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神に愛された異世界転移  作者: 筧 麟太朗
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十五話

切りが悪いですが、ここで終わらないとまた長いので……。

なるべく次話を早めに投稿します!

「というわけで、だ。そこのダメ守護神」


 メイズが去ったあと俺は未だ森に留まっていた。

 アスランさんも残りたがったが、聞かれたくない話があったためご帰宅いただいた。

 サッサとお暇したいところだったが、この馬鹿守護神に聞きたいことがあったのだ。


『ダメ守護神だと!? 貴様誰に口を——』


「ふーん? そういう態度ね。おっけ、メイズさん呼び戻すわ」


『ずるいぞ、人間!』


「うるさい、元はと言えば仕事をさぼった上に、俺に襲い掛かってきたお前が悪い」


『ぐうの音も出ん……』


 はい、論破! 神を論破! 背徳感マックスです!

 この感じだともっと上からでも行けるな……。

 いや、でもメイズさんに怒られそうだからやめておこう……。


「それにお前をここに残してもらったのは理由がある。まずはそれを果たしてもらうぞ、もちろんお前に拒否権は無いからな。承知しておくように」


 俺はポケットから笛を取り出して木の目の前にちらつかせる。


『貴様、舐めおってッ! 自然エネルギーを元通りにしたときは覚えていろよ!』


「無理無理、元通りにしたら天界帰らされるから」


『しかし、わしが改心すればッ!』


「改心したら俺に復讐なんてしないだろうよー」


 気の抜けた声で守り神の恨みつらみを軽く聞き流す。

 ったく、やり返したらまた元通りじゃねえか、さっき改心した流れだったのに、こいつの心は山の天気よりも変わりやすいな。

 いや、山も森の集まりみたいなものだから変わりやすくて当然なのか……?

 まてまてまてまて、この世の森の神様が全てこういうやつだったらおしまいじゃねーか!


『何をそんなに難しい顔をしている?』


「いや、森の守り神ってお前以外にもいるのか?」


『なんだ、そんなことも知らんのか! これだか——』


 もはや定着しつつある流れをせき止めようと俺は再び笛を出す。


『シンジ君、おじさんが優しく教えてあげよう!』


「それはそれでキモイ」


『こんのッ! クソガキィー!』


「はいはい、茶番はここまで」


『……絶対復讐する』


「それももういいよ。それで? お前以外に守り神は存在するのか?」


 守護神が——、もういちいち心の中で守護神って呼ぶのめんどくさくなってきたな。

 字面的には守護神って三文字かもしれないけど平仮名にしたら『しゅごしん』五文字だし、ローマ字にしたら『shugosinn』で九文字だ。なげぇなげぇ、やってらんねぇ。


「ということであなたはこれから守護神改め、グランド、と呼ばせていただく」


『は?』


 やべ、口に出てた。


「すまん、気にしないでくれ」


『はぁ、もう何とでも呼べ。それで、守護神の数だったな』


「そうだ」


『森の守護神はわし一人だ、他は知らぬ』


「え?」


『なんだ、また文句か』


「いや、お前さっきそんなことも知らんのかぁー! とか言ってドヤってたじゃん!」


『ど……や?』


「あーもう! そんなことしか知らないのかよってことだよ!」


『そんなこととは貴様!』


「そりゃそうだろ、神のくせに!」


『わし、神だけど神じゃないもんねー』


「ふざけんな! あと出てきて二話目のくせにキャラ崩壊させんな!」


『そんなもん知らんわ、わしは神だから何をしても許されるんだ!』


「今神じゃないって言ったろ! はぁ、もういい。メイズさん呼ぶわ……」


 割と本気で笛に口をつける。


『それだけはやめてくれ! 悪かった! わしが悪かったから!』


「もうコメディキャラだよ……」


 精神の中で声を掛けてきた時にはもう戻れないのだろうか……。


「というか、なんでそこまでしてウィンズにしがみつくんだ?」


 ずっと不思議だったのだ。これだけ人間を見下していながらこうして人間ばかりの世界に居続けるのか。


「向こうに帰れば人間はいないぞ?」


『……ヴィスク様が怖いのだ……』


「はぁ!? 子供かお前は!」


『だって仕方ないだろ、お仕置きが!』


「だってとかお仕置きとか言うな! もっとまともな理由かと思った俺が馬鹿だったわ、このクソダメ守護神!」


 本当にこの神は神とは何たるかが分かっていない。もうただのダメなおっさんだ……。


「もうお前をここに残す意味が分からなくなってきたよ……」


『ダメだ、シンジ! 生きる理由を見失ったとしても、それだけは見失ってはいけない!』


「すでに見失いかけてるんですが!」


 もうやだ、こいつ。


「とりあえず、さっき言ってたやつやってくれよ、そしたら笛吹かないから」


『さっき言ってた? 何のことだ?』


「ほら、エネルギーに干渉して……みたいな」


『なるほど、あれか。分かった、ではわしの身体に触れろ』


「変なことすんなよ? なんかあったらすぐメイズさん呼ぶからな」


『フハハッ! 貴様も大概たいしたことは無いのにすぐに親を呼びつける子供のようではないか! いや、まだ子供か! すまんなぁ、ハハハハハ!』


「メイズさーん!」


『ごめんごめんごめんごめん』


「もう飽きたよ、これ」


『む、気が合うな。わしもだ』


 本当にムカつくな、こいつ!


「なぁ、触れればいいんだよな?」


『まぁそうだな、触れ方は問わん』


「そうか、なら!」


 俺は思い切り木を殴った。非力なのでとても拳が痛かったが。


『何をしてる!』


「触れ方は問わんって言ったろ?」


 極力ニヒルな笑みを浮かべてそう言い放つ。


『全く本当にいけ好かない人間だな、貴様は』


「それはお互い様だ、早いとこ終わらせて解散しよう」


『そうだな、こればかりは気が合うようだ』


 お互いの共通点を見つけたところでグランドが、


『それではこれから始める。貴様は先程の十分の一ほどでいいからもう一度精神に潜ってみよ。そこまでわしがエネルギーを持っていくから、貴様はそれを掴んで離さずこちらの世界に戻ってこい』


「そうすればエネルギーを制御できるようになるのか?」


『きっかけは掴めるだろうな』


「よし分かった、やってくれ」


『ではまず精神に』


 そう言われて俺は再び精神に潜る。

 今回は感覚を覚えているから簡単だ。


「十分の一っていうのはここら辺か」


 まだ帰れるくらいの深さだ、恐らく体の外にオーラを持ち出すとより簡単に操作が学べるんだろうな……。

 そんなことを考えながらグランドを待っていると、


『待たせたな』


 そう言って俺のオーラの端を引っ張るように掴んだグランドが帰ってきた。


「いや、大して待ってない」


『そうか、ならばこれを掴んで現実へ帰れ。それで終いだ』


「了解」


 短いやり取りを交わした後俺は意外としっかりした感触のあるオーラと共に現実へ戻るのだった。


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