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花びらは三角の紙を切るのが一番綺麗。



配役は変えることが出来ずにセレナ様は継母役、私は余り物の花びらを降らせる係りになった。


花びらは本物の花を使うらしく、集める為に籠を持って中庭に行く。


すると久々にモブ三人組に出会った。


「聞いたわよ、セレナ様がヒロインじゃないんですってね。」


「本当に役立たずね、ジュリアは。」


「クラスの総意なんだから仕方ないじゃない。」


「前もって交渉するとかやりようがあったでしょう。」


え、クラス劇で政治家バリの裏工作をしろと?


「確かに私だって本意じゃなかったけど、セレナ様も良いって仰ってたわ。」


「何であんたはいつもセレナ様の言葉がわからないのよ。」


エリーザが私の持っていた籠をごと叩いてきた。

全く、集めた花びらが散ってしまったではないか。


くだらない話に付き合うのを止めて花びら集めを再開しようかと思ったら、三人の動きが止まった。


「せ、セレナ様!」


「何をしてるの。」


「違うんです、これは……」


エリーザが言い訳を必死にする。

セレナ様は無言でこちらにやってきて、



私の集めてた花びらを踏みつけた。



「やるなら、このくらいやりなさい。」


冷たい目、今までのセレナ様とは違う雰囲気、

いや、これが正しいセレナ様なのか。

本来メアリーを苛めてた時のような悪役令嬢。


わかりました!と意気揚々と三人で人の集めた花びらを踏みつけ、他の花びらも拾えないように踏みつけに散らばっていった。

セレナ様は私の反応を見ているようだ。


「えー、セレナ様。どういうことか説明して頂けますか?」


「説明も何も、そういう反応が昔から気に入らなかった、それだけよ。」


つまり、ニーナの話が正しかったのか。


「ならば何故、今まで仲の良いふりを……」


「仮にもアルファーノ伯爵家とはご縁がありましたからね、あなたの方から離れてくれれば良かったのに、全く気づいてくれなくて。」


「そうですか。すみませんでした。今までありがとうございました。」


さすがに長年仲が良いと思ってたので泣きそうだ。

ここに来たての頃ならこんなことは無かったのだろうが、私も変わったのだろう。


その場から立ち去ろうとすると、セレナ様が声をあらげた。


「だから、あなたのそういう所が嫌いなのよ!わかった風なことを言って距離をあけて……」


セレナ様の顔を見るとさっきと違い、泣きそうになっていた。


「ジュリアとなら、本当のお友達になれると思ってたのに……さっきだってレミジオとの事を聞いてきたり……」


「セレナ様……私はずっとお友達と思ってましたよ。」


やっぱりセレナ様は、セレナ様だった。

彼女は悪役にはなりきれない子なのだろう。


セレナ様に近づいて手を握ると、うつむきながらセレナ様が


「……なら、様ってつけないでくださる。」


と言った。そういえば、ここでは様はいらないのだが、つい今までの癖で呼んでいた。


「セレナ、ごめんね。これからもよろしくね。」


二人で手を繋いで教室に戻ることにした。


後からモブ三人組が中庭を荒らしたと、先生に注意されたのだと聞いた。

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