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怪談竒譚

不快害虫

作者:鵜狩三善
 今にして思えば、あの夏の日に俺に起きたのは、全然大した出来事じゃない。生きるの死ぬのの話じゃないし、怪我のひとつもしやしない。
 でも、それでも。
 思い出せばひどく不快な心持ちになる。思い返せば心底不愉快な気持ちになる。
 それはそんな記憶だった。
 悪意の介在を感じずにはいられないアレを端的に言い表すなら、結局この言葉に落着する事になるだろう。
 あの日から俺は、袋菓子が嫌いになった。
1.
2014/08/05 12:00
2.
2014/08/05 12:00
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