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断罪される前に終わらせた

久しぶりの新作です、暇つぶしにどうぞ。

「綺麗な満月ねぇ……」


 私はフゥとホットミルクを飲み溜息を吐いた。


 パチパチと焚き火の音がして心を落ち着かせてくれる。


「お父様が許可してくれたからこんな事ができたけど……、普通は出来ないわよね」


 私は今、卒業記念パーティーが行われているだろう会場である会館を見下ろす丘に来ている。


「今頃はめでたい席が修羅場になっているわよねぇ……、ホントあの場所にいなくて良かった」


 そう言ってミルクをゴクリと一口飲む。


 どうして、こんな事になっているのか?


 それは1か月前に時間は遡る。


 私が自分の評判を耳にしたのは偶々他の女生徒達の話を耳にしたからだ。


 曰く『私が身分を傘に来て男爵令嬢をいじめている』


 曰く『男爵令嬢は私の婚約者である王太子と良い仲である』


曰く『王太子は私と婚約破棄をしようとしている』


 私が件の男爵令嬢(名前も顔も知らない)をいじめているのは勿論、根も葉もない噂だ。


 ていうか身分を傘に、というが身分が高いからこそ他の生徒の見本となる行動を取れ、と昔から厳しく教育されているのでイジメなんてもっての外である。


 まぁ噂の出所は間違いなく婚約者である王太子だ。


 あの人は私の事を毛嫌いしていてなんとか私との婚約を破棄したい、と思っている。


 遂に実力行使に出た訳だが私の耳にまで入ってきたのは余りにも噂を広めすぎたんじゃないか、と思う。


 すぐにお父様である公爵に相談した。


「……という訳で私と王太子様の仲は修復不可能になってしまいました。 私は歩み寄る努力をしていたんですが」


「お前に落ち度は無い、あるのはお前を一方的に敵視しているバカ王太子だ。 何度も国王と話をしているがどうやら全くの無駄骨の様だったな……」


 呆れたようにお父様は言った。


「多分、卒業記念パーティーの時に婚約破棄を宣告されるかもしれません」


「たくさんの人のいる場所で婚約破棄を宣告すればお前や我が家に傷がつけるし恥をかかせる事が出来るか……、噂を信じている者はどれくらいいる?」


「あくまで私の肌感ですが学園の生徒は信じているかもしれません、私や我が家に対する嫉妬もあるかもしれませんが」


「そうか……、私の事を蹴落としたい輩がそれだけいるのか」


 お父様は清廉潔白を地で行くようなお方だ、その分敵が多いのだが。


「国王と最後の話し合いをしてこよう、向こうの出方次第では考えなきゃいけないな」


 それから1週間後、私達の結論は出た。


「国王との話し合いの結果、婚約は解消となった」


「そうですか、勿論向こうの有責ですよね?」


「あぁ、慰謝料も払ってくれるそうだ。 そして私は役職を離れる事にしたよ」


「えっ、宰相の身をですか?」


「今までが忙しかったからな良い機会だと思ってこれからは領地の発展に捧げる事にしたよ」


「国王様もよく許可されましたね」


「息子の不手際が原因だからな、嫌とは言えないだろう」


 お父様は悪い笑みを浮かべている。


 今までお父様任せだった所があるからこれからそのしわ寄せがいくんだろうな、とちょっと同情する。


 こうして私と王太子の婚約は穏便に解消になったが公には発表はされていない。


 卒業記念パーティーの場で発表する事になり、王太子は身分を剥奪、教育し直しの為、一般兵として軍に配属される事になった。


 もう一人の男爵令嬢は調査の結果、どうやら我が家を蹴落とす為にライバルであるもう一つの公爵家が男爵家に金を出していたらしく、何らかの処分を受ける模様。


 まぁ下手したら国家反逆罪になるかもしれないからお取り潰しになるだろう。


「始まる前から終わっていた、て喜劇よねぇ」


 多分、発表がされて阿鼻叫喚になっているであろう会館を見ながら私アレシア・クードフィルドはミルクをまた飲んだ。  

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