戦闘開始
ざっくりと戦闘まで投稿してみました。
しばらく歩いていると、ふとチヒロが立ち止まり、二人に声をかける。
「見た感じ 濃い魔力が大分近づいてきている。ここらで迎え撃とうか」
ユリアがはーいと頷き、ユキが承知いたしましたわと返事をする。
待つこと数分。
体長三メートルはあるであろう大きな魔物が現れた。
そして手に掴んでいたナニカを俺達に向かって投げてくる。
高速で飛んでくるナニカをチヒロは瞳に収める。グシャグシャになっているのでわかりにくいが偵察隊の制服のようだとコンマ数秒で判断し、左手のグローブにある刻印に魔力を通し風属性の璧を弱めに展開する。
その隙を狙って魔物が飛び上がり上空から攻撃してこようとしてくるが、右手のグローブの刻印に魔力を通し魔物の目の前に氷属性の璧を展開し動きを阻害する。
そこで後衛にいるユキが炎属性、水属性、氷属性、風属性、土属性の砡を弧を描くような軌道で順々に魔物に向かって放ち、弱点属性がないか確かめる。特別効果のある属性は無さそうで魔物にダメージはあまり通ってないのを確認したユキは大技を放つ為に魔力を溜める。
魔物が大したダメージはないが数が多い砡を受け、苛立たしげに呻いたところで両腕に炎を纏わせたユリアがそりゃりゃりゃりゃー!とアクロバティックな動きで背後や横に高速で回り込み色々な角度から渾身の連打を叩き込む。
チヒロは…いやチヒロに宿る金色の瞳は高速戦闘の最中、魔物やユキの一挙手一投足まで見逃すことなく捉える…が、上へ下へ右へ左へ、時には一回転や一回転捻りを含むアクロバティックな動きをしているにも関わらずエネイル装束に付与されいる魔導的な効力によりミニスカートの中身が全く見えない。いやチラチラと見えそうになるのだが決してスカートの中にある一般的にパンツと呼ばれる至高の布が見えない。自然と瞳に力が入るが一向に見えない。全く見えない。そんな悔しい思いをしつつも双方を観察していると、亀のように丸まりながらユリアの連打を耐えている魔物の口が少し不自然に動く。チヒロはその不自然な動きから次に行うであろう行動を予測しユリアの眼前に炎属性の璧を展開する。一瞬後に魔物の口から先程の身体の生首と思われるモノが発射されるが璧に防がれ燃え尽きる。
魔物の顔が驚愕に染まりつつも、両脚に力を入れるのを確認したチヒロは重心や力の入れ具合等から一旦距離を取る為に後ろに飛び去ろうとしていると瞬時に判断し、魔物が飛び上がる瞬間を狙い背後に璧を発生させ、またもや魔物の行動を阻害する。
魔物は予想外に自分の後ろに壁が出来ている事に驚き、体勢を崩したところにユリアが右腕に特大の炎を纏わせた強力な一撃をボディに放つ。
魔物の身体がくの字に曲がり、少し浮いたところに魔力を溜めていたユキが魔物に接近し炎属性の閃を魔物の首に向かって放つ。
「これで止めですわ」
超高温のレーザービームのような攻撃により魔物の頭と胴体を分離させ完全に息の根を止める。
ゆっくりと魔物が倒れたかと思うと、黒い粒子となって魔物の身体が消えていく。
黒い粒子が消えた後には魔石とよばれる大きな石が残るだけだった。