新しい仕事
この物語はフィクションです。
央海歴900年6月25日
6時15分 央海国・北地区の路上
「ガルベス店長、お客様が6名来られました。」
「うん、もうお客様の人数報告は無しにしよう。
卵焼き用フライパンをクッキングシートで拭いたら、焼き場の左端に置いて。
後は僕がまた焼くから。」
朝6時過ぎからの露店の出店で、ガルベスは調理に追われていた。
目の前には4個の卵焼き用フライパンが、ガスの直火でどんどん熱っせられていく。
ガルベスは無心で出汁入り卵焼きを作っていた。
フライパンには卵2個を素早く割っていれる。
軽くかき混ぜたら、カツオ・昆布合わせ出汁を入れて、くるくる巻いて卵焼きを作っている。
完成したらバイトの子が紙のシートで、強引にクレープ状に巻いてお客様に渡している。
「旨い、卵そのものが上等やぁ。
僅かに半熟気味の卵焼きに、カツオと昆布の出汁がええ味しやがる。」
「なあ、これほんまに金払わんと食うてええんか。
明日も同じやと。マジで言うとんか、オイィ~無茶しよるでぇ。
これなら2オウカ(約280円)でも儂は買うでぇ。」
お客様には好評だけれども、開店から30分余りでどんどん待ち客が増えている。
ガルベスの額と背中にも汗が結構出てきていた。
(開店記念サービスと銘打って、この卵焼き作っているけど、これはやりすぎなのでは。
既に12人程店前に人だかりが出来てるし。
大丈夫だろうか。)
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朝の9時で卵焼きの無料配布は終わった。
ガルベスも日雇いバイトの4名もぐったりしている。
3時間の実働だが、ひたすたに卵焼き・接客・フライパン出し・清掃に追われた。
もう当分卵は見たくないが、明日朝も同じ事をやる予定となっている。
「お兄ちゃん、せっかくだから6人全員分の卵焼き焼いて。
皆で食べましょう。」
シアプに返事をする気になれないのだが、頷いて6人分の卵焼きをさっと作った。
「美味しいぃ~、これは上品な味ねぇ。
思った通りこれなら名物になるわよ。」
「ガルベス店長、マジ旨いっす。こんなん俺ら食べた事ないっす。」
「たぶんお客様に出してるのよりも、美味しいと思うよ。
4台で焼いている時は、数を沢山出す為にフライパンの温度とか、卵の最適な火入れがどうしても揃わない。
お客様に出せているのは、おそらくこれの80%ぐらいの質になるよ。」
「良し。それじゃみんな食べたし、9時半から11時半はレンタルビデオ屋。
1時間は昼食。
12時半から14時半までは1オウカショップ。
15時には解散のスケジュールね。みんな宜しくね。」
「はい。シアプ副店長。」




