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第一章 01 プロローグ1
朝、起きたらベンチで寝ていた。コウはいつも通り、高校で孤立して帰って、娯楽に浸り、晩御飯を食べて寝ていた。フカフカのベッドで目が覚めるはずだった。
「くは」
上半身を起こして大きく伸びをした。ベンチの上で寝ていたからなのか体が痛い。大きくあくびをしてようやく意識が覚醒して気付いた。
「夢か」
コウは目の前の信じがたい光景を見て両頬を思い切り引っ叩いた。
「痛っ」
ちゃんと痛かった。夢じゃないのかもしれない。今度は自分の鳩尾を思い切り躊躇なく殴った。
「ぐぅ」
自分で殴っておきながらかなり後悔した。凄く痛い。
「・・・夢じゃないのか」
コウの目の前には肌や髪の色が十人十色で皆違い、何なら、肌や顔が人間ではない生物、猫、犬、トカゲ、などの亜人が一定数いた。
「つまりは、異世界召喚という奴か」
コウはいつもの癖で寝間着の中に手を突っ込んで背中を掻き、平然を装いながらも内心バクバクだった。