5話 村?に着いたようだ
予定の通りに進まないー
現在、村の入り口まで来ている。
小屋から村までは、ある程度、道として整備されていて比較的に歩き安くなっていた。
途中、戦闘もあったが、例のデブネズミ(ビックラットが正式名称らしい)が2匹出ただけだった。
1匹はカイルが、1匹はヨーコが対処したのだが・・・・・。
ヨーコの力が半端で無かった。
カイルが突っ込み1匹を仕留め、ヨーコに加勢しに行こうと振り向いたら・・・・・
見事に4番がホームランしていた。
ただしボールは二つあったが・・・・・・
ヨーコがバスターソードを横薙ぎに振るう
剣がビックラットを捕らえる
ジャストミートし、上下がさよならする
上が右回転
下が左回転
綺麗な弾道を描く
これは大きい!入るか入るか!?
入った!場外ホームラン!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんな、子供がみたらトラウマ間違いなし!のB級ホラーのスプラッタな光景を目にしカイルは、ヨーコとのドキドキイベントはなるべく控えようと心に決めるのだった。
(だって命がいくらあっても足りないんだもん!)
そんなこんなで村の正門の前だが、村は「もうすでに街やろ!」といつものアレな感じが出てしまうくらい立派だった。
外周は城壁のようになっており、ぐるりと村を囲んでいる。
入り口には鎧を着た兵士が立っている。
兵士は不審者の監視も一応やっているらしいが、どちらかといえば魔物対策の意味合いが強いらしい。
入り口で職質かけられるかとカイルはドキドキしていたが、特にイベントもなく普通に中に入った。
村はメインストリートが村を半分に分けており、入り口から見て、左側が住宅街、中央メインストリート沿いに商店が並び、右側に宿屋街、飲食街、ギルド、軍施設などがある。
村はここ20年で急速に発展したらしく、比較的新しい建物が多い。
何でも、現在の村長が村に近い山間で鉱脈を発見したらしく、それまでは農業や林業が主な産業だった貧しい村が、鉱脈の発見で爆発的に発展していったそうだ。
村が発展し、人が集まれば犯罪や問題が増える。その為、軍施設が鉱脈や村の警備、村の治安維持のために、ギルドの支部はそれの補助やその他の問題解決のために設立されたそうだ。
ここまで発展した現在も村となっているのは、村長が「街長とか都市長とかめんどい!村長ですらみんなが言うからやってるのに!気楽でいたい!税は払ってるんだから文句は無いだろう!後任が引き継ぐ時に街でも都市にでもしろ!」と言っているからだそうだ。
なんとも自由人だが、能力があり、住民も慕っているために国も文句が言えないそうだ。
まあ、国の方も「ぶっちゃけ、どっちでもいいんだけどね!税はかなり貰えてるし。」ぐらいな感じらしく、いかにも自由都市国家と名前の通りな感じの国である。
「今日はもうすぐ暗くなるし、あたいの報告と預金を下ろしにギルドに行って、村を軽く案内した後にあたいの定宿に行くって具合でどうだい?」
「ヨーコに任せるわ。村の事わからんし。」
「任されたよ。それとギルドの登録には時間が掛かるから、登録は明日になるよ。」
「あいよー、とにかく行こうや。久しぶりに暖かい飯を食いたいし。」
「ったく、あんたは・・・・、まあいいよ。じゃあ着いて来な。」
そして2人はメインストリートを歩きだした。
メインストリートは商店だけでは無く、屋台や立ち飲み屋みたいな所もありこの時間でもかなり賑わっている。
カイルは初めて見る異世界の町並みや商品、ヨーコ以外の獣人、エルフ、ドワーフ、巨乳な獣人、巨乳なエルフ、巨乳なドワーフ、などなどに目移りしながらキョロキョロして、まんまおのぼりさんだった。
「山奥育ちだからしょうがないね。」
とヨーコにも巨乳を見ていたのがばれず。
(やっぱ山奥設定あたりやな。)
などと考えているうちにギルドに到着した。
ギルドは二階建てで立派で、後ろにコロシアム的なものが見える。
