外れスキル『翻訳』~転移サラリーマンの一代記
「スキル翻訳でございます」
「うわ、外れだよ・・・」
「召喚失敗だ!」
俺は斉藤道三、長男だ。戦国マニアの親父につけられた名だ。
32歳、サラリーマン。バスを待っていたら突然光に包まれて中世ヨーロッパに来た。
スキルは翻訳らしい。
これが外れスキルというのは少し分かる。
通訳を使って仕事をしたことがあるがまどろっこしい。
また、日本に来ている外国人なら意外と身振り手振りと簡単な単語で通じるものだ。
これはガチで体験した。向こうが聞こうとする外国人なら簡単な事なら通じる。
中世だが、交易は文法が簡略されたビギン言語みたいなのがあるか?
「我が王宮には10人の通訳がおり」
「隣国とは同じ言語圏だ」
「方言程度の違いしか無い。翻訳者は掃いて捨てるほどおる」
「「「追放だ!」」」
「ヒドいな。呼んでおいて、補償しろよ」
銅貨10枚ほどもらった。日本円にして千円くらいか。
冒険者ギルドと言うものに行くのか?
と考えたが、声が聞こえる。
「チュン!チュン!チュン!」(カラスやべーよ。一本杉の山に集まっている)
「チュチュチュチュチュチュ!」(光る石見つけたみたいだぜ!)
鳥の鳴き声が翻訳できた。俺のは超翻訳らしい。
山に行くとカラスが何かを地面から取り出している。
「金貨だ・・・」
夜、頂戴した。
「さあ、どうしようかな。隣国に行くか・・・」
隣国は小国だった。まあ、いいや。
城の前で人だかりだ。
「ダグラネス王国が攻めて来る!兵募集だ!手柄を立てた者は取り立てるぞ!」
「オオオオーーーー!」
ダグラネス王国は俺を召喚した国だ。何だ。戦力増強で召喚したのか?
俺は行かない。戦争未経験だ。自衛官でも武道家でもない。
「まあ、しばらく滞在しよう」
宿を取り。しばらくは楽に暮らせる金貨がある。今後の事はゆっくり考えよう。
ここは良い国だ。ヨーロッパの田舎町だ。
人種差別もない。
「サイトーさんはどこからきなさったので」
「日本ですよ」
だが、段々、街の精気が無くなってきた。
戦争による物資不足。
敵の戦力が分かって来た。
「異世界人が・・・すごい武器を持ってきています」
「騎士の鎧も、大盾も貫通する小さなツブテを放ちます」
「1人で100人隊を壊滅・・・」
「名はサトウ・・・で黒髪、黒目だでまだ子供だ」
「あの宿にも同じ種族いるぞ!」
てな訳で捕まった。城で尋問を受ける。
「貴様、奴と仲間だろう」
「スパイか?」
「違うよ」
「証拠はあるか?」
「ああ、やっつけてやるよ。それで身の潔白の証明と金が欲しい」
俺は前線に立つことになった。
「サトウが来たぞ!」
「逃げろ!500メートル距離をとれ!」
策はある。
小型の怪鳥の群れと話をしておいた。
やはり、きめ細かい話をするときは翻訳者が必要だ。
「ギャ!ギャ!」
「この石を今から言う奴にブチあてたら肉をやる」
「グギャ!ギャアアアー!」
「え、主食は魚?分かった。魚用意する」
と、50羽以上の群れが奴に襲いかかった。
まあ、ドローンだな。
俺のスキルが日本での仕事に関わるのなら、奴のスキルも趣味由来だろう。子供だから自衛官ではない。
ミリタリーファンか?
世の中にはミリタリーファンがあって、その中には自分をスーパー兵士と錯覚している者もいる。
彼らはドローンを全く話題にしない。何故ならば、妄想の中の自分が活躍する戦場ではドローンがないからだ。
怪鳥の速さは時速150キロくらいか?
サトウに襲いかかった。
「ウワワワワワワーーーー!」
銃を乱射するが、数羽落ちただけだ。
またたくまに、拳大の石は奴を襲う。
どうやら倒れたようだ。
「ギャ!ギャ!ギャ!」
「グギャ!」
うわ。怪鳥、死んだ仲間を食ってやがる。
鶏も共食いすると聞くな。
「グギャ!」(こいつ、食べて良い?)
「まだだ・・・」
まるでハゲワシのようにサトウに群がった。
まだ、息はある。
「はあ、はあ、はあ、ズルいよ。僕は召喚されて・・・仕方なく。同じ日本人だよね。助けてよ」
「・・・もうね。殺したのなら殺される覚悟が必要なのさ。君、知らなかった?」
バン!
銃を奪って撃った。初めての人殺しだ。最後であって欲しい。
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏・・・よし、鳥葬だ。喰って良いぞ」
「「「「ギャ!ギャ!ギャ!」」」
王城に戻ったら陛下に怒られた。
「何故、サトウを殺した。捕虜にすれば我が王国は異世界の武器を装備できたかもしれないのに・・・」
この国も変わるな。素朴な国から欲が出てきたな。
俺は提案をする。
「あの、実は奴の銃は戦場に隠しておきました。ドワーフで再現可能では?」
「ヨシ、行ってこい・・・・監視は・・」
「成功したら姫との結婚の褒美をお願いします」
「うむ。本当に持って来たら、好きなのを選ばせてやる」
「はっ!」
そして、俺はそのまま逃げた。銃は怪鳥に海に捨ててもらった。
欲深さを示しておけば人は信用するものだ。
その後は知らない。
俺は更に遠い国に行き。
蹄鉄を打っている女の作業小屋の前を通った時だ。馬の言葉が伝わって来た。
「ヒヒイ~~ン!」(そこ違うよ!綺麗にしてよ!)
「ええ、どうしたのハナ・・・」
「何か、爪を削って欲しいみたいだぜ」
「あら、貴方は・・・・」
「どうもサイトウです」
そうだ。動物の言葉で加減が分かる。
「ヒヒ~ン」(そこまで)
「お馬さん。これでスッキリしていると言っているぜ」
「はい・・・」
よく見ると人参色の髪で肌は荒れているが、顔が整っている。
優しそうだ。
「あの、実は・・・・」
俺は自分のスキルの事を話した。
「これが、アニーの母さんだよ。顔は母さん。髪は俺。美人に育って嬉しいよ」
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「はい、はい・・・分かりましたよ」
父がほら話をする。お母さんの仕事を手伝わないでいつも側にいて適当な事ばかり言う。
だけど、夫婦仲は良好だわ。
「おい、アニー、どこに行く?」
「ランス号を見てくるわ」
ランス君、お客様から預かった大事な子馬だ。
家を出て馬屋に行く。
「ああ、お母さん・・・グスン、寂しいな」
男の子の声が聞こえた。もしかして迷子?
馬屋をのぞくと人はいない・・・
「ヒヒヒヒン!」(あ、お姉ちゃん。やさしいから好き!)
「ヒィ!馬が話しているわ!」
「アニー」
背後に父がいた。
「力の使い方を教えるぞ。強力な力は時に目を曇らせ我身を危険にさらす・・・」
「はい・・・」
父はだた、母さんの隣にいて無駄話をしていたのではないのね・・・
初めて分かった気がする。
力を持つ者の孤独さを・・・・だけど、今は父さんと母さんがいる。
まだ、幸せなのかも知れない。
最後までお読み頂き有難うございました。




