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02-7

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「……どういうことだよ、ご機嫌取りって?」 訝しみながらそう聞くと、悪魔は言いにくそうに答えた。

『実は……私は悪いことをした罰として天界から追放された、元天使なのだ』

 お前こそとんでもないろくでなしじゃないか、と言いそうになったが、すんでのところでやめておいた。

『私が天界に帰るには、この世で良いことをしまくるしかない。だから、お前のような奴と組んででも、わざわざこの私が人間のために働いてやろうというわけだ』

 天界に帰りたいなら、まずその傲慢な性格を直してはどうだろうか、と僕は呆れながら僕はこう答えた。「お前と組んでやって、いいことをしても、僕には何のメリットもないんじゃないか?」

 すると、悪魔は笑った。『メリットなら、あるぞ。お前は生まれてからずっと悪いことをし続けたせいで、ついに神にすっかり見捨てられてしまっている』

「へえ、心外だな。僕が何をしたっていうんだ」

『幼いころ、お前は人を殺しただろう。その時、神はお前を見放したんだ。人を殺したものや自殺したものが天国に行けるはずがない。というわけで、お前はもはやこれからどれだけ良いことをしても、絶対に天国には行けないのだが、私と“すごく良いこと”をすることで、これまでの悪行が赦されて、天国にいけるかもしれないのだ』

 今度は僕が笑う番だった。「断るよ。死んだ後のことなんて、どうでもいいからね」

 それに、“良いこと”をする、なんてまっぴらごめんだ。僕は心の中でそう付け加えた。

『それは残念だ』 悪魔は本当に残念そうに言った。そしてこう付け加えた。『お前なら、悪魔憑きを楽に退治できるだろうに』

 聞いた瞬間、僕の頭に強い衝撃が走った。

「まさかとは思うが! その“良いこと”っていうのは……悪魔憑きを殺すことなのか!」

『……ああ、そうだが』

 僕の頭の中で“悪魔憑き”をテーマとした映画の映像が流れる。

「悪魔憑きって、あれだろ? 悪魔に憑りつかれて白目剥きながら、ブリッジの姿勢で階段を降りたり、首をぐるぐる回したりする奴らだろ?」

『そうだな、だいたい合っているが、それがどうし――』

「それならそうと、早く言ってくれればいいんだ」 僕はにやにやしながらこう言った。「契約でも何でもしようぜ、悪魔」



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