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プロローグ-4 "ハロー、これからよろしくね"


***


「…………ZZZ」


「こんなっ、……こんな牢屋に入れられるとは……」


「いいでしょう!確かに私は色々ちょびっと?やりすぎだったのかも知れません。反省は大事と主も仰っています」


「ここは私の恥辱屈辱を忘れ、甘んじて懲役を受け入れるとしましょう……しかし、」

「…………ふがぁ……ZZZ」



「しかし何故あの時……爆弾はなぜあんな誤作動を起こしたのでしょうか?」


「はてはて。驕りなしに私の操作に誤りなど無かった筈。いや、これも私の思い込みなのでしょうか……」


「これで勝ったと思わないことです!……もしもあれが、見知らぬ誰かの奸計だとすればですが!!ね!!!」

「ふが――ZZZZZZZZ!!!」


「隣の貴女……先からうるっさいんですよ――!!!」


「ほ!?ホゲェ――!」


ドゴ――――ン!!!


「あらー失礼しました隣の貴女、やり過ぎでした?」



「う、嘘でしょ……壁がふ、吹っ飛んで……!?」


「牢屋ってこんな脆いっけ……」


「と、隣の人は生きてんの……?」


「爆弾いらないでしょ、この化け物……」


「私ら、本当にこの人を収監できてる……???」


「……じ、自信無くなってきた……」




〜数日後〜



「驚いたよ……アカの爆弾が温泉を掘り当てたって聞いた時は……」


「テルモス教会も半壊しましたけれどね」


「しかし……あの威力の爆弾をまともに喰らって、気絶程度で済むとは」


「薬師時アカの耐久性には驚かされるわ。あれが直撃すれば、普通全治六ヶ月の大怪我でしょうに……」



「わ、私は生きてる自信がないかな……」


「あなたの場合、そうでしょう。アルカの大気に適応できていない様ですし……怪我には特に気をつけて下さいね」



「そうだアズサ!本当に私がここを管理するの……?」


「ええ……あなたにとって丁度良いでしょうし。何……難しい事じゃないわ。このガイドをどうぞ」


「温泉を営業するための法律、オーナーの体験談等々……昨夜までに私が纏めておいた教科書です」



「……あ、ありがとう……」


「……ど……どっさりだね……ページ数……」


「目を通しておいてね。ゴフェルアルカに招かれたお客人様なら、これくらい簡単でしょう?」



「私って、一応客人なんだよね?」


「……これはあなたが厄介な立場に立つことを避けるための処置でもあるわ」



「厄介な立場?」


「外からやってきた人間を快く迎える者ばかりじゃないわ。何もしていない様に見えるのに、政府に優遇されているのなら尚更反発は強まるでしょう」


「……社会に馴染むためには、その歯車となるのが最も手っ取り早いのです」



「つまり……歓迎されるためには、与えられる仕事をこなすべき、ってことかぁ」


「はい……それに」



「それに?」


「これだけは話しておきましょう」


「……あなたにはアルカの客人として、強大な権力を有している。それを利用しようとする不埒な輩が現れても不思議ではないわ」


「特に各エリアの警察や治安システムに介入する力が強い。あなたの指先ひとつで、アルカが傾きかねない」




「……だから社会を見てほしいのです。政府からは決して見えない景色を、あなたには知っていてほしいのです」


「これから……あなたが選択を後悔しないように」



「分かった。頑張ってみるよ」


「気張らなくてもいいわよ。詰まるところ、アルカで普通の社会生活を送れということだし。……勿論私達もサポートはするわ?」



「不束者ですが、よろしくお願いします」


「!」


「ふふ。こちらこそ不束な私ですが」




「……そしてようこそ、ゴフェルアルカに」


「何度だって……あなたを歓迎するわ」



***



「虚無から生まれた私たちだから……」


そう切り出したそのひとは私に語る。


「揺らぎに過ぎない私たちだから……」



まるで……


「だからこそ、あなたたちに意味を残したい」


先生が生徒に何かを教えるように。


「……これからはあなたたちの番。私たちが残した揺らぎが」


「あなたにまた、意味をもたらしますように……」


落ちてゆく星が輝いていた。

砂粒のような星々がとても、美しく。

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