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第一章「春待つ雪」 二

「帰りには、荷運びを頼まんとのう」


 雪を軽やかに踏みながら、セトは傍らのレオアリスを見上げた。セトは村で二番目に若い。とは言っても一番若いのはレオアリスで、セトとレオアリスは見た目も五十は離れて見えるし、もともと半鳥族という彼等の種族は、年齢も外見もあまり個別の見分けがつかない。


「いいよ。俺が担いで帰るし、山羊を買うんだろ? ちょっと持って貰えば」

「山羊がどれほど持てると言うんじゃ」


 セトは胡散臭そうに尖った嘴を開いた。実際は、羽毛に包まれた顔は表情の判別が付けがたかったが、レオアリスには慣れたものだ。


「そこそこ持てるよ。瓶詰め二、三本は持てるだろ。それとも牛買うか?」

「そこまで金は無いのう」


 レオアリスは驚いた顔をしてセトを眺めた。


「だって昨日入っただろ? あれでひと月は保つはずだぜ。無理すりゃ牛も買えるだろ? したら荷物は運んで貰えるし牛乳も摂れるしさー」

「あれはもう半分しかない」

「――ええ!?」


 思わず足を止めたレオアリスを手招いて急かし、セトは街道を歩き続ける。


「驚く事ではないわ。今までの付けが溜まっとるのはお前も知っとろうが。今日はその付けを払わんといかんし、それの残りでしか買い出しもできん。牛は無理じゃのう」

「――」


 慌ててセトを追いかけながら、レオアリスは乱暴に天を仰いだ。


「じゃ、余計荷運びなんて頼まねぇ! しょうがねぇなぁっ、俺が全部担いで帰ってやるよ」


 半ばやけっぱちに言うと、セトはしゃがれ声で笑った。





 買い出しに出るのは、一番近い場所にある街道沿いのカレッサという街だが、これが一番近いと言っても歩いて丸一日はかかる所にあった。


 ただ、街道沿いの街はやはりそこそこ栄えている。

 この辺りでは雪は大分消え、道筋や木の影に白く積み残っているものの、街道や街中はすっかり石畳が覗いている。その上を行き交う足並みも賑やかだ。ここは近隣の多くの住民達が買い出しに訪れる市場でもあった。


 屋台がそこここに立ち並ぶ目抜通りを歩き、レオアリスとセトは一本筋外れの路地裏で、いつもの店に向かった。


 掲げられた木の板の看板には「クラリエッタの店」と洒落た文字で刻まれている。少しささくれた木の扉を引くと、埃と乾燥した草の香りの混じった空気が流れ出る。


「いらっしゃい……おや、生きてたかい」


 のっけから有り難くない言葉と共にニヤリと笑ったのは、この店の店主で、中年を越した太り肉の女だ。クラリエッタという美しい響きの店名は、彼女の名前から採られている。


店では様々な法術の道具類を扱っていて、レオアリスの村での術具類は、大抵ここで仕入れていた。この街に来ると必ず寄る場所だ。


 二人は軋む床を踏んで、積んである書物や術具を崩さないように気を付けながら、店の奥へと進んだ。


「暫く来ないから、村がとうとう雪で埋もれたのかと思ったよ。そしたら付けをどう取り立てるか、悩んでたとこさ。まず雪掻きから始めなくちゃいけないモンねぇ」

「そんな事で悩むとは暇な店じゃのう。客は他におらんのか」


 セトが返した皮肉に立派な鷲鼻を鳴らし、クラリエッタは台の抽斗からぶ厚い帳面を取り出した。ずいと押しやるように出した帳面の項には、それまで付けで仕入れた品物が一覧になっている。


 セトは一つ一つ確かめて頷き、懐から皮袋を取出すと銀貨二枚と銅貨を七枚、ぱちんと卓上に置いた。


「客は山ほどいるよ。でなきゃ付けなんかさせられるもんか。特に最近は色々入り用みたいでね、ほら、王都で御前試合があるだろう。それで術士も強い術を欲しがるヤツが多いのさ」


