2-1 そうだ!学校行こう!
新しく学校編2へと入ります。エルダ達の新たな活躍をお楽しみに!
「……ん…あれ?」
もうすっかり昼間となった時間にエルダは目を覚ました。
「…私どうしたんだっけ?何か全身がだるいし…」
エルダはベットから出ようとして自分が何も着ていないことに気がついた。
「…え?あれ?ええええええええええええ!?」
わけがわからずに混乱していると不意にリリィのことが気になり部屋を見渡すと、床一面が真っ赤でその床にリリィが裸で倒れていた。
「…リリィ!?」
エルダは慌ててリリィに駆け寄ると怪我がないかを確認する。
「(…昨日は夕飯あたりから記憶がないけど…まさか敵が来たのかしら)」
エルダは不安になりリリィを揺さぶる。
「…リリィ!しっかりして!何があったの!?」
するとリリィが緑の瞳をゆっくり開く。
「…あれ?…おはようエルダ」
眠たそうに目を擦りながらリリィは欠伸をする。エルダがリリィが無事なのを確認して安心していると、リリィの顔が赤くなりはじめる。
「…リリィ?どうしたの?」
「…エルダ……の…裸で…膝枕…ぶはぁ!」
盛大に鼻血を撒き散らしてリリィは再び気絶した。
「…あ!リリィしっかり!」
エルダはリリィを再び揺さぶるが今度は何かをやり遂げたような顔をするリリィを見て首を傾げる。
…裸、鼻血、床の血、記憶がない…
「…まさか」
エルダは幸せそうなリリィを冷ややかな目で見下ろすとニヤリと口元を緩めた。
―サイSide―
「……一体なんだこりゃ」
久しぶりにエルダとリリィに会いに来た俺の第一声はこれだった。真っ赤な床に正座しているリリィを物凄い美しい笑顔だが逆にそれが怖いエルダが見下ろしていた。
「…あら、サイじゃないの…悪いけど今からリリィと『おはなし』するからまた後にしてくれないかしら?」
エルダは笑顔で俺を見た。なにこの人こわいです。
リリィを見ると助けてくれと涙目で無言の訴えをしているが、今の俺はエルダの方が怖いので…
「…お邪魔しました」
小屋のドアを閉めた。
「サイの裏切り者おおおおおおおおおおおおおおおお!!」
リリィの叫び声が聞こえたがとりあえず無視した。
―エルダSide―
私はリリィと『おはなし』した後、サイを呼んで三人で今後の予定を話し合うことにした。
「…結局お前達は何をしてたんだ?」
サイが恐る恐る尋ねてきた。私はリリィから聞き出した話を聞かせた。
昨日リリィはとある人(お姉様と呼んでいるらしい)からもらった媚薬を私の料理に混ぜ、意識が朦朧としている私を襲ったらしい。記憶にないがそれはそれは凄かったらしくリリィの鼻血が止まらなくなる程だったようだ。
結果、鼻血を流し過ぎて途中で気絶。そのまま朝になった…ということらしい。
「…まったくリリィには困ったものよ」
私の言葉にリリィはしゅんとしてしまった。…言い過ぎたかな?
「……反省してます……後悔はしてないけど」
前言撤回、まだ『おはなし』が足りないようだ。
「……ひっ!待ってエルダ!ごめんなさい!反省してます!だからその素敵な笑顔でこっちを見ないで!」
私は無言でシャルを構えると空いている左手をリリィに向ける。
「………少し、頭冷やそっか」
「待て!エルダ!色々危ない!作者の立場的にも!そういうのは番外編でやれ!」
サイ、メタ発言はいけないよ?まぁ今回はサイに免じて許してあげようかしら。
―SideOut―
改めて話を切り出すことにしたサイだったが、正直今の状態でちゃんと話を聞くのか心配だった。
「…さて、エルダ。さすがに話をきりだしてもいいよな?」
エルダは溜息をつきながら頷く。その横ではリリィがテーブルに突っ伏している。
「このままじゃらちがあかないからね…」
サイは頷くと真剣な顔でエルダを見据える。エルダもその顔を見て気を引き締める。
「そろそろ学校に来てもいいころかと思うんだ」
エルダは顎に手をあてて考える。エルダとリリィが天使ではないかと噂になってから既に3週間程たっている。さすがにこのままにしておくわけにもいかない。
「俺はいっそのこと二人が天使であることをばらしてもいいと思うんだ…」
サイの考えにエルダは首を傾げる。
「何か考えでもあるの?」
サイは小さく息をはくと頬をかく。
「いや、特にない」
「……はい?」
エルダはさらに首を傾げる。
「こうやってウダウダしてるよりも開き直って学校来た方が手っ取り早いと俺は思うぞ?学校に行かない時点で認めてるようなものだしな…それに」
サイは苦笑いを浮かべた。
「おまえらが来なくなってからフィアナがご立腹だし、シャーリーとルイスも心配してる」
サイが話し終わるとエルダは俯く。サイは何かまずいことを言ったのではと思ったが、エルダは突然笑いだした。
「…エルダ?」
「あははは!そうだよ、何で深く考えてたのかな~。ばれても別に困ることなんて無いじゃない!」
サイは突然のエルダの変わり様に唖然とする。
「私は一人じゃない。リリィやシャルやサイ、フィアナ、シャーリーにルイス。私の周りには頼れる仲間がいるじゃない!」
エルダはすっきりした笑顔でそう言うと窓の外を眺めた。
「いつまでも管理人が閉じこもってばかりじゃいけないよね」
サイはエルダを見て安心したように笑っていた。
「ありがとう、サイ!明日からちゃんと学校行くよ。リリィと一緒にね!」
「ああ、待ってるよ」
そうやって今日の話し合いは終わり、エルダとリリィは明日の学校の準備をしていた。
「ねぇ、エルダ?ちょっといいかしら」
リリィは悪戯を思いついた子供のような顔をエルダに向ける。
「てどうしたの?」
「明日の学校なんだけど…どうせばれてるなら空を飛んで行きたいなって」
「…新聞部に捕まっても知らないわよ?」
エルダは苦笑いを浮かべながら鞄に本を入れる。
「大丈夫よ!エルダもいるし、あの学校に私達より強い奴なんている?」
「あはは、いないわね」
思わずエルダも笑みをこぼす。
そうやって二人は再び学校に戻ることを楽しみにしながら眠りについた。
白夜「新しく学校編2に入ったからまた忙しくなるね」
エルダ「あれ?白夜は何で戻ってるの?」
白夜「あれは私の気の迷いだから気にしないで…」
リリィ「え~また夜ちゃんに会いたいよ~!」
夜「呼びましたか?」
リリィ「夜ちゃん!」
白「あれ!?いつの間に!?」
エルダ「あなた達って結局なんなのよ…」
白「…自分でもわからなくなってきた」