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神に愛された異世界転移  作者: 筧 麟太朗
12/16

十一話

今回は少し短めです。


また、十話でシンジは一人っ子と記載しましたが、読み返したところしっかり者の妹がいるという事実が判明しましたので、十話を書き換えました。


申し訳ございません。


ですが、妹の有無は今のところ本編のストーリーには全く関係ありませんので、「設定忘れる作者馬鹿だなぁ」と鼻で笑って読み飛ばしてください、お願いします。


「すぅー、はぁぁぁー」


「どうだ、少し落ち着けたか?」


「うん」


「そっか、良かった。まあ、とりあえず、ほら」


 俺は着ているジャージの襟を引張って「どうぞお嗅ぎください」と言わんばかりに見せつける。

 

「嗅がないわよ! この馬鹿!」


「あ、そう……」


「……」


「……」


 どうしよう、話すことが何も無くなってしまった。実際さっきまであんなに豪快に泣かれた後に話す話題なんて、全くない。

 んー、どうしようか……と、悩んでいると逆にシルヴィアの方から話しかけてきた。


「ねえ、あなたは私のこと……その、どう思ってる?」


「え? お前のこと? 匂い好きな変態とか?」


「ふざけるならもういい! 馬鹿!」


「ごめんごめん、ちょっと驚いちゃって。そうだな、シルヴィは親しみやすくて突っ込みが上手なツンデレ、みたいな?」


「結局ふざけてるじゃないの! ツンデレとか意味わかんないし、みたいなって何よ、もう! いいわ、あんたに聞いた私が馬鹿だった」


「待て待て! 今のは本気で答えたぞ」


「じゃあツンデレって何よ」


「あー、それはだな……」


 どうしよう、地球の言葉を持ち込んだせいで説明するのがとても難しい。しかしこの会話は重要だな、俺の好きなライトノベルでもこういう状況から告白なんてのは山ほどあったから知ってるぞ。

 でも説明できないから誉めとこうか、それなりに。


「ツンデレっていうのはな、属性のことだよ」


「属性?」


「そうだ、この属性によって女性の魅力が変わってくるんだ」


「へぇ? それで私の魅力は一体何なのよ」


 訝しげに見つめてくるシルヴィ。今すぐにでも目を逸らしたいが、ここでそうすれば二度と信頼を勝ち取ることはできないだろう。

 俺はその瞳を真剣に見つめ返しながら、


「ツンデレっていうのは恐らく男性の中で最も人気なジャンルだ。ということはつまり……どういうことか分かるか?」


「知らないわよ、そんなの」


 ヤバい、選択肢を間違えた! もうこちらを見ることも無くなってしまったぁ! やばいやばい、どうしよう。こういう時は、えーっと……。俺は脳内のアニメやラノベの恋愛シーンを思い返す。

 ダメだ、何も浮かばない。しょうがない、こうなりゃ強硬手段だ!


「要はな、俺が言いたいことは!」


 なるべく部屋の外に聞こえない程度のそこそこ大きい声でシルヴィの視線を無理やり奪う。そして、


「俺はお前が好きだってことだよ!」


 俺の声が部屋に反響してシィィンと水を打ったように静まり返った。


「……」


「……」


 これはしくじった! 俯いて明らかにこちらを見ようとしないもの! ドクッドクッと自分の心臓の鼓動だけが聞こえる。


「あの、今のは違くてー―」


「ほんと?」


 マズイと思い訂正しようとした瞬間に顔を真っ赤にしたシルヴィが上目づかいでこちらを覗いた。


「あー、うん。もちろんホントだぞ。まあ、友達って意味だけ――」


「私も好き!」


 今度は何なんだ……。

 ここにきて喧嘩友達のシルヴィ(しかも今日知り合ったばかり)に告白されるなんて。俺の脳みそは瞬間停止する。プスプスという音共に煙が出てきてもおかしくないぞ。


「うん、もちろん友達って意味……だよね……?」


 半ば願いと同様の形で吐き出したその質問は一瞬で砕かれる。


「何言ってんの、そんなわけないでしょ。もちろん恋や愛の『好き』よ」


 あー、ダメだこれ。語尾にハートマークが見えた。

 そもそもえ? 本当に意味が分からない。


「あの、因みに理由を聞いても……?」


「恋に理由なんて無いわ!」


「えぇ……」


「まあしいて言えばアレね、うーん、匂い!」


「匂い!」


 匂いかよ! それはいいのか悪いのか……。いや好かれて悪いことは無いけどなんか違う! これは何か策略を感じる!


「いいじゃない、なんにせよ好きなんだから。それにあんたも嬉しいでしょ、私のことが好きなんだから。両想いじゃない!」


 ノーとは言えない空気……。上手く言いくるめられた気しかしないぞ……。


「これから私達恋人同士ね!」


「……」


「ね?シンジ?」


 背筋がゾクッとする。これは恋とか愛とかじゃない、殺気を感じるもの。俺はいつの間にかカラカラになって声の出なくなった喉の代わりに、ガクガク頭を上下に振って肯定の意を表する。


「うん、よろしい!」


 さて、どうしよう。異世界にきて一週間も経たずに人生初の彼女が出来た。いや出来てしまったという方が正しいだろう。

 

 地球のお父さんお母さん、妹、妖精の彼女にはどうやって接すればいいのでしょうか……。









短すぎるので八時にもう一話上げようと思います。

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