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「バレスさん、何度も言いますが時間が経てば卒業できるものではありません。学園が認めた学力、マナー等が身につかない限り卒業はできません。卒業してやっと1人の成人として認められるのです。そんな飲酒ができるようになるのは16歳からみたいな時間さえ経てば可能な話ではないのです。尚、この学園を卒業してやっと貴族としての1歩を踏み出せます。つまり、あなた方はまだ1歩踏み出すことすらできない人となります。まぁ…平民となられてますし、卒業しなくても大丈夫ですよ、バレスさんは。いえ、平民なのでバレスさんは卒業することもできませんね…。ユーナ様は…御家族との相談をお願いいたします。」
トール様が眉間に皺を寄せながらもバレスさん達に説明してくださいました。
トール様…すみません…。
主催者だからとこんな目に合わせてしまい…。
後ほど胃に優しい物をお送りいたしましょう。
そんなことを私が考えている時でした。
「私が平民?卒業する必要が無い?何故だ!!!」
「そうよ!バレス様は王族よ!」
…もう本当にこの2人黙ってくれないかしら…。
いざとなったら物理的に黙らせるしかないのかしら…。
そんなことを考えていると、横で王宮の書記官様がサラサラと書面にしている姿が目にうつりました。
その姿をみた私の横でアル様が小さな声で呟かれました。
「どうやら話が通じない人間のようなのでね…。話の内容を全てしたためた書簡を渡そうと思ってね…。私が到着した後に書記官を呼んでおいたんだ。それにしても…あの愚弟は…愚かなままだったね…。私も…もっと前から諦めるべきだったのかな…。でも…愚弟が昔の素直で真っ直ぐな弟に戻ってくれる可能性に掛けてみたかったんだ…。こんな醜態を見せ、迷惑を掛けてしまうなんて…本当に私はダメだな…。」
アル様はとても優しい心をお持ちです。
逆に言うと優しすぎるという弱点があります。
なので私は彼の弱点を補うように指導されてきました。
本来なら彼が自分で克服しなければならないことですが…私はそんな優しいアル様が好きなので…。
あ、勿論他国との交渉においてはアル様に優しさはありませんよ?
家族や国民に対して優しすぎるだけなのです。
その優しさを…この屑は…。
あぁ、イライラしてきましたね…。
だってこの2人のせいで話がすすまないんですもの!!
「バレスさんもユーナさんもそしてバレスさんのお友達の皆様も留年決定しておりますので、学園からのこちらの書類をお受け取りください。この点について何か言いたいことがあれば学園長へ後ほど!!後ほど!!文句でも何でも言ってください。では、留年の件はこの辺で終わります。次ですが、バレスさんの廃嫡について再度アルディオス王太子様からお伝えいただきますので、しっかりと!!耳をかっぽじってお聞きください。」
トール様はそう言うと、アル様に再度説明して頂けないかと頭を下げられました。
トール様が頭を下げる必要なんてないのですけど…。
アル様は頷くと1歩前へ進まれました。




