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体のあちこちが痛い。
安い宿は選ぶんじゃないな。
『自業自得だぜ!!』
とヴォイドに笑われながら言われた。
まぁ。金があまりないからな。
『いやいや、結構持ってるぜ?』
そうか?金貨が20枚しかない。
『普通の家庭なら金貨1枚で4ヶ月過ごせるからな?』
そうなのか。じゃあ、80ヶ月だから、大体、約6年か。
『ドラゴンの素材も売り払ったら、もっと過ごせるさ。』
それもそうだな。でも、今のところは考えていない。
俺はあの1ヶ月で、錬金術も学んだからな。
今のうちにステータスも見ておこうか。
ロスト・S・ブロート
職業:虚無ノ者
Lv.48
体力:10000/10000
攻撃力:7000
防御力:5000
魔力:10億/10億
敏捷 4000
スキル
〈虚無〉〈不死〉〈魔力増大〉〈魔法制御能力・極〉
〈体術〉〈剣術〉〈虚無ノ魔眼〉〈闇魔法〉〈刀術〉
〈錬金術〉〈火魔法適正〉〈槍術〉〈魔術:極〉
〈時空間魔法〉
中々増えたな。あんだけ、魔法の練習したのに、魔法は得れてないのか。
まぁいい。虚無の魔力消費も減ったからな。
ドラゴンを倒して、レベルが48なら、魔王を倒したらいくつになるんだろうか。
『レベルの割にはステータスがおかしいから、全然充分だぞ。』
ヤバい!今日はAランク試験なのを忘れていた!
ギルドに転移だ!
「ロスト…ちょっと遅いぞ?時間は守れ。」
と、ギルマスが右の人を指しながら言った。
「この人が本日の試験をしてくれる、Aランクのギルだ。」
「俺がギルだ。Aランク冒険者だ。ロストは確か、近接だよな?俺は剣士だ。だから、どこからでも掛かってこい!」
ギルは金髪で、高身長なのに、体の線が細い。
「試験開始だ!」
早速、時空間魔法で時の流れを緩くする。
魔力を俺は全身に纏う。この人は纏わないのか?
魔力で、体を覆うだけでも、身体能力が上がるというのに。
ギルはロストに切りかかろうとした。その時、
ロストはギルの後ろに回りこみ、ギルの首に、剣を近づけると共に、頭を抑えながら、地面に叩きつける。
「降参だ。もちろん結果は合格。」
「今の動きは……………………」
「俺じゃあ適わねぇわ、Sランクを用意しても勝てるんじゃねぇか?」
「それはさすがに無理だと思う。Sランクを見た事ないがな。」
「とりあえず、Aランクにあげよう。」
「ところで、気になったんだが、君は魔法を使わないのか?君から膨大な魔力を感じるが。」
「魔法は使えないんだ。適性がなくてな。」
「魔術を使えばいいじゃないのか?」
「そうだが、魔術もあまり得意でなくてな。」
「そうなのか。変な事聞いてすまなかった。」
「別にいい。」
もちろん、魔術が使えることは隠す。切り札の一つでもあるからな。
「そんなに魔力があるなら、魔法学園に入ればいいじゃないか。君は確か、15歳だろう?なら、16歳から入れる、高等学園に入ればいい。」
この国の育成機関は腐っているはずだし、俺は二度と、あの女と会いたくない。
「この国の育成機関は腐っていると聞いたが?」
「他の国の学園さ。」
他の国の学園?他の国は危ないはずだ。
「他の国は今は危ないが、戦力になるやつには、徹底的に迎えてくれる。ロスト程の逸材なら、支援もしてくれるさ。」
「入ると言うなら俺が推薦状を出すぞ?」
「考えておく。その国はどこの国だ?」
「この国、ディフィレント王国の隣の、エスカ帝国だ。帝国の帝都に、その学園はある。そこの学園は世界で1番だとも言われている。そこなら、君も魔法が使えるようになるんじゃないか?」
「うーん。学園かぁ…もうちょっと、冒険者をしてみて、気が変わったら行こう。」
「いつでも、推薦状は書くから考えといてくれ。」
「ああ。」
学園はもう嫌なんだよな…。でも、異世界の勇者が来るなら、必ず、どこかの学園に行くのでは無いのか?なら、出来るかは分からないが、勇者のスキルも奪えるんじゃないか?そう考えたら行く意味はある。奪うだけ奪って、逃げるのが良くないか?まぁ、まだ期間はある。
それまでは冒険をしたい。
前向きに検討しよう。
「今日は依頼を受けるか?」
「今日は受けない。」
俺は今、考えてることがあるからな。
そういい、俺はギルドから出た。
今日は、いつもの洞窟に篭ろうと思っている。
〜洞窟〜
ここに来たのは理由がある。
それは、鉱石を集めて、錬金をしようと思っている。
特に、金だ。金を金貨に変えようと思う。
これも禁忌のひとつだ。
バレたら捕まる。だが、本物そっくりにしてしまえばバレない。
最悪バレたとしても、逃げればいい。
〈鉱石探知!!!!〉
魔力を放って、何があるかを調べる。
鉱石は魔力を放っているからな。
そして、闇魔法で土を削っていく。
鉄と魔石がどんどん掘れる。
違う反応がある!
銀色で、輝いていて、軽い。
これはもしかしてミスリルか!?
『ミスリルだ。よかったな。魔力を通しやすいしな。これを売れば金になるぞ?』
ミスリルはまだ売らない。
金がでてきた!
重さで言うと、8キロぐらいでてきた。
これは、金貨が200枚くらい出来るだろう。
やったぜ。
まだ、他にも鉱石があるかもしれない。
あれ?なんか、小さいけど、すっごく、魔力反応を
放っている鉱石がある。
闇魔法でも吸い込めない?
これは、魔法耐性がある鉱石なのか。
なら、自分で、取るしかないな。
俺は取りに行った。
〈虚無ノ魔眼〉を使って鑑定する。
アダマンタイト
この鉱石は魔力を一切受け付けない。ミスリルより重くて硬い。
オリハルコン
ミスリルより魔力を通しやすく、アダマンタイトより軽くて硬い。
『これがあれば、かなり有用な魔道具を作れるんじゃないか?』
ああ。作れる。
後もうひとつ、なにか反応がある。
〈ヨハンの魔導兵器〉
なんだこれは?待てよ。どこかでヨハンの名を見たことある気がする。
『禁忌書だ。あれの作者もヨハンのはずだ。』
ヴォイドはヨハンについてなにか知っているのか?
『ああ。知っている。だが、マスターに話すのはまだ早い。自分でヨハンについて調べるんだ。』
なんでだ?まぁいい。
魔法鉱石が手に入っただけでも十分だ。