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天使として…  作者: 白夜
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◆回想・絶望の始まり


シオリとイリナの回想をやりたいと思います。


‐回想‐


 雑草の生えた瓦礫の山の前で15歳くらいの黒髪の少女が目を閉じて立っていた。


「イリナ、そろそろ行くよ?」


 後ろから声をかけられ振り返ると10歳くらいの銀髪の少女がいた。


「うん…わかったわ、シオリ」


 そして少女…イリナは瓦礫の山をもう一度みてから


「いってきます。お父さん、お母さん」


 振り返り歩きだした。そして一度も振り返らなかった。




‐イリナSide‐


 私がシオリと出会ってから五年が経った。私は今15歳だ。しかし、15歳になった日に私はシオリと契約して彼女の眷属となった。


 出会ったばかりの時は大変だった。私は泣いてばかりの毎日を送っていたからシオリにはたくさん迷惑をかけた。


 でもシオリはそんな私をいつも慰めてくれた。シオリは私にとって大切な存在になり、彼女からたくさんの事を教えてもらった。


 知識、戦闘の仕方、魔術、武器について。私に召喚魔術の素質があるとわかるとお互いに協力して様々な召喚を試した。オーズとフィーレに出会ったのもこの時だ。


 その後、私達はギルドで依頼を受けながら旅をして回った。今日はたまたま私の故郷の近くにきたから両親に挨拶にきたのだ。



 私は荷物を背負い直してシオリと一緒に歩き始めた。


「ねぇ、イリナ」


「ん?なぁに?」


 私は隣のシオリを見る。昔はシオリの方が背が高かったのだが12歳を過ぎたあたりからシオリが私を見上げる形になった。


 私は思わずシオリの頭に手を乗せた。サラサラとした髪が気持ちいい。


「ふぁ!?な、何するの!?やめなさ~い!!」


 両手をぶんぶん振り回しながら顔を赤くしているシオリは凄く可愛い。しかもしばらく撫でていると


「はにゃ~////」


 と、いつの間にか気持ちよさそうにしている。私は名残惜しいが手を離す。


「…あ」


 この時いつも寂しそうな顔をするので微笑んでおく。


「う~イリナの意地悪~」


「はいはい、ごめんなさいね?…それで、話があるんじゃなかったの?」


 シオリはハッとして顔を赤くした。


「もう、イリナのせいで忘れるところだったじゃないの!」


「あははは、ごめんなさい。それで?」


「えっと、これから新しい依頼を受けるんだけど、その内容がちょっと危ない内容だからイリナはどうするって聞こうとしたのよ」



 私はシオリを見下ろしながら溜息をはいた。


「シオリ、私がそんな事で行かないなんて言うと思う?」


「でも…今回は神器を扱う研究所に乗り込むのよ?」


「だったら尚更一人で行かせられないよ。私もシオリが心配なの!私も行くからね!」


 シオリは溜息をはいた後、苦笑いしながら了承してくれた。


 私は暗くなった雰囲気を変えようと話を変えることにした。


「そういえばシオリって私より年上なのに私より小さいよね…」


「な、ななな何ですって!?私が気にしていることを~!」


 私はシオリの頭を撫でる


「はにゃ~////」


「(本当に私より年上か疑わしくなるわ)」

「…はっ!?イリナ!また私をからかったわね?(怒)」


 シオリが少し何かを呟くと、突然シオリの体が光り、身長が私と同じくらいになった。


「どう?変身魔術を使ってみたんだけど。これなら何も言えないでしょ?」


 私は驚いたがそれよりも口が勝手に先に動いた。


「綺麗…」


「…へ?////」


 身長が伸びたシオリは可愛いというより綺麗だった。


「なんだかお姉ちゃんができたみたいだね…」


「お、お姉ちゃん…私が…お姉ちゃん」


 さっきまでの怒りはどこへ行ったのか、今のシオリは顔を赤くしながらにやけていた。…別の意味で怖いかも(汗)


 シオリはしばらくはこのままでいたいと言って元に戻らなかった。


 そして、私達は依頼を受けにギルドへと足を運んだ。




「すいません、先日依頼を受けると連絡していたのですが…」


 シオリが依頼を確認している間に私はギルドの裏で召喚魔術の術式を組んでいた。


「えっと…ここにこれを書いてっと…よし、完成!」


 地面に書いた魔法陣を見下ろしてから私は頷いた。


『我の呼び声に応えよ、凍てつく氷の守護者と大自然の守護者よ』


 魔法陣が輝き、もうすっかり見慣れた顔がそこにいた。


「お呼びでしょうか?主よ」


「………」


 二人の守護者、オーズとフィーレがこちらを見ていたい。


「ちょっと危険な依頼を受けるから手伝ってくれないかしら?」


「わかりました」


「…了解」


 二人が返事をするとちょうどシオリが帰ってきた。


「お待たせ…あら、オーズ、フィーレ、久しぶりね」


「はい…シオリ様、その姿は変身魔術ですか?」


「ええ、イリナが私のことを小さいなんて言うから…」


 私とフィーレはそんなシオリを見て笑っていた。


 思えば私が笑ったのはこの時が最後だった。私達は全ての始まりである研究所へと向かって歩きだした。



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