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天使として…  作者: 白夜
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1-2 入学

 こんにちは、白夜です。

 今回から学園生活が始まります。



「う~ん、こんなもんかな?」


 今俺は湖の側で髪の毛をいじっていた。

 現在俺の髪は黒髪でセミロングぐらいの長さだ。


『黒髪ならこのぐらいがちょうどいいですよ』


 と、シャルからも好評だ。銀髪は目立つので髪の色を変えてみたのだ。


「しかし、何で髪の色や長さは自由なのに見た目は変えられないんだ?」


 そう、最初は今までのように男の姿で生活しようとしたが何故かできないのだ。

 つまり俺はこのまま女の姿で生活しなくてはならない。


『いいじゃないですか!マスターは可愛いですから』


「……泣きたくなってきた」


 この姿になってから涙腺がゆるくなったらしくすぐ涙目になる。


『ああ!マスター!泣かないでくださいよ~!』


 俺だって泣きたいわけじゃない。


「…まぁ、いいわ。とりあえず街にいきましょ」


 思えばだいぶ女口調にも慣れてきた。俺…私はもはや男には戻れないらしい。


「こうなったら女として生きてやるわよ!」


『…マスター開き直りましたね』


 いいじゃない!人生前向きに生きなきゃ!

 もはや自分の性別なんて関係ないわ!とりあえず楽しむのみよ!


『じゃあ名前も考えないといけませんね。蒼真は男の名前ですから』


「…名前かぁ」


 しばらく二人であれこれ考えながら森を歩いた。なぜ空を飛んでいかないかというと、昼間は目立つためだ。

 今は翼を隠しているため普通の人間にしか見えないが一応天使というありえない存在だ。いきなりばれてしまっては学校どころではない。


『…“エルダ”なんてどうですか?』


「…あっ、それいいかも!」


 結局、私の名前は“エルダ・シャールイン”となった。単純に新しい私の名前とシャルの名前をくっつけただけだ。


『僕の名前まで使ってくれてうれしいですよ♪』


 シャルがだいぶ嬉しそうなので私も何だかこの名前に愛着がわいてきた。










「うわぁ~」


 30分ほど歩いた後、街に到着した。昨日は夜中で街を見て回ることができなかったので、私は改めてこの街の広さに驚いていた。


『なかなか大きな街ですね、マスター』


「うん、そうね。ここまで大きいなんて思ってなかったわ」


 しかし、一見平和そうだが街のあちこちに兵士がいるし街の周りには沢山の兵器も設置されていた。


「近くで戦争でもしてるのかな?」


『力を使って調べたらどうです?』


 そういえば私天使なんだった。何かまだ実感ないなぁ。


「大変だー!街の中に魔物が入って来たぞー!!」


 突然一人の兵士が真っ青な顔で街の中央に走ってきた。


「何!?どこだ!」


「西側の入口だ!手の空いてる者は来てくれ!」


 どうやら街中に魔物が侵入したらしい。力で調べてみたがだいぶ大きい魔物のようだ。


「普通の兵士じゃ手こずりそうね。行くわよ!シャル!」


『了解です!』


 私は兵士達の後を追って走り出した。






 私が西側の門へと走っていると前方から兵士の叫び声と大きな鳴き声が聞こえた。砂煙りのむこうに巨大な猪のような魔物が見える。


「見えた!」


 私は収納空間からシャルを取り出した。銀色の美しい刀身が光を受けて輝く。


「さあ、初仕事よ!シャル!」


『わくわくしますね!』


 私はそのまま魔物へ正面から突っ込んだ。










-リリィSide-


「リリィ!街の西側にでかい魔物が出たらしいぞ!」


 今日は学校が休みなので私とサイは街中に買い物に来ていたのだ。


「魔物ですって?珍しいわね。普段魔物は街中には入ってこないのに」


 街には普段魔物が嫌う臭いを出す装置が置いてあるため魔物は入ってこないのだ。


「なあ、見に行こうぜ!」


「でも危ないわよ?」


「大丈夫だよ。門の上からなら平気さ」


 私が断ればサイ一人でも行きそうだったので私はしかたなくついて行くことにした。私も随分甘いわね。








「うわぁ…だいぶでかいな」


 西門の下では兵士達が何とか侵入を押し止めている状態だ。


「もう少ししたら先生達や魔導師の人達が来るわ。それまでしのげば何とかなるでしょ」


 とはいってもこのままじゃ死者が出るかもしれない。実際何人もの兵士が倒れている。


「リリィ!あれ!」


 サイが突然声をあげて兵士達の後ろを指差した。


「一体なによ……あれは?」


 私の目に映ったのはセミロングの黒髪をなびかせた少女が美しい片刃の剣を片手に魔物へと走っている姿だった。









-エルダSide-


 私は脇に倒れてうめき声をあげている兵士を見て、


「すぐに治療しますから待っていてください」


 と呟き、まだ無事で次の攻撃に備えている兵士達の頭上を飛び越えた。


 兵士達は突然現れた謎の少女に驚いている。


 私は姿勢を低くして魔物の顎の下に滑り込むと左の前足を膝の関節あたりをシャルで切断した。


「ゴアアアアア!!!!」


 魔物は叫びながら左に倒れた。巨大な体が倒れたために辺りに地響きが響く。


「やっぱり切れ味は抜群ね!さすがシャル!」


『当たり前です!』


 私が笑顔でシャルと向き合っていると魔物が再び立ち上がろうとしていた。


「しつこいと嫌われるよ!」


 私は周りに光の槍を20本ほど作ると魔物に一斉に発射した。

 光の槍は全て命中し、そのまま魔物はしばらくもがいた後息絶えた。


「あんまりたいしたことないね」


『そりゃマスターは天使ですから』


 全然本気じゃなかったんだけどなぁ。


「そこの君!」


 私がシャルについた魔物の血を拭いていると黒いローブを着た中年くらいの男性が声をかけてきた。


「何でしょう?」


 私がにっこり笑って答えると男は一瞬顔を赤くしてすぐに元に戻ると、私を睨むようにして口を開いた。


「あの魔物は熟練の魔導師が10人掛かりでやっとで倒せる奴なんだ!一体どうやって倒したんだ!?」


 あの魔物はそんなに強かったのか。しまったな、いきなり目立ってしまった。


「どうもこうも私は剣で切りつけて魔法で串刺しにしただけですよ?」


 ふと、怪我人が一カ所に集まっているのを見つけた私はさっきの男が話し掛けてくるまえにそこに歩きだす。

 何だか周りからの視線が痛い。


「怪我をした方々は私が治療しますよ」


 私は治癒魔法を全ての怪我人にかけた。皆驚いてる。なぜなら本来治癒魔法は一人一人にしかかけられないからだ。

 その法則を目の前の14歳くらいの少女があっさり覆したのだ。驚くに決まっている。


 その後兵士達からお礼を言われた私は再び街中へと戻ってきた。


「やれやれ、精神的に疲れたわ」


『いきなり規格外の力を使いましたからね』


 私が苦笑いを浮かべていると。


「ねぇ!そこのあなた!」


 いきなり後ろから声をかけられたので振り向くと昨日の少女が立っていた。


「あっ、あなた確か昨日の…」


 私がそう言うと


「へ?私昨日あなたと会ったかしら?」


 そう言って首を傾げた。髪の毛以外変わってないんだけどなぁ。


「まぁ、髪の毛だけでだいぶ人の印象は変わるからなぁ………わからない?」


「………?」


 少女はさらに首を傾げた。何だか可愛いくて思わず笑ってしまった。


「わ、笑わなくてもいいじゃない!」


 少女が顔を赤くしていると昨日一緒にいた少年も追いついたようなので、そろそろばらそうかな。

 私の周りに白い羽がいくつか舞い上がった。翼を見せるわけにもいかないからこうしたけれどたぶん気づくでしょ。


「ああっ!!」


 少女が何かに気づいたように声をあげてすぐに笑顔になった。


「あなたは昨日の天使さんね!」


「ふふ、正解」


 私が正解だと言った瞬間、後ろの少年もやっと気がついたようだ。なかなか鈍いやつだ。


 その後私達はお互いに自己紹介を済ませて学校に案内してもらうことになった。


「へえ~、あなたも学校に行くつもりなんだ~」


 少女…リリィは私を見ながら興味津々という目を向けてきた。


「まだ入学の手続きはできるの?」


「まだ大丈夫よ。私達も最近入学したばかりだから。まだちゃんとした授業も始まってないし」


 それを聞いて安心した。もしかしたら期限切れで来年まで待たないといけないなんてことになったら大変だから。


「あ、でも一つ問題があるわ」


 リリィが顔を私に向けながら言ってきた。


「問題?」


「年齢よ。学校は17歳以上じゃないと入れないのよ」


 私は何だ、そんなことかと肩を竦めた。


「心配ないわよ。私は19歳だから」


「「19歳!?」」


 突然二人が大きな声を出すから驚いてしまった。


「な、何よ。そんなに驚いて」


「嘘でしょ!?そんな外見で19歳なんてありえない!!」


 確かにこんな小柄な少女が19歳なんてありえないだろう。しかし事実なのだから仕方ない。


「私よりも年上なんて……」


 リリィは何だかうなだれてしまった。


「……私よりも小さいのに………スタイルいいし………」


 今スタイルがいいと聞こえたが、実は今の姿は見た目は14歳くらいだがかなりスタイルがいいのだ。出るところは出て締まるところは締まっている。


 そんなこんなで学校までリリィの気分は沈んだままで、正直気まずかった。

 私は受付で年齢をチェックされたがしっかり19歳と装置に表示されたので安心した。

 どうやら条件さえ満たせば入学できるらしく、私は明日からリリィ達のクラスに通うことになった。

 衣食住は学校の近くの寮で全てまかなえるらしい。部屋もリリィの隣だ。ちなみに寮は男子棟と女子棟がありサイは勿論男子棟だ。

 私は部屋につくと収納空間から家具を引き出した。これは昨日のうちに力を使って作っておいたのだ。それを魔法を使っててきぱきと置いていく。

 ちなみにこの寮は不審な行動さえしなければ何をしてもいい。わりと広い部屋だからシャルを使って剣の練習もできる。


『しかし、何だか見れば見るほど女の子の部屋ですね』


 部屋の中はピンクや赤のクッションやら絨毯が敷いてあり、ベッドには可愛いぬいぐるみまである。


「いいじゃない!もう私は女の子なんだから!」


『何だかあっさりと切り替わりましたね。もっと戸惑うと思ったんですが…』


 何を言ってるのシャル。人生切り替えが大切なのよ!


 私はこの後襲い掛かる問題に気づかぬままこれからの生活に胸を踊らせる気持ちでいっぱいだった。

キャラクタープロフィール


蒼真(そうま)

年齢・19歳

身長・175cm

性別・男

主人公の転生前の姿、両親に捨てられて一人で生活してきた。生活は苦しかったが決して犯罪は犯していない。お金に余裕があれば自分と同じような子供達にわけていた。



エルダ・シャールイン

年齢・19歳

身長・145cm

性別・女


蒼真が転生した姿。神から一つの世界の管理を任された。天使でありその世界では最強の存在。不老不死であり何でも想像できる力を持っている。口調こそ女になったが性格はかわっておらず、困っている人間を放っておけない。

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