいつは、俺に向かって、魔法を放ってくる。
火魔法が来たと思ったら、風魔法が来て、水魔法が来る。
俺の体が、切り刻まれ、焼けて、息が吸えない。
苦しい。
「所有者の割には随分、弱いようだね…同じ所有者として…失望するよ…」
俺はその時、自分に付いてる、負の効果を全て、
時空間魔法で消した。
「なっ…んだと!?何故今の魔法が消えた!?もしかして…時空間魔法か?いや、あれは、使える者が今はいないはず。こうなれば…あれを使うしかない。」
その瞬間、バリオの体は、風に覆われた。
「これで、僕は風のように速く動くことが出来る。もう、君のスピードでは、追いついて来れない…」
確かに見えない。これがSSランクか。魔力を纏っていて、さらに、風の鎧、強いな。
俺の、腹に切り傷ができる。
「ほら、もう負けるよ?所有者なら、最後まで足掻いてみてよ…」
なんの所有者かどうかが分からない。
「もうい…ぶべらっ!?」
「グチグチうるせえよ!」
俺はこいつの顔を殴った。
拳に傷が付くことを気にせずに、
「さぁ、使ってみろよ。所有者の力ってやつをなぁ!!」
「いいとも…使ってやる。アスタロト!君を僕は纏う!」
バリオはドラゴンのような見た目になり、
赤い鱗を身体中に付け、毒炎を放っている。
なるほど、これが、毒炎の異名の由来か…
まるでヒドラだな…
「さぁ!この僕を倒せるかな!君に!」
「ああ。倒せるさ。」
こいつの魔装兵器は槍だ。
俺は腕を刺された。
「さぁ!片手がもう!使えないよ!これで、僕の勝ちだァ!!!」
「何を言っている?片手が使えないなら片手を使えばいいじゃないか。」
「!?」
「来い!!バアル!!」
俺の指輪が光る。そして、指輪から、黒炎が舞い上がる。
黒炎が俺を覆う。
「その姿は……まぁいい!!毒で倒してやる!!」
地面が紫色に変わる。
『避けろっ!飛べ!』
遅かった。俺は毒を食らった。体が動かない。
ヴォイド…体を動かして、心臓部に刀を刺すんだ…
『任しとけ!!』
グサッ!
「うぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「何をしている!?そんなことしたら、負けると言っているようなものだぞ!!!」
「はぁ…はぁ…再生できた…」
これで、俺はバリオの毒の抗体か出来た。もう、毒は食らわない。
「中々楽しかったぜ、じゃあ、試合は終わりだ。」
俺はそういい、バリオの首を掴む。
バリオの後ろに、巨大な魔法陣が、俺を襲う。
「極大魔法 終焉の毒炎」
毒の塊が燃えながら俺を包む。そして、俺を燃やす。
体の中を毒が侵す。
『さっきより、強い毒だ。体の中が溶けるぞ?早く蹴り付けなければ、不死がバレるぞ?』
さっきのでバレてるさ。
とりあえず、ケリを付けよう。
俺は極大魔法が使えない。なら、自分で魔術を書けばいいんだ。
魔力糸を飛ばす。
術式に見立てて、闇魔法を使う。
「さぁ、試合終了だ。」
闇魔法が、バリオに食いつく。
「俺の負けだ…」
「試合終了!!!今大会の優勝者は!!前代未聞!!初出場のロスト!!!表彰式に移ります!!!」
「ロストさんは!真ん中の表彰に来てください!!!!」
そう言われ、俺は表彰台に行く。
派手な格好した、おっさんが、優勝賞品らしきものを持って、立っている。
「今回の!表彰式は!国王が行います!!」
「優勝おめでとう。まずは、優勝賞品の金貨200枚だ。」
「ありがとう。」
金はいくつあっても足りないからな。
「そして、これが???の正体だ。」
と言われ、俺は古錆びた鍵を渡された。
「これは、国庫の奥から出てきた、鍵だ。これは、どこかに繋がっているらしいが。王族では開けれなかった。勇者でもだ。でも、君を見た瞬間、鍵が君の方に行きたがっているような気がした。だから、これを渡そう。後もうひとつだ。君に基本属性の魔法書をあげよう。これを読めば、適性が手に入る。しょぼいかもしれないが、基本属性を全て持っているだけでも、かなり強くなれる。」
「そうか。それはありがたい。」
『そんなもんより、魔装兵器の方が良かったな。』
それもそうだが、仕方ない。
「じゃあ、俺は帰らしてもらうぞ?」
「帰ってもらって大丈夫だ。私直々に、依頼を出した時は受けて欲しい。そこも頼むぞ。」
「ああ。」
まぁ、暫くは依頼を受けないつもりだが。