乳狂殿を見た
この物語はフィクションです。
乳狂殿は控え会場の中にいた。分かってはいたが恐ろしく小さい。
ホノウと同じくらいのサイズだ。そして顔が綺麗だった。
ホノウは可愛い顔立ちだが、乳狂殿は人形の様に整っていた。
(あれが乳狂殿か。記憶があれば乳について語り合いたいが、無理だな。
今は一人で立っているが、なんか迷子の様にも見えるなあ。
思い切って声を掛けてみるか。聞く事に関してはまったく問題無いはずだ。)
「誰だぁー。控え会場にガキ連れ込んだのはーー。
ここは託児所じゃねえんだぞー。」
キーの高い大声が控え会場に響く。全員の注目が集まる。
「刺突殿だ。試合直後で気が立ってるのか。」
周囲からそんな声が漏れた。
「いいかー。坊主。ここは怖いオッサンが、しのぎを削って殴り合いする所だぞ。
親はどうした親は。はっ、大方予選会初出場の野郎が、愛する人に頼まれてガキ連れて来たんだろう。」
その時に人が慌てて走って来た。
「刺突の兄ィ、違うんだー。そのお方は・・・」
「サブ、ちょっと待ってろ。いいか坊主。
お前みたいなガキは家に帰って、ママンのおっぱいでも吸ってろーーー。」
ひと際大きな怒号が乳狂殿に浴びせられた。
その後になって刺突殿は落ち着いたのか。
「とは言えそれは、お前じゃなくて父親に言う事だな。
おい、坊主お前飴食うか。これ結構美味いんだぞ。」
乳狂殿に飴を渡していた。乳狂殿も素直に受け取り、右手に持っている。
「やべえよ。いくら刺突殿でもこれは無いぜ。ヴィザンがなんて言うか。」
「ああ、不味いなぁ。考えたら、俺は頭と腹が同時に痛くなってきたよ。」
「どうすんだこれ。だれか仲裁出来るのかよ。わかんねぇーー。」
更に別の人がその場に走り込んできた。
「このば・・・。刺突殿、この方はヴィザンの乳狂殿だぞ。」
怒りが抑えきれない、ドスの篭った大きな声が出される。
「これは珍しい。ははは、岩噛殿が冗談を言うとは。」
「私が冗談を言っているのを。聞いた事があるんですか、刺突殿。」
殺意がはっきり分かる目で岩噛殿が刺突殿を睨みつける。
(ひえぇー、ゴールデンボールが縮み上がる。
見た事ないけど本職のマフィアより怖えぇー。)
ガルベスはビビり散らかしていた。




