天才?変わり者?幻の王太子
この国、グレイソン王国には3人の王子がいる。
私の元婚約者は次男、多分新たな王太子になるのが3男、そして長兄で本来は王太子になる筈だったのがカーネル様だ。
この方は王族としては変わっていて庶民の生活に興味があり自分で畑を作り野菜を育てたりしている。
更には建築や農機具等を自作で作ってしまう、要はもの作りの天才なのだ。
私とは話が合い、お父様とも『カーネル様が国王になったらこの国は安泰だ』と話していた、まぁそう思っていたのはごく一部で殆どの評価は『変わり者』で白い目で見られていた。
それは身内である王族も同じでよく国王様と口論になったりしていた。
そして数年前、突然王族から除籍される事が発表された。
詳細はわからないが何らかの圧力があったんじゃないか、という噂がある。
以来、カーネル様の行方はわからずその存在も忘れつつあったのだが……。
「こんな所で再会するなんてビックリしたよ」
「私もです、いつからこちらの街に住まわれたんですか?」
「追い出されてからすぐだよ。 前に来たことがあって印象に残っていたんだ」
「そうでしたか、先程ミーアちゃんから話を聞いてカーネル様なんじゃないか、とピンと来ました」
「そうか、アレシア嬢とはよくこの国の行く末や問題点について話し合った事があったね」
「えぇ、カーネル様こそ国の未来を真面目に考えている、将来を背負って立つ方だと思っていました。 だから除籍された、という話を聞いた時はショックでした……」
「いやいや、あれは父上との口論がエキサイトしてしまって売り言葉に買い言葉で出て行ってしまったんだよ」
そう言って苦笑いするカーネル様。
「それでこの街に来て密かに暮らすつもりだったんだけど……、水害のせいで壊滅してしまってね、危惧していた事が起こってしまって黙ってはいられなくなったんだ。 自分の知識をフル稼働してこの街を災害に強い街にしよう、と思ったんだ」
「国からの援助は無かったんですか?」
「そんなもの期待するだけ無駄だよ、幸い近くに森があったからね、伐採して新築の家の材料にしたり防波堤を作ったりと色々したよ」
確かに国の援助を求めるにはまず領主を通さないといけないし色々ハードルが高い。
だったら自分達で再建した方が早いだろう。
相変わらずの行動力の高さに恐れ入ってしまった。