 それまで壁にかけられた幾つかの触媒をためつすがめつしていたレオアリスは、さっと振り向いて卓に乗り上げるように肘をついた。


「御前試合って、どんな事やんの?」


 クラリエッタは面白そうに、レオアリスの期待と興味に満ちた顔を眺める。


「おやボウズ、出ようってのかい? やめときな、お前みたいなガキじゃああっという間にやられちまうよ」

「そんな事ねぇよ。俺も最近は、雷系基礎にすりゃ、第三段階まで出来るようになったぜ」


 第三段階とは、複数の系統の組み上げで作り出す術式の段階を指す。レオアリスの得意そうな口調に、重そうな身体を揺するように笑い、クラリエッタは大きな手を振った。


「無理無理、そんなのまだよちよち歩きも済んでないよ。第一どうやって竜から宝玉を取るんだい。そこがまず最初の振るい落としなんだ。お前なんかは」

「婆さん、お喋りはいいから数えてくれんか。いらんのならしまっちまうぞ」


 セトはずいと代金を差し出し、それからレオアリスの肩を押した。


「お前は先に食材を買って来なさい。帰りに担げる分までじゃぞ」


 一瞬だけ、レオアリスは物足りなさそうにクラリエッタに眼をやったが、素直に卓から身を起こし、セトから金を受け取ると扉へ向かった。


「そうだ、じいちゃん、風系の触媒仕入れといてくれよ」

「そんな大技狙いばかりでどうする。お前は土の技をもっと学ぶべきじゃ」


 セトの言葉に適当に手を振って、レオアリスは店を駆け出した。


「威勢のいい事だね」


 クラリエッタの笑いを含んだ声に、セトは不機嫌な眼を向ける。


「まだ己を知らん」

「そりゃそうさ。ありゃ、どこで拾ってきたか知らないけどね、術士向きじゃないよ。良く第三まで持ってけたもんさ。術を練りにくい体質じゃないか」

「知らんくせして知ったかぶりするのが流儀かね? くれぐれも言っとくが、あれに余計な口出しはせんでもらおう」


 自分を厳しく睨み付けるセトの様子に、女店主は厚い唇をへの字に曲げて肩を竦めた。


「無理に制御しようなんて、術にだって向かないものさ。まあいいけどね。ほら、買うもんあるなら買っとくれ。ただし、今回は現金でだよ」





 レオアリスは店を出ると、早速表通りに立ち並ぶ屋台へと足を向けた。


 この季節は色々なものが出始める。冬の間に作り上げた品々を、周辺の住民達がこぞって売りにくるからだ。

 結局、レオアリスの手にあるのは銀貨三枚。あまり沢山は買えないが、それでも十日分の食料にはなる。


 ふいに背後で賑やかな声が上がり、レオアリスは屋台の方へ二、三歩寄った。

 混み合った道を自分よりも小さい子供達が四人ほどわっと駆け抜けていき、レオアリスは彼等が路地裏に消えるまで、その様子を眼で追った。

 ああやって同年代の友達と遊んだ事は、レオアリスには無い。村は一つぽつんと離れた場所にあり、近隣の村との付き合いもほとんど無かった。


 普段は何とも思わないが、こうして目の前に眺めると、何となく羨ましい気はする。ただ、では今から彼等と遊んで来いと言われても、何をして遊べばいいのか、レオアリスは戸惑うだろう。


(じいちゃん達とばっか話してるしなぁ。俺って意外とじじくさいかも)


 自分のその考えに少し暗い気分になりながら、レオアリスは果実を砂糖で煮込んだ瓶詰めを幾つかと、塩の甕と、小麦粉の袋を二つ、それから野菜の種を買った。それだけで既に銀貨一枚が消えてしまう。


(塩が高いよなぁー。作れねぇから仕方ないけど。重いし)


 道のはしにしゃがみこみ、帰りに背中に担げるように背負い紐を組みながら、村への距離を考えてレオアリスはこっそり溜息をついた。


 それに、そろそろ腹が減ってきている。悪い事に、この辺りは誘惑が沢山あった。路上の屋台には、色々な食材が調理された状態で並べられている。それが空腹をそそる匂いを立てて、食べ盛りのレオアリスの胃袋に訴えてくる。


 ぐっと口元を引き締めた時、セトの声がかかった。


「結構荷物になったな。後は山羊と鶏だけかのう」


 道の端にしゃがんでいたレオアリスは、首を上げて自分を覗き込んでいるセトを見上げる。


「何とか持てるって感じ。もう他無かったら、山羊とか買っちゃおうぜ。そしたらもう後は帰るだけだし。……っと」


 背中にずしりと乗っかる塩の甕と小麦粉の袋の重みに負けまいと、レオアリスは地面に一旦手を付いてから、ぐいと屈めていた膝と背を伸ばした。背中に視線を投げて顔を顰める。


「結構きちぃ~。早く帰んないと保たないぜ、これ」

「無理せんでもええよ」

「いーや、持って帰る!」

「そうムキにならんでも……丸一日は長いぞ」

「結局さぁ、術で飛ばしゃ早いんじゃないの?」


 セトだってその位の術は使えるはずだ。風を利用すれば、この程度の荷物なら歩いて一日の距離など二、三刻もあれば運べるだろう。だがレオアリスへ返すセトの声には、何故か得意そうな響きすらあった。


「その触媒を買う金がないんじゃよ」

「――ったく。何するにも金かよ……」


 がっかりと肩を落とし、レオアリスはセトの後について歩き出した。


(やっぱ、もっと稼げたらなぁ)


