ウィンクって結構難しい。
ニーナが行方不明になってから数日がたった。
最初こそ外交問題になると学園内で解決しようとしていたようだが、見つかる所か手がかりすらなく警察による捜査が始まった。
私も何か手がかりでも見つけれないかと放課後は学園内を歩くようにしていた。というか部屋にいても落ち着かないのだ。
「ニーナの聞きたいことってなんだったんだろ……」
「ジュリアに俺も聞きたいことがあるよ。」
ジュリオがいつの間にか後ろに立っていた。いつもと違う、またチャラくない顔で。
「言っとくけど、私は何も知らないよ。」
「まだ何の話かも言ってない。」
「また私が犯人とでも思ったんでしょ。」
「それは残念だけど違うと思ってるって前も言った。」
「じゃあ何を聞きたいの。」
「ニーナは自殺するような性格だったか。」
自殺、ニーナが?もしかしてまた……
私の表情を見て、安心させるようにジュリオは言葉を続けてくれた。
「何も見つかってないよ。可能性の話。」
「自殺はしない……と思う。でもこんなに姿をイタズラに隠す子でもないから誘拐とか……」
誘拐の方があり得る話だ。学園という安全な場所にいるから忘れがちだが、山賊等の野党は普通にいる世界だ。
「誘拐もあり得たけど、特に要求はきてない状況からすると違うだろうね。」
「逆にジュリオは何故どこかで自殺したと思うの?自分だけカードを伏せてはもうそろそろ止めてよ。」
どうせまた教えてくれないだろうと思っていたが、肩をすくめてジュリオは答えてくれた。
「前に情報提供者がいるって言ったよね?俺の家は警察の相談役をやってる家系でね。普通の人よりちょっと教えて貰えるんだよ。」
特殊な家系とは思っていたが、想像よりちょっと上だった。
「それで、警察はニーナを自殺として探してるの?」
「いや、警察はまだ誘拐として捜査してるよ。ただ、俺の勘としてはジュリアがヒミコに言われてた言葉が気になってね。」
「堕ちてるって話?でもジュリオは知らないだろうけど、あの日にすぐに清めに行ったから大丈夫になったって言われてるけど。」
お守りだって一応ちゃんと肌身離さず持ち歩いている。
「知ってるよ、ヒミコもその清めをしてくれた人もこの国では信憑性が高いってこともね。」
「じゃあ何が気になるの。」
「ヒミコが堕ちてるってジュリアに言った。ジュリアの周りでは実際人が亡くなってる。結びつけるのも無理矢理でしかないし、全部俺の勘なんだけどさ。」
「本当に理論的じゃないね。」
確かに普通に生きてて事件がこんなに起こるのは、名探偵の周り位だろう。
「と、言うわけでニーナの部屋に一緒に行かないかって聞きたくてね。」
「どういうわけかわかんないけども。ニーナが自殺したかを聞きたかったんじゃないの?」
「あれは別に俺の独り言だよ。」
いやちょっと意味がわからない。ちゃんと会話成立してたよな。
「で、どうする。一緒行く?」
「鍵があって勝手に入れないはずだけど。」
「俺にきいちゃう?企業秘密だよ。」
ウィンクをされるも多分私の表情は死んでるんだろうなと思う。
だが、ニーナの事が気になるのも事実だ。
私はジュリオと一緒にニーナの部屋に向かうことにした。




