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真似しちゃダメだよ。



私たちの事情聴取が終わった次の日には他のみんなも学校に帰ってきた。


事件もあったのだから、安全面として当然だろう。


今回の事件を学園長は事故として説明していた。

法律がないわけではないが、隠せるものは隠せてしまうのがこの世界だ。


いじめやパワハラだって、身分が上なら許されてしまう。

この学園は平等だと言っているのにおかしな話だ。


レミジオ達も特に異議を唱えることはなかった。

イージッタの身分はメルクリオの言った通り貴族ではなかった。


イージッタの家族にも、事故として学園側が充分すぎるほどの慰謝料を支払ったらしいと後でアルベルトから聞いた。



「大変だったわね、私たちと一緒に組めたらそんな事故に巻き込まれることなんてなかったでしょうに。」


「ジュリオが譲れば良かったのよ。」


「いやいや、先生がダメって言ってたでしょー。ひどいなぁ。」


どうやらジュリオを的にすることによって、セレナ様とメアリーはある程度気があうようになったらしい。


この散々な林間学校での唯一の収穫かな。

セレナ様とメアリーが敵対しないにこしたことはない。



しかし、イージッタとリタ姉様は同じ犯人なのだろうか。


ならば理由は?目的は?


小説本編でもイージッタは死んでいたのか?


全ての登場人物を覚えているわけではないが、少なくともイージッタのようにレミジオにアピールしてるキャラはいなかったはずだ。


わからないことだらけだ。



うだうだ考えても仕方がない。

まずは一つでも解決しようと思い、ジュリオを人のいない教室まで連れてきた。


セレナ様もメアリーも驚いていたが仕方ない。


「ちょっとジュリア、君がこんなに積極的だとは知らなかったよ。」


「前に言ってた話の続きをしましょう。」


「うーん、覚えてないなぁ。呪いの人形の話だっけ?」


「誤魔化さないで。そんな話しもしたことがないわ。」


「あれー、じゃあ王家七不思議の話かな?」


「それ以上また誤魔化すなら、こっちにも考えがあるわ。」


正直、ちょっと七不思議には興味あるけど。


「どうするんだい?力も言葉も俺の方が勝ってる、面白いなぁ、ジュリアは。」


「そうね、力ずくで脅すにも勝てないでしょう。だから、こうするの。」


私は制服のボタンを引きちぎり、髪の毛を粗っぽくほどいた。

ジュリオは気が狂ったのかと私の事を呆然と見つめてる。


「この格好で、職員室に駆け込むわ。あなたに襲われそうになったと。」


「はっ、何を言い出すかと思えば。君が僕を連れてきたのはセレナもメアリーも見てるよ。」


「そう、あなたに告白しようと思って連れてきたら、それを逆手に取られて襲われそうになったっていう設定。どうかしら。」


「どうかしらって……卑怯だなぁ、降参だよ。」


別に駆け込まれたらそれはそれで面白いけどね。と言いながらジュリオは自分の制服を私にかけてくれた。


卑怯な手段だったが、ジュリオは意外と根が真面目だから私が手段を選ばないほど真剣だと伝われば話してくれると思っていた。


ようやく、少しだけ、負のループから抜け出せる気がした。

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