初見は説明が欲しい。
放課後になり、メアリーも気にして一緒に来てくれることになった。
「きよめって何なのかしら。」
「うーん、滝に打たれるとか?」
日本をイメージしてる国だと思うからそんな気はする。
「泉に使ってる間に色々唱えて貰うみたいだよ、ロウ先生が紹介状を書いてくれたからそこに行こう。」
先生に連れられて町外れの森の方へと向かう。
森の中を進むと神社があり、中から巫女の服を着た人が出てきてくれた。
「お話は聞いております。中へはご遠慮頂きたいとのことで、このまま泉にご案内致します。」
ここでも少し距離を取られる。巫女さんの案内で泉に着くと宮司の格好をしたおじいさんと学校の制服を着た黒髪三つ編みの男の子が円に色々な文字を書いていた。
「あぁ、君がヒミコに堕ちてると言われた子だねぇ。確かに色々絡まってるようだ。全部は難しいけど、ここにいる間は大丈夫にしてあげよう。」
おじいさんはそういって私の頭を撫でてから、
顔面に塩をぶっかけてきた。
「うぷっ……え?」
「オンキリキリ……」
おじいさんは何か唱えながら続けて塩をぶつけてくる。
え、これ正しいの?ショタ先生もメアリーも引いてるけど。
「早く泉に飛び込んで!」
制服の姿の男の子に指示されるがままに私は服のまま泉に飛び込んだ。
腰位まで浸かっていたが、まだおじいさんは塩をぶつけてくるので出ては行けないんだろう。
「次、頭まで浸かって10秒数えて!」
また男の子から指示が飛ぶ。いや、初見だからシステムわからないよ、前もって教えてよ。
行き当たりばったりで取り敢えず頭まで浸かって10秒数える。
「ひいっ」
頭を出すと、ほぼ目の前におじいさんが松明を突きつけてきていた。
「パドメフゥーン!」
おじいさんがそう叫ぶと、周りの空気が少し軽くなった気がした。これで終わったのかな?と様子を伺いながら泉から上がる。
男の子がタオルと白装束を渡してくれたが、本来この白装束でやるんじゃないの、これ着て帰れと。
「はぁ……はぁ……あとはセイメイ、お前がお守りを渡してやれ。」
おじいさんはちょっと疲れた様子で帰っていった。
仕方なくメアリーに手伝って貰って服を着替える。
「これ、この国にいる間は絶対外さないで。」
セイメイと呼ばれた男の子は着替えた私の首にお守りをかけてくれた。
「あの、あなた同じクラスの子よね。あなたもジュリアに何か見えるの?」
「僕は見えない。でもヒミコがそういうなら僕はヒミコを信じ……る。」
セイメイはメアリーを直視して顔赤らめた。
「お前にも、一応やる。」
メアリーにもお守りを渡すと早足でセイメイも帰っていった。
八方美人のくだりが印象的だったけど、まさか私が覚えていないだけでセイメイも何かあった相手だろうか。
「ふっ、何か似合わないねぇ。」
「白装束が似合うのは嫌なので別にいいですよ。」
町を歩くのは恥ずかしいと思ったが、日も沈みかけてくれた為、ほとんど人に見られずに寮に戻ることが出来た。




