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だから空気よりも軽そうな愛を囁かないで

「あーかーりちゃん」


優し気な声が、私の隣で聞こえてくる。スマホをいじる手を止めてちらりと声の主を見ると、満面の笑みを浮かべながらピースをしてきた。


「なに?」


「さーて、ここで高ちゃんクーイズ」


「大丈夫です」


「どうして日本人はこんなにも桜が好きなんでしょーか」


「・・・日本人だから?」


「正解はありません。多分、日本人は細胞までに桜が好きと刷り込まれているからだと思います」


「正解ないものを問題に出すなって私はなんども言ってると思うけど?」


その言葉に、聞こえませーんと言わんばかりの耳をふさぐしぐさとドヤ顔。身も蓋もないようなことばっかり言う彼女は、私の初恋相手だ。なんでこんな子を好きになってしまったのか。高校入学当初の純粋で可愛らしくて汚いものなんてあんまりご存じない嫉妬のしの字も知らないようなおこちゃまだった私。いったい彼女の何に心を惹かれたの。

彼女のせいで、私は嫉妬もくやしさも何もかも知った。思い出すだけで幸せになる、たった一回で勘違いしそうになる、いろんなことを知ってしまった。


「あ、灯里ちゃんのアホ毛ちゃんは今日も屈強。高嶺ちゃんが直してあげまちょうねぇー。すんごくかわいい灯里ちゃんをミラクルかわいい灯里ちゃんに。これで惚れない男はいませんわよ、伝家の宝刀、ワックス」


そう言って、カバンから出されるスティックのワックス。私の髪に触れる手。頭上から少し音の外れた鼻歌が聞こえてくる。なんでこんなに頭の上にお花畑を作ってるような子に惚れたの私。


ほんとに、過去に戻れるのなら言わせてほしい。



≪その子の大好きも愛してるも、かわいいねも綺麗も、ずっと一緒にいようも、空気よりも軽く1の1乗を考えるよりも脳を通していないんだよ≫





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