 この街まで買い出しに来るにも、これほどの時間と手間がかかる。馬車でもあれば行き来も楽だが、生憎以前村にいた馬はこの冬の前に売ってしまった。


 目の前を歩くセトに視線を注ぐ。

 セトが買い出し係なのは、村で一番若くて、まだ体力があるからだ。ここ数年はレオアリスが一緒に来られるようになったが、それまではもう一人、もっと年上のハースが一緒に買い出しに来ていた。元々あまり力の強くない半鳥族にとっては、老齢も加えてかなりの労力を要しただろう。


 レオアリスはずっと、術だけではなく、早く大きくなって祖父達を手伝いたかった。というよりも、レオアリスが居るために本来はしなくてもいい苦労も、彼等はしている。


 例えば、山羊にしても鶏にしても、そこから採れる乳や卵などは、レオアリスに必要なものであって祖父達にはあまり必要ではない。小麦粉を使った料理も、塩も、実際には術を行うための触媒も。

 そうしたものが無くても、菜食の彼等は森から採れるものだけで、それなりの生活は出来た。

 祖父達は何も言わないが、レオアリスはもうそうした事も察しが付くほどには、様々な知識を得ている。


 背中の重みは、彼等がレオアリスの為にこれまでずっと背負ってきた重みだ。


(こんなモンじゃないだろうけど)


 一度担ぎ直したとき、セトが振り返って、路地に並ぶ屋台の方を指差した。


「腹が減ったろう。何か買って食うてこい」

「え、でも、もう金ないし」

「まだ少しは残っとる。今回はお前が稼いだ金じゃろ。少しくらい構わん」


 思わず目を輝かせかけ――やはりレオアリスは首を振った。


「いいや。……自分で稼いだ金は、あんま無駄遣いしたくない」

「――じじくさいのう」


 セトは眉を顰めて眼を細く眇めると、溜息をついて屋台に向かった。


「じ……。ひでぇなぁっ俺がじじくさいのはじいちゃん達のせいだろうっ。大体ついうっかりその喋り方になっちゃうんじゃないかって、結構気にしてんだからな!」


 憤慨してセトを追ったレオアリスの前に、セトはひょいと櫛に差した肉を差し出した。肉は香ばしい湯気と香りを立てている。


「この程度は無駄遣いとは言わん。じじい言葉になる前に、さっさと食え」

「――」


 束の間黙り込み、それからそろそろと手を伸ばすと、レオアリスは非常に嬉しそうにぱくりと齧り付いた。セトは満面に笑みを浮かべながら彼を眺め、それから残りのものを買うために大通りを門の方へ歩き出した。


 大抵の市では、山羊や牛などの家畜を扱う売買は門の外で行われる。この街も同様で門の外には複数の商人や周辺の酪農家などが、冬の間に太らせた家畜を繋いでいた。


 来る途中にある程度の目星をつけている。あまり大きくも無く、痩せすぎてもおらず、眼の色や鼻先や毛並みの健康そうな――要は無難に安い山羊が、一番狙いだ。


「良かった~まだ残ってんじゃん」


 レオアリスが木の杭に繋がれた仔山羊に近づくと、仔山羊は棒の周りをくるっと回って、ベェエと鳴いた。


「声は元気だなー。毛艶もいいし。おっさん、これもう乳出るの?」

「出るぞ。状態もかなりいいしな、買うかね?」


 頷いたのは小柄で白髪交じりの、少し顔の尖った印象の男だ。他にも十数頭の山羊や馬を連れていて、干草を積んだ馬車や護衛の為の私兵なども数名いて、かなり大きな商隊のようだった。


 レオアリスはセトを振り返り、セトが頷いたのを見て顔を戻した。


「いくら?」

「百五十ルスだね」

「百五十!? たっっけぇ! こんなチビだぜ、普通百とか、せめて百十くらいだろ?」


 予想外の金額だ。百ルスで銀貨一枚。ちなみにここらでは、銀貨五枚もあればひと月は優に暮らせる。商人はレオアリスの反応にふんと鼻を鳴らした。


「何言ってんだ坊主、これくらいが普通の相場だよ。うちは南の方から引っ張ってきてんだからな、その分の経費もかかるし、何より肥えたいい草食べてるから質はいいんだ。周りと比べてみたら判るだろう? 毛並みも肉付きも、ここらのとは違うのがウチの自慢なんだよ」


 言われれば実際に、他に繋がれた家畜達とは違う。だからこの商人が扱うもののうち、比較的安そうな仔山羊を選んだのだ。


「……いや、でもそこをもう一声」

「何言ってんだ、一ルスだってまからない。うちの商売が上がったりだ」

「百二十とか」

「無理無理、無理だよ」

「じゃあ百三十! 頼むよ、うちそんなに金ないし、この冬の間ずっと乳とか乳製品切らして我慢してたんだよ」

「そんな事言ったってねぇ、うちも商売だし」

「百三十五!」


 一呼吸入れる間もなく畳み掛けられ、商人は一杯一杯というように両手を前に突き出し首を振る。


「じゃ、あの鶏も付けて、そんで百六十ってのは?」


 レオアリスが指差した先には、鶏を放した囲いがある。商人は殊更顰め面をして再び首を横に振った。


「あれは一羽で三十五ルスだ。足して百八十五になる」

「百七十五」

「百八十五だよ」

「しょうがねぇ、二羽付けて二百! これでどうだ!」

「坊主――」


 周囲の眼はすっかりこの遣り取りに集中している。商人の男は勢いに押されたのか余りの食い下がりっぷりに辟易したのか、深い溜息をついて手を振った。


「二百だ。持ってけ」

「よっしゃー!」


 レオアリスが拳を上げると、周囲からパラパラと拍手が起こった。





「恥ずかしいのう」


 セトは後ろを歩くレオアリスをチラリと眺め、山羊の手綱を一度引き締めた。


「何が? あの位やんないと駄目だろ。どうせあれでも上がりはあるよ」


 鶏は時々籠の中で暴れて、少し持ちにくい。背中に塩の甕と小麦粉を担ぎながら、肩に鶏を入れた籠を引っ掛けて歩くのは大分骨が折れたが、いい買い物が出来た事でそれも帳消しと言えた。


「いつの間にあんな交渉を覚えたんじゃか」

「買い出しについてきてりゃ、大体周りでやってるから覚えるよ。負けさせるのは重要だぜ? 言い値なんて大体ふっかけてんだから」

「ガキのくせに、ませた事を言うわ」


 セトが呆れて肩を竦めたのを見て、レオアリスは得意そうに笑った。


「いつまでもガキじゃないんだよ。術だって結構使えるようになったし、じいちゃん達の代わりに俺が術売って稼ぐのだって、もう大分無理な話じゃないぜ」


 セトは黙ったまま、顔を真っ直ぐ向けて雪の積もった街道を歩いていく。その瞳には僅かに翳った色があった。後ろを歩くレオアリスは、セトの表情には気付かない。


「思うんだけど、もう少しさぁ……南に住めばいいんじゃないかな」

「――何がじゃ」

「おとといの客が言ってたんだ。もっと南なら、施術代も倍近くになるってさ。……王都ならもっと取れるだろうけど、ま、そこまで行かなくても、もっと南に移り住めば畑だって育ちやすいし、買い出しだってこんな苦労しなくていいし、それに依頼だって増えるだろ」


 口に出している間に、それはかなりいい案に思えてきた。村を移すのは労力がかかるし、その土地の領事館に申請を出して許可を取る必要があるが、今の北の辺境にいるよりは結果的にいいはずだ。


 セトは何も言わずレオアリスの前を歩いている。


「何もあんな凍った土地に拘る必要ないじゃないか」


 冬が年の半分にもわたる土地。凍った土地を耕すのは楽ではないし、他の街や村からも遠く離れている。祖父達は高齢でその上寒さに強い種でもない。


 何故あの土地に拘るのだろう。以前からずっとそれは不思議だった。


 凍えながら、身体に鞭を打ちながら越す冬。雪に閉ざされて一人として訪れる事の無い冬を、じっと身を低くするように遣り過ごす。

 買い出しにも丸一日かけて、それもレオアリスに必要なものばかりを買う。

 それなら、何もあんな厳しい土地でなくてもいい。


 祖父達にはもっと楽をして欲しかった。

 楽をしたっていい筈だ。誰にも文句は言わせない。

 レオアリスは顔を上げ、もう一度、今度は少し強い口調で村を移す事を勧めてみたが、セトには魅力的な響きでは無かったようだ。足を止める事も無く、微かな固い口調が返ってきただけだ。


「移住などそう簡単に行くものではないわ。許可の手間は掛かるし地代も掛かる。一つ一つ掛かる手間を数えてやろうかの? 第一お前はそんな事を気にする必要はない。将来のためにゆっくり知識を蓄え、技術を磨くべきじゃ。まだまだ、あの場所でやれる事は山ほどある」

「そんな事を言ってんじゃなくてさ。じいちゃん達がもっと」

「わしらは、あの村に居る事に満足しておるよ」

「――」


 何となくそれ以上その話題を続ける事が出来ない雰囲気に、レオアリスは心の中で溜息をついた。

 一度、沈みかけた西陽へと首を巡らせ、ふとその方角にあるだろうカトゥシュ森林に思いを巡らせて、それから北へと顔を戻した。


 およそふた月。それも日に日に残りの日数は減っていく。


 明確な思考にならない、意識の奥底で、チラリとそんな考えが過ぎった。







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