中に入るとロビーがあり、かなり広い。入り口から見て左側に依頼を張ってある掲示板、中央にテーブルと椅子が数セット、右側に2階に繋がる階段、奥に受付がある。
雰囲気もよくイメージする殺伐とした感じでは無く、職員も制服なので市役所のような感じだ。
まあ、冒険者が殺伐としているので、慣れないとかなりミスマッチだが・・・。
「じゃあ、あたいは報告に行くからちょっと待ってな。」
「あいよー。」
ヨーコは知り合いらしい何人かに挨拶をしながら受付に向かった。
カイルは突っ立て居てもしょうがないので、依頼の掲示板を見てみることにした。
依頼は多種多様で、家事手伝いみたいな事やアルバイトのような事、収集系、討伐系などがあった。
「冒険者と言うより何でも屋みたいやな。」とアレな感じな所にヨーコが帰って来た。
「何、ブツブツ言ってるんだい?ってそれよりも、もう少し待っててくれるかい。ギルド長に直接報告に行くことになっちまってねえ。」
「そうなんやぁ、じゃあ適当に座って待ってるわ。」
「悪いね。すぐに終わらすからよ。」
そう言ってヨーコは二階に上がっていった。
カイルはもうしばらく掲示板を見た後に中央のテーブルの1つに腰掛けた。
する事が無いのでひたすらぼーっと人間観察していたら、「てめぇ、見ない顔だな。」だとか「ここは餓鬼が来る所じゃねいぞ!」など、まさにテンプレ冒険者Aな男に絡まれた。
(メンドイな、とりあえず無視決め込むか、そのうちどっか行くやろ。)
しかし、そんな態度がお気に召さないのか、「てめぇ!無視してんじゃねぇ!ぶっ飛ばすぞ!」とテンプレ的に胸倉を捕まれたもんだから、さすがにカチンときてしまい。無言のまま彼のジュニアを蹴りあげた。
かなり鈍い音がし、男は膝を着いて悶絶している。
まだ怒りが収まらないので、男を蹴り倒し、逆エビを決めながら、
「てめぇこそ誰やねん!こっちは慣れへん旅で疲れとんねん!めんどくさい絡み方しとんちゃうぞボケが!このまま背骨いわしたろか!おい!聞いとんのか!」
と周りも若干引いている中で巻くし立てていると、
「カイル、何があったか大体想像着くけど、それくらいにしときな、完全に失神してるよそいつ。」
見ると男は泡噴いて失神していた。
「しゃない、今日はこれくらいにしといたるわ。」
「そうそう、こんな馬鹿、相手にするだけ損だよ。」
「ん?こいつ知ってんのかぁ?」
「まあ、ちょっとね・・・・・」
どうやらこの男は、ヨーコをパティーに誘ったり、口説いたりとしつこく着きまとい、何度かぶっ飛ばされているようだ。
そんな愛しのヨーコが知らない男と入って来たのを見掛け、ヨーコがいなくなったのを見計らって、焼きを入れに来たようだ。まあ、相手が悪かったようで、カイルに返り打ちにされたのだが。
ヨーコは美貌もそうだか、実力も上位ランクなようでパティーへのお誘いが結構あるそうだ。
しかし本人は気楽な方がいいらしく、現在も1匹狼(ヨーコの場合は一匹虎か?)らしいのだ。
「とにかく、用事は済んだし、気を取り直して飯でも行こうよ、今晩はあたいが奢るからさ。」
「姉さんあざっす!やっぱり姉さんは女神ッス!」
「馬鹿、こんな所で何言ってんだい!もう、とっとと行くよ!」
ヨーコはテレまくりで外に出る。カイルが後に続く。その後を伸びている男が職員さんに放り出され、地面にキスをする。何とも惨めな男だった。
そんなこんなで思ったより時間が掛かったようで、辺りは暗くなっていた。
ギルドを出た二人は、村の案内は明日にして、ヨーコの定宿で夕食を食べる事にした。
ヨーコの定宿は『憩いの宿、森の日だまり』という名前の宿で、女性冒険者に人気の宿らしい。
1階が食堂と受付などで、2、3階が部屋になっているようだ。
「ただいまマリアさん」
「ヨーコかい、お帰り。依頼はどうだった?」
「それは後で話すよ。それより夕食を2人分用意して貰えるかい?」
