アドベントカレンダー(ハチ・伊織編)
ハチと伊織版のアドベントカレンダーのお話です♪
「もう3日も開けてないのか…」
アドベントカレンダーをそっと撫でながら、自然と視線はリビングボードの上に置いてある時計へ。
12月19日(金) 21:06
仕事柄、12月はどうしても忙しくなるのは理解してる。けど、働きすぎのハチに『10分だけ』でもゆっくりしてもらいたくて。そう思ってアドベントカレンダーを買ったんだけど……。
でも……。
「今日も無理そうだな……」
工房から漏れる灯りがどこか冷たく感じた。
小さい頃は、毎年、家族みんなでアドベントカレンダーを開けたよな。
仕事が忙しかった父さんも、アドベント開ける時間は作ってくれて。エミリーと俺で「今年はこれがいい!」って選んだの、懐かしい。
ホリデーシーズンの始まりって感じがして。
だから、先月末にエミリーからメールが来たとき、これだと思って二人分のアドベントを買ってきたんだよね。
ハチも嬉しそうで、毎日夜になると、あったかい紅茶を淹れてアドベントを開ける。
お互い何が入ってたか見せ合って、夜だけどいいよねって食べちゃうの。俺も師走でバタバタしてる中の癒しだったんだけど…。
俺が東京へ戻ってる時もビデオ通話をして。
距離は離れてるけど、いつも以上にハチを近くに感じられた。
あと5つ……。
一緒に開けたいけど……。
「きっと無理だよな」
ヒンヤリとしたリビングに、声が吸い込まれる。
大きな溜息を吐き、静かにリビングの明かりを消した。
俺に何かできること……ないのかな……。
結局、あれからアドベントは開けられないまま、イブ、そしてクリスマス。
24日は一日、顔を合わせなかった。
25日も…。
近くにいるのにな……。
俺自身、番組でクリスマス企画が走っていたため、色々と忙しくてバタバタしていた。
オンエア上は楽しくしていたが、ふとした瞬間に頭を過ぎるのはやっぱりハチのことだ。
番組が終わって急いでブースを飛び出す。瀬田君に必要事項の確認だけをすると局を飛び出した。
ビルを出た瞬間、鼻先を冷たいものが……。
「あっ、ホワイトクリスマスか。ハチが喜びそう」
ふわふわと舞い落ちる雪を見てると、空気は冷たいのに、なぜか心は温かくなった。
ハチが帰ってくるまでに準備を終わらせないと。
手に持っていたままだったマフラーを巻き、慌てて駅へ向かった。
「ただいま〜。流石にもう、無理……」
ガチャっと玄関が開く音がして、ハチがリビングに入ってきた。
そのままソファーにドサッと崩れ落ち、俺にもたれ掛かってきたハチからは甘い匂いが漂う。
無意識に甘えてくれるハチがとってもかわいくて愛おしい。
それだけで、ひんやりだったリビングが暖かくなった気がする。
そんな事すら嬉しくて、思わず笑みが溢れた。
「お疲れさま」
ハチをギュッと抱きしめると、抱き返してくれるのも嬉しい。
ここ最近、こうして触れ合うこともできなかった。
「なんか、いー君のこと、放っておいてごめんね」
しばらく抱きついていたハチが、急に顔を上げて見つめてきた。
「ハチが頑張っていたからで、何も悪いことしてないだろ?それよりも、今から俺たちのクリスマス始めようよ」
「え?」
首を傾げ、聞き返してくるが……。
まぁ、そうなるよな。
「とりあえず、残りのアドベント開けないとクリスマス始まらないだろ?」
「そうだね!え?いー君も開けてないの?」
「一緒に開ける約束だっただろ?」
「じゃあ、一緒に開けようよ!」
満面の笑みのハチの手を引っ張り、リビングにあるクリスマスツリーへ。一緒に飾ってある木製アドベントの前に二人肩を寄せ合って座り込んだ。
開けられなかった引き出しを順に開けていく。
木の引き出しが擦れる音、菓子を取り出すごそごそという音……。
それらが静かにリビングに溶けていく。
「全部開け終わった!僕たちのクリスマス、これで始められるね」
「だな!来年もこうやって一緒にクリスマスを迎えられたらいいな」
ハチの笑顔を見て、俺も笑顔になった。
やっぱりハチと過ごす時間が……。
一番温かくて……
……好きだ。
この二人はほっこり担当なので、読んで温かい気持ちになっていただけたら嬉しいです!
ここにきて伊織の母親の名前が……。
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