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名探偵は登場してくれない。



「で、事件の話だよね。結論から言うと、俺は何も知らないよ。ここまでしてもらって申し訳ないけどね。」


「それなら初日の思わせ振りな態度はなんだったの?」


普段チャラチャラしているジュリオが見せたあの目、まるで……


「まるで私が犯人だと疑ってるようだったわ。」


「あ、バレた?正直疑ってたよ。幼い少女がどうやったのかはわからなかったけど。でも昨日までね。」


「私なら逆に疑うけど。」


犯人と疑ってた人間の近くでまた事件が起きた。疑うには充分だ。


「残念ながら、君には不可能だって証言があがったからね。」


「まぁ、あの暗闇だと誰も動けなかったけど。」


意外と単純なのかな。まぁ私は犯人じゃないけど、と思いながらもジュリオを見ると、この話に似つかわしくないニヤけた顔をしていた。


「だって……君、一晩中、男の子と抱き合って寝てたんだろ?そりゃさすがに……」


「な、何で知って……いや、なんの話だか……」


「まぁその子と一緒にって線も考えたけど、イージッタはそこまでする相手なのかとか。色々考えたけど、君が犯人じゃない方が納得いってしまったんだよね。」


え、私ですらあの時の相手がわかってないのに何でジュリオはわかってる体で話を進めてるの。

ってか噂として広まってるの?そっちの方が今重要なんだけど。


「あぁ、安心して。抱き合って寝てたのは俺と情報をくれた人しか知らないよ。」


「情報って何?だいたいジュリオは何で色々調べたり考えたりしてるの。」


そして恥ずかしいけど相手が誰だったか教えて欲しい。


「モルビデリ伯爵家ってそういう家系なんだよね。あんまり詳しくは教えれないけど。」


「どういう家系よ……」


セレナ様は知っていたようだけど、私の呼ばれてた範囲の社交界にはいなかったと思う。何か公安やFBIみたいな感じの特殊な家柄なのだろうか。


「まぁともかく、俺は君が犯人じゃないって知ってしまったから何も知ってることはないんだよ。」


セレナとメアリーとは仲良くなりたいからこれからもよろしくね、と言い残して教室を出ようとしたが、今の話、おかしくない?


「どうして、アルファーノ伯爵家の事件と今回の事件の犯人が同じ前提で話してるのかしら?」


そう、同じと言っても時期も場所も人数も全部違う。

唯一は殺され方が似ているくらいだ。


むしろ別々の事件と考えるのが自然ではないのか。


「ふうん、意外にジュリアって頭回るんだね。」


「失礼な。」


「アルファーノ伯爵家は長男のテューリと次女のジュリア以外が一晩にして、この世を去った。」


無言で頷く。


「昨日、虚言が目立つイージッタもこの世を去った。どちらも自殺として処理されてる。」


「どちらも自殺?そんなわけないでしょ。何人が同時に死んだと思ってるの!」


それにあのリタ姉様の姿は絶対に自殺ではなかった。

自らあんなことが出きるわけがない。


「俺だって不可解だよ、だから君が犯人だと思ってたのになぁ。」


残念そうに言うと、今度こそジュリオは教室を出ていってしまった。


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