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4話:スパイ


 ヒカリと終末封鎖機構のエージェントの対談は概ね決裂のような形で終わった。

ヒカリは油断してはならない以上、甘い融和路線のエージェントにはキツくなるし、融和政策を求めるエージェントからすれば過激のヒカリの対応に対して言葉を尽くす選択肢しか出来ない。


 セイント総合学園を守る総司令であるヒカリと、全ての生徒の味方である終末封鎖機構のエージェントが、この時点で友好的になるのは難しいと言わざる得ない。


 それは織り込み済みだ。だからこそ、ヒカリの直属であり、内部監査を任されている聖騎士の皇スザクが、終末封鎖機構のエージェントに全力で協力することで、両方の要望を叶えることができる。


 ヒカリの願いはスパイの撃滅。

終 末封鎖機構のエージェントの願いは、再教育部の者達が追放されないこと。その過程として学力の上昇だ。そして、聖騎士・皇スザクの役割は『スパイの発見』と『再教育部の追放阻止』だ。極端な話を言ってしまえば、再教育部なんていうのはスパイさえ見つかればどうでも良い存在である。


 だからこそ、スパイを見つけて合格点で追放を免れらせた後、スパイはスパイで情報を吸い出したあと死んでもらえば良い。


 ①スパイを見つける。

 ②スパイがいる状態で再教育部が、試験に合格する。

 ③スパイを確保し、ヒカリへ献上する。


 この順番ならばヒカリ側の目的も、終末封鎖機構のエージェント側のメンツも保ったまま邪魔な存在を一掃できる。だからこそ、問題なのはスパイの発見と、捜査中にテロを起こされることだ。

  せっかくスパイを見つけても、三大生徒会長のヒカリが死んでしまっては本末転倒だ。そうならないように同じ三大生徒会長のグリフィンや、他の精鋭達に護衛を頼んでいるが、万が一は必ず起こると仮定する。


 最善だと、手を尽くしたと、そういう感想が出る時点で油断であると聖騎士は自分に戒める。


 例えば、三大生徒会長のグリフィンがスパイだとか。


「グリフィン様の戦闘力を封じるのは不可能だ。もしスパイなら動機を無くす方向性で無力化しなければならないな」


 生徒を殺せる爆弾は依然として脅威であるが、物資流通経路には複数の罠と、セイント総合学園全体には監視カメラやレーダーを配備させている。

 人員をフル稼働して、治安維持まで手が回っていないが、人が死ぬ爆弾がセイント総合学園内部へ持ち込まれ、使用される方が問題だった。


「手が足りない……私は再教育部の問題に掛かりっきりになってしまうし」


 皇スザクはため息を吐く。と、そこに見覚えのある悪魔の角と翼を持った少女がやってくる。

 影だ。

 皇スザクは頭を下げて、言う。


「お疲れ様です。セイント総合学園までご足労頂きありがとうございます」

「いいのよ、ヒカリとは同じ目的を持つ同士なわけだしこれくらい。それに神天地なら、いくらでも休めるしね」

「……?」

「私、今回のゴタゴタが終わったら風紀委員長やめるの。ケルベロス魔境学園にはいると思うけど、戦ったり、書類仕事はもう疲れたわ。他のやりたい人にやってもらう。それで起きる混乱を収める人にも出会えたし」

「終末封鎖機構のエージェントですか?」


 影は意外そうな顔をする。


「違いましたか」

「いいえ、彼でも良いでしょうけど、もっと適任がいるわ。神様のような人がね。それは買い被り過ぎかしら。でもまぁ、あと少しで全てが終わるわ。それまでの辛抱よ」

「そうですね、ハイペリオン平和条約を締結できれば平和がやってきます。共に頑張りましょう」

「ええ、貴方には期待しているわ。私も、ヒカリもね。ヒカリの剣としてよく働いているし、最後は幸せになりたいもの」

「人の神であり救世主であるヴェラチュール、混沌の私、そして黄泉の冥府にいるスザク。欠落した三大生徒会の三位一体による神性の再解釈。本当によくこの配役を考えたものね。ラジエルが欠けてグリフィンが資格がない時点で、新しく安定したセイント総合学園にするべく切り替えたというべきだとは思うけど」

「影、様?」


 意味が分からず首を傾げる聖騎士に、混沌の秩序を担う女王は妖しく笑う。理解ができない。しかし、影の眼差しは熱く、これからの未来に興奮しているようだった。 



「楽しみね。スパイの討滅報告楽しみにしてる。ここまで頑張ったハイペリオン平和条約だもの。ちゃんとやりたいし。ここ数週間はこっちにいるから荒事になれば手を貸すわ。頑張ってね」

「お任せください。万が一はお借りします」


 去っていく聖騎士を見送り、影は息を吐く。


(もし彼女が、私達の計画を否定するならば三位一体ではなく、光と光の聖戦をすることになる)


 同じセイント総合学園を想う者同士の殴り合いを、影は見ることになる。『自分達の所属する学園の笑顔のため』という共通の目標を持ち、それに対して真摯に頑張るヒカリとスザクが戦うのは、胸が締め付けられるものがあった。


 だからこそ、スザクには神天地を肯定してほしい。

 ヒカリを頂点として、セイント総合学園がケルベロス魔境学園を喰らう事をどうか認めて欲しい。

 ハイペリオン平和条約という対等な平和条約ではなく、影が起こすクーデターとそれを支援するヒカリならびにセイント総合学園という構図を素直に受け止め、三人で共に歯向かう者たちを鎮圧し、ヒカリのもとで秩序ある新天地、セイント超総合学園の誕生を言祝いで欲しいと願うのだ。


 光の救世主としてセイント総合学園に君臨することを祈る。

 ああ、それこそ正に神天地の幕開けだ。



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