「アラ、お連れがいるなんて珍しいねぇ。しかも男かい!?ちょっと幼い気もするけど、ヨーコにも春が来たんだねぇ。」
「ちょっ、何言ってるんだよ!カ、カイルは、そ、そんなんじゃ無いよ!それにカイルは20歳だよ。確かに童顔だけど・・・・かっ・・・・。」
最後の方は聞き取れなかったが、現在蚊帳の外真っ最中である。
マリアさんは本名はマリアンヌと言うらしく、何とも可愛らしい名前だが、熊系獣人なのでかなり厳つい。
マリアさんは元冒険者らしく、結婚を機に引退し宿を始めたらしい。旦那さんも元冒険者で宿の料理長をしている。
「まあ、ヨーコもそっちの子も座りな。今、用意してもらうからさ。」
「ありがとうごさいます。挨拶がまだでしたね。私はカイルです。若輩ものですがよろしくお願いします。」
「これはご丁寧にどうも、私はマリアンヌ、マリアって呼んでくれていいよ。」
「はい、マリアさん。久しぶりの暖かいご飯なので、楽しみです。」
「そうかい、じゃあサービスするように言っておくよ。とにかく座りな。」
「はい。では失礼します。」
そんなやり取りに、ヨーコは唖然としていた。
「カイル、あんた言葉遣いが・・・・。」
「これですか。何故か緊張したり丁寧に話そうするとこうなってしまうんですよ。」
「あんたって、本当に・・・・、まあいいよ。とにかく飯だね。」
「そうやな、かなり腹減ったわぁ。」
「・・・・・・・」
しばらく待っているとマリアさんとコック姿の人が料理を運んできた。
どうやら、旦那さんのようだが、これがまたものすごいイケメンだった。これぞ美女と野獣!(逆だけど)って感じだ。
何でも、同じ依頼を受けた時に、旦那さんがマリアさんに危ない所を助けられ、旦那さんがマリアさんに惚れてしまって、猛烈なアタックにマリアさんが負けて結婚したようだ。
そんな二人の馴れ初めを聞いたり、ヨーコの依頼の話をしたり、楽しく食事をした。料理も元冒険者らしいボリュームのある(かなりサービスしてくれたようだ。)味も抜群の料理だった。
「それで、カイルは宿は決まっているの?」
食事を終え、食器を下げに来たマリアさんに尋ねられた。
「あっ!考えてなかったよ。」
「私も全く考えていませんでした。」
「ったくあなた達ねぇ。ちょうどヨーコの部屋の隣が空いてるけど、どうする?」
「では是非、泊まらして貰います。」
「それじゃあ、1泊2食付きで銀貨5枚になるよ。」
(日本円だと大体5000円か、こっちの物価安いな。)
「ヨーコは、どれくらい払ってるんですか?」
「あたいは、後10日分前払してるよ。」
「では、私も10日分でお願いします。」
そう言って金貨5枚を払い、食堂を後にした。
マリアさんに案内されたのは206号室で一番奥の部屋だった。ヨーコは隣の205号室だ。
部屋は綺麗に掃除してあり、内装もオシャレな感じだ。
(部屋も綺麗でオシャレ、料理は美味しく旦那さんは男前、マリアさんも優しく面倒見がよさそうだし、女性に人気なんも頷けるな。)
「今日はなんだかんだで疲れたし、宿には風呂もあるみたいやし、風呂に入って寝るか!」
と、いつものアレを全開で風呂に向かった。
もちろん、先にヨーコが入っているのに、マリアさんの悪戯でブッキングして、ヨーコ揺れる双子山を見ながらぶっ飛ばされるイベントを消化した後に、風呂に入ってから眠るのであった。
(マリアさんグッジョブっす。)
前話の後書きでギルド登録するって言うてましたが、村の話が長くなってしまい、切りがいい所で終わると、ギルド登録できませんでした。
次話でギルド登録します。
それと、何気に日ランでランクインしてる事や、総合ポイントが100を越えた事に驚いています。
お気に入りに登録してくださった方や評価していただいた方、本当にありがとうございます。
頑張って書いていくので、今後ともよろしくです。
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