隣の芝生は青い。
今日から交換留学が始まる。隣国へは大型馬車で向かう。
この世界に来て初めて国外に出るなぁ。
「ほら、もうここで隣国に入ったわよ!」
「メアリーは隣国に来たことがあるの?」
「ええ、お父様のお仕事で何回か。髪の結い方とかも独特だったから凄く目立ってしまったのよ。」
「まず貴族とかの階級からないもんね。この橋を渡っただけで国が変わって文化も変わるって不思議な限りだけど。」
「そうよね、階級がなくなるのを私たちの国も目指してるから、こういう留学もあるのかもね。」
メアリーとそんな話をしていると、あっという間に学校に着いた。
「わー、外観から違うね。」
私たちの学校はザッ西洋といった外観だが、この国の学校は和風の大きな……どちらかといえば花街にありそうな外観だった。
「はい、みんな揃ったね。じゃあ入るよー。はぐれないようにね。」
ショタ先生の引率の元、ぞろぞろとみんな着いていく。
喋ったことがあるのはメアリー、ニーナ、メルクリオ、アルベルトと女子二人かな。残り三人は高等部で上がったのか成長期なのか記憶にない人たちだ。
「何、ジュリア?俺の目標は異文化交流なんだから邪魔しないでよ。」
あ、クズも一緒か。始まる前からそんな話ばっかりしてきてたから視界に入れないようにしてた。
「ジュリオー、問題行動あれば強制送還で先生の評価下がるから止めてくれよー。」
「わかりました、バレないようにします!」
ショタ先生の忠告にいい笑顔でジュリオは答えていた。
教室に着くと教卓の前に立たされ自己紹介が始まる。
みんな好意的で拍手もしてくれた。
「では、各々空いてる席に座って貰おう。隣の席がこの期間中のペアとしてあなた達の留学を手助けをさせてもらう。」
ここのクラスの先生はショタ先生と違いきっちりした感じの人だ。
授業厳しそうだなと思いつつ、空いてる席に座る。
仲良くして貰おうと、隣の女の子に挨拶をしようとした瞬間、女の子が手を上げて先生に意見を言った。
「先生、私はこの人とペアは組みたくありません。」
「えぇっ。」
私何かしたかな?え、何も喋ってすらないけど自己紹介が気に入らなかったのかな、調子に乗って甘いもの好きですとか言ったから?
「ヒミコ、失礼じゃないか。ちゃんとした理由はあるのか?」
あ、良かった。この国でもそれは失礼だよね。チェンジとか失礼じゃないかと思ってた。
ヒミコと呼ばれた女の子は私の方を睨みながら理由を言った。
「この人、堕ちてます。」
その一言でクラスの空気が凍りついた。と言っても私も含めこちらの人間は全く理解していない。
ショタ先生の方を見るが難しい顔をして成り行きを見ている。
「それは……本当なのか。」
「はい、出来ればご自身の国に帰って頂いた方が良いのかと。」
「えっと……勉強不足でごめんなさい。私が堕ちてるとは……?」
さすがに強制送還に話が行きそうだったので割り込んでみる。答えて貰えないと思ったが、案外すんなり答えてくれた。
「あぁ、すまない。ヒミコは色々な物を見てくれる家系の人間でな。堕ちるというのはあまり良くない物を引き寄せる人と言った認識をして貰えればと思う。」
占い師的な家系なのかな。そんな人にヤバイ人認定されちゃったのか私は。
「なのでペアは組みたくありません。」
断固として譲らないヒミコに対して、メアリーが怒ってくれた。
「あなた、初対面でこれから仲良くしないといけないのに失礼じゃないの?ジュリア、こんな人はこっちから願い下げよ!先生、私たちは二人で一人のペアで構いませんか?」
「占い師はこの国のルーツだからねぇ。僕は判断しかねるけど、ロウ先生はどうです?」
「……ヒミコの目はこの国でも上位に入る良さです。だが、留学生の生徒をまだ何も起こってないのに国に返すのは良くない。ペアを外すことで譲歩してくれないか。」
「……わかりました。また次に見えた時は再度ご検討ください。」
ヒミコは私の事をまた睨む。
メアリーがいるから八方美人にならないようにとは思っていたが、堕ちるなんて単語も始めて聞いた……気がするし。
少し混乱した空気の中、先生が準備を話して授業が始まった。




