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シリアスぶってみたよ。



目が覚めると知らないベッドの上にいた。

白いシーツに質素な雰囲気、おそらく病院のようだ。


「うぅ……」


まだリタ姉様の姿が目に焼き付いている。

お葬式こそ参加したことはあったが、人間のあんな姿、見るの生まれて初めてだ。


キモチワルイ


吐き気と同時に恐怖が襲いかかってきた。

私はこの世界をどこか現実味なく考えていた。


何かあっても自分は平和に過ごすことは出来るだろう。

死んだとしてもまた違う世界に転生出来るのだろう。


もしくはループするように死ぬことはないのだろう……と。


とんだ勘違いだ。

この世界は、今の現実で、簡単に人は死ぬ。もちろん私も。


次に私が私である意識があるとも限らないのだ。


「怖い……」


自分が死ぬのが怖い。人のために死ぬ気で何か出来るほど、強い人間じゃないんだ。


「ジュリア、目が覚めたんだな!無事で良かった。痛い所はないか?」


「テューリ兄様……」


自然と涙が溢れてきた。私は泣きながらテューリ兄様に抱きついた。人肌の暖かさが恐怖を和らげてくれる気がした。


「お前だけでも、無事で良かった……」


「私……だけでも……?」


「大丈夫だ、僕が叙勲されるまではきっと叔父様が屋敷の面倒は見てくれる。ジュリアのことも守ってくれる、心配しなくて大丈夫だ……」


叙勲?叔父様が面倒をみる?話の嫌な予想はついてしまうが、テューリ兄様はそれ以上幼い妹の私に話す気はないようで答えはくれなかった。


無言で抱きしめられ続ける。顔をこっそり見上げると、テューリ兄様も泣いていた。



しばらく二人で泣いていると、警察官とわかる服装の男性が部屋に入ってきた。


「失礼、アルファーノ嬢、目が覚めた所悪いが、覚えてる事を教えて頂きたい。」


「妹はまだ幼いんだ、そんなすぐに話せない!」


「幼いからこそ、記憶はすぐに消えてしまうだろう。辛いだろうが、犯人を捕まえる為にも協力して頂きたい。」


犯人……そうか、リタ姉様は明らかに自殺や事故ではなかった。でも……


「特に何も見てません……起きて、誰もいなくて、リタ姉様を見つけて……気づいたらここで寝てました……」


「はぁ……そうですが、残念です。また何か気づいたことがあれば教えてくださいね。」


あからさまにガッカリした様子で警察官の人は帰っていった。


申し訳ないが、本当に何も見ていないのだ。

逆に犯人を見てたら私は生きていなかったのかもしれない。


悪魔と契約して復讐してやろうとか、この悲しみで魔力解放みたいなことは私には出来ないけど。


もしかしたら、私がジュリアになったからこの事件が起こったのかもしれないし、そうではないのかもしれない。


けれど、その選択肢の真偽がわからない以上、その後に出来ることとして犯人はいつか見つけないといけないのだろうか。


自分にモブにという言い分けをつけてた私だが、ほんの少し、楽な道は選んではいけないと感じた。

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