第三話 辺境都市オリアの冒険者
ステータス画面からこのあたりの地図に切り替わる。
今俺がいるところは森の中なんだな、表示された地図を現在地からずっと見ていくと東方面に道が表示されていた。
近くの町は・・・道沿いに見ていくとかなり大きな町が表示された。
「ここの町を目指すか」
すると目の前の地面に矢印が表示され、頭の中に
『現在地より東に10km、辺境都市オリアへと道案内を開始します』
うわっ、道案内もできるんだね。
これで、その辺をうろうろ探索しながら最悪迷子なんてことにならずに人が住んでいるところにたどり着けそうだ。
「じゃ、辺境都市オリアへ出発だっ!」
10kmの距離ってどのぐらい歩くんだっけ?2時間ぐらいか?
ユニークスキルのコンシェルジュに聞くこともできるか・・・な?
「コンシェルジュお前には話しかければいいのか?」
『はい、マスター何なりとお申し付けください。頭の中でご命令いただいても音声でもどちらでも対応が可能です』
へー、困ったときにはなんでも聞けばいいんだな・・・。呼びかけるるのにコンシェルジュは名が長いな・・・。
「コンシェルジュに名前って付けれるか?」
『はい、マスター可能です。呼びやすいように名前をお付けください』
「んーじゃあ、お前の名前はシェルと呼ぶことにする」
『コンシェルジュに命名、シェルになりました』
「じゃシェル、辺境都市オリアへの徒歩での予想到着時間を教えてくれ」
『約1時間ほどになります』
大分早くつく計算だ、確かにいま俺は歩いているつもりだけど走るぐらいの速度が出てるか・・・。
もう、ステータスあたりの補正が効いているんだろうな。
そんな事を聞きながら40分ほどすると、森がなくなり平原へとでると平原のずっと先に壁らしきものが見え、ここからはしっかりした人が歩いて踏み固められた道が壁がある方へとずっと伸びていた。
「お~あれって壁だよな、やっと人がいるところに」
道に沿って歩き始めたが、さっきから草むらがガサガサと揺れていた・・・。
不安と恐怖で自然と足が速くなり全力で走り出したが俺の後ろから・・・
「はっはっはっ、がうっ」荒い呼吸と短く唸る何かが近づいてきていた。
やっやばい、何かいるっ!!
『平原に住み着いている穴狼です。普段は穴の中に住み、近づく者に襲い掛かるようです。推定脅威Dランクです』
「はっはひっ、なに?Dランク?それ強いの?」
『この世界のモンスター脅威度ランクです。SランクからGランクまで順位付けがあり、Dランクは下から3番目になります。比較として森の中でマスターが戦ったゴブリンはFランクです』
「はっは、ゴブリンより強いってことだね。しかもこいつ俺が全力で走ってるのに余裕でついてきてる足が速いタイプのモンスターだっ」
このまま逃げていいのか?でも壁まで行っても助けてくれるか分からないし。ゲームなんかだとこれっモンスタートレインって言うんだっけ?1匹しかいないけどっ。
「どうしたら・・・」俺は走りながら何も考えが浮かばなかった。
◇ ◇ ◇ ◇
「おいっ!お前そのまま俺の横を走り抜けろっ」
突然俺の目の前に冒険者らしい男が割り込んできて剣を一閃。俺を追うのに夢中だった穴狼を切り伏せていた。
俺は放心してさっきまでしつこく追いかけてきた穴狼を見ていると、冒険者らしい男は大きな声で話しかけてきた。
「おいっ、坊主こんなところで何をやってるんだ?ん、おまえっ丸腰じゃないかっ」
「あっああ、はっ!すまない助かったっ」
ふう、どうやら俺はこの冒険者に助けられたようだ。シェルの道案内に周りには危険なモンスターがいることを完全に忘れてたよ。
「お前何も持っていないようだが、何でこんな所で穴狼に追われてたんだ?」
(なんだこいつは・・・この平原は一般人は護衛を付けないと来れないところだ。それに何度見ても丸腰だナイフすらもっていないし、荷物さえない・・・追われていた時に落とした?)
冒険者の男に体をジロジロとみられてるのが分かる、俺何も持ってないからどう見ても怪しいのだろうな。
「あ~とこれは・・・」
う~どうしよう変にごまかしたりすると後で嘘をついているのがバレたときにやばいかもしれないし・・・助けてくれた人に嘘をつくのは・・・。
『マスターここは正直に自分の境遇を話されるのが良いと思われます。』
そっそうだよなっ!頭の中でシェルからそう提案され。
もしかしたら保護とかしてくれるかもだし、とりあえず正直に話してみるか。
「え~とその、俺は信じてもらえないかもしれませんが。この先の森の中に突然にこことの世界とは違う異世界から転移してきたんです」
そう正直に話してみた俺は・・・。
「んっなにっ!異世界からの転移だと?お前もしかして稀人か?異世界人?」
あっどうやら理解してくれたようだ・・・。
「あっはいそうです。異世界人です。突然この世界に転移してきて」
そんな俺の話を聞いた冒険者らしい男は
「あっはははっ!そうかっお前稀人かっ!よしっ冒険者ギルドに俺と一緒に行くぞっ!!!」
そんなテンションがハイになってしまった冒険者の男に俺は訳も分からないまま、辺境都市オリアへと歩き出した。
冒険者にピンチを助けてもらいました。