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「あ、兄上…。いつ外遊から戻られたのですか?いや!それよりも何故その女を兄上の婚約者と?その女は、今私が婚約破棄した者ですよ?何を勘違いされているのですか?」


かの方はため息をつき、私の頭を撫でて下さりました。

もう子供ではないんですけど!!


…でも嬉しかったので良しとします…。


「さて、元弟よ。お前は何故私のシアを自分の婚約者等と勘違いしたんだ?シアの過去も未来も全て私のものだが?」


うぅ…。

恥ずかしい…。


これだけ愛してくださるなんて…必要としてくださるなんて…政略結婚なのに…。




『今は政略で婚約させられたと思っているかもしれないけど、僕はレティシアをずっと好きだったよ?今日からでいいからレティシアも僕を好きになってくれたら嬉しいな!』



そう言ってくださったのは、かの方が7歳の時…。

4歳の私はよく分からず、


『頑張ります!』


と答えたような気がします。


政略結婚だから愛は生まれないと誰がいったのでしょう?


政略結婚であった私と、かの方には今は確かに愛があると思います。


お互いが相手の為に助け合う事は勿論の事ですが…お互いの弱音をはくこともできるのは…2人の時だけです。


弱音をはける相手がいるだけでもこの貴族社会では精神的に全然違います。


私にはもう『かの方』がいない生活は考えられません…。

かの方にとって私もそうであればいいのですか…。


あ、また私の世界に入ってしまっていましたね!


今は頭を切り替えて、バレスさんからの反論を聞く必要があります。

さて、バレスさんは何を言われるのでしょうか?


「兄上!何故元などとつけるのですか?その女狐が兄上を誑かしたのですか?女狐め…近衛兵よ!さっさとこの女をひっ捕らえよ!」


バレスさんが大声で叫ばれますが…。

平民の貴方が動かせる機関ではないのですよ。



「はぁ…。元弟ことバレスよ。私の話は聞いていたか?シアは最初から私のものだよ?そしてこの先もね?シアから聞かなかったのかな?いや、頭が悪くて理解できなかったのかな?バレス、君はもう王子ではないよ。バレスは気づいていなかったみたいだけど、父上も母上も学園に入れること自体に反対だったんだよ?何故か?それは、バレスを学園に入れるお金の無駄だと…。バレス、君は父上からも母上からも諦められていたんだよ。でもね、兄弟である私は、まだバレスの可能性に掛けてみたかった…。だから私が、シアが運営している授業料免除システムに無理矢理お前を入れて貰えるように頼み込んだんだ。あ、バレスは別枠で入れてもらっている。バレスが改心して私を支えてくれれば、今まで学園でかかった費用は無料に…。逆に役に立たないと判断された時点からは全てバレスの借金という形になるようにと…。3年あれば気づいてくれると思っていたんだけど…。本当に残念だよ…。シアにも迷惑をかける形になってしまったからね…。」


かの方の発言を聞き、バレスさんは…。


「兄上は王家の継承権を放棄されたんですよね?なのに、何故?何を言われているのですか?兄上が継承権を放棄された今、王太子になれるのは私だけですよ?父上と母上が私を見捨てる訳がないでしょう!?」


かの方は再びため息をつかれます。

かの方はこれだけできた方なのに…弟君は…残念…。

ついつい私は冷たい目でバレスさんを見てしまいましたが…こればかりは仕方がない事ですよね?


「バレス、いつ私が継承権を放棄した?私は放棄等していない。外遊はシアの卒業までの3年間他の国を見て周り、各国と友好関係を築いていただけだが?お陰で沢山の契約を結ぶ事ができた。この話は、3年前私が外遊に出る前に父上から伝えられていたはずだが…まさか話を聞いていなかった訳ではないだろうな?